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レジンキャストミルク Tag Archive
れじみる。Junk
セカイにさよなら そしてありがとう
本編完結後、学校での文化祭を舞台に、「かつて」と「これから」を描いた短編集第2弾にして、シリーズの最終作。
書き下ろしが多いので、ほぼ新刊として見てもいいかと思いますが、やはり特筆すべきは、本編完結時点で気になった蜜のその後が描かれた「ありがと、ばいばい。」
蜜というキャラクターは、その設定上からもキャラクターとしての描かれ方としても、シリーズを通して傷付き続けてきた印象が強くて、最終巻での全てを失って、けれど取り戻せたもののあまりに少ないラストを残念に思っていたのですが。このエピソードが描かれたことで、ようやく彼女が望み続けていた日常への近づきができたのではないかなあと感慨深いですね。
そして、主人公側の人物として唯一の「大人」である、佐伯ネアの最後の贈り物であったり、表に見せない感傷であったりも切なさと感動をくれます。この辺は、絵師である椋本夏夜氏の作品への思い入れが感じられて、本当に作者サイドからも愛された物語だったんだなあと思います。
他の短編も、本編とは違ってかなり暴走気味ではありますが、上手いことリンクされてるし、「いま」からもう居ない人たちを回想する所々は、本気で涙腺刺激されるのでやばいんですけど大好きだ!
そんな感じで、今度こそ本当にさよなら。そして、ありがとう、ですかね。この巻を読んで、ようやく何か報われた気持ちになれました。
hReview by ゆーいち , 2007/12/23
- れじみる。Junk (電撃文庫 ふ 7-15)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2007-12-10
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レジンキャストミルク〈8〉
様々なものの失いの果て 日常への帰還
殊子という大きな存在を失い、感傷に浸る暇もなく、晶と硝子は芹菜・良司と合流を果たす。そして、未だ目的の見えない樹・鏡、そして無限回廊を相手に、晶らは最後の戦いが近いことを悟る。本当の「世界そのもの」である相手に、虚軸たちは生き残りをかけて戦いに臨む。
ついに完結の第8巻。前巻のインパクトがあまりに大きくて、今回のエピソードはクライマックスというのに少々盛り上がりに欠けた印象となってしまいました。蜜・ネア・里緒、そして晶と硝子の、その全存在を賭けた決死の戦いが描かれているのに、敵の能力の特性故か、内容が盛り上がる方向へ向かいづらい感じがしてしまいますね。最後の戦いらしく、それぞれの裡に抱えた戦う理由や、今その場に集う意志、仲間たちへの思いなど、悲壮な戦いの中、傷付き失いながらも自分を貫いていく生き様それ自体は熱いものがあるのは確かなのですが。
晶の父・樹との決着も、完全決着というような明暗はっきりと分かれたものではなく、晶の中で、父越えを果たしたという精神的な決着に終わってしまったのが残念かな。ここへ至る過程が過程だっただけに、あらゆるものを失ってしまって、この結末では救いがなさ過ぎる、とも思いましたが……。
そして、日常への帰還。このシーンが、熾烈極まる戦いの果てに辿り着いた場所にして、もう一度全てをやり直すスタート地点。大切なものを失い、虚軸という壊れた世界を抱え、それすらも失って最後に得ることができた、ささやかな、けれども得難かった日常への帰還。晶が、硝子が、その日々をどのように慈しみ、愛おしんで生きていくのか。失ってしまったものの価値が、なにものにも代え難かったものであるのなら、それを代償に得たこれからの日々も、この上ない幸福に彩られていくべきものであると、信じられるのではないでしょうか。
hReview by ゆーいち , 2007/09/13
- レジンキャストミルク 8 (8) (電撃文庫 ふ 7-14)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2007-09-10
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レジンキャストミルク〈7〉
予想できなかったわけではないけれど やはりこの展開は堪えます
父・樹の帰還、母・鏡の変容、そして無限回廊との関係が明かされた6巻から、ようやく晶らが攻勢に転じる第7巻。
晶の幼なじみの芹菜の奪還という目的自体を餌にした二正面作戦。その中で誰もが最善を尽くしつつも、力及ばないことから生じるリスクを作中の誰もが計算しながらも、この結末を予想だにし得なかったというのが何よりも悲劇。誰が誰を責めることもできず、ただただ自責の念に溺れる中で、最後に悲壮の決意で硝子に命令を下す晶の決意は、これまでの他人を道具として利用し尽くそうとしてきた彼の、冷徹さとそれ以上の哀惜を感じさせました。
作中、大きな力(=世界)を抱えた誰もが、何かを失い、代わりに何かを得ています。そんな大きな欠落の果てに得た力が、壊し殺し滅ぼし廃するどうしようもない負の力であり、失ったものを取り戻すにはとても足りないのが悲しすぎます。
今回のエピソードで、蜜は渇望していた虚海渦解放の力を得ることができました。けれど、その代償として望まず世界に差し出されてしまったものの大切さに気づくには、やはりこれも遅すぎたということでしょうか。
裡に抱えたいた、言葉に出せないけれども確実にそこに在った姉への、妹への好意を決定的に最終的に、どうしようもない形で伝え合った最初で最後のキスの味は、哀しみの味が強すぎてただただ切ないとしか思えません。
次巻が最終巻。世界が望む始まりの終わりには何が待ちかまえているのか。
hReview by ゆーいち , 2007/06/13
- レジンキャストミルク 7 (7)
- 藤原 祐
- メディアワークス 2007-06
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レジンキャストミルク〈6〉
いよいよ佳境の物語。帰還を果たした実父・樹と母の名を持つ〈虚軸〉、掠われた芹菜、と状況は悪化の一途。
それでも前半は晶や硝子の苦悩を交えながらも、ほのぼのテイスト。感情を獲得した硝子の反応がいちいち初々しくて、コメディ調のシーンはにやにやが。初夜の件はお約束ながらも嬉し恥ずかし!
そして、表紙を飾ったネア先生。前巻の強烈なキャラ立ちに続いて今回は勝負服で大活躍。この作者と絵師、なんともノリノリ。シリアスなシーンのはずなのに、この先生が出てくるとぶち壊しですよ(笑)
しかし、樹に対して絶大なコンプレックスを描いているのか、彼に対峙した晶の気圧されっぷりは見てられないですな。もう、そういうふうに過去から教育されてきたとしか思えない。作中の描写だけだと、どれだけ樹が天才なのかとか分かりづらい部分も多く、単に人の話を聞かない尊大な自己中としか映らない。むしろ硝子と同位の存在として、機械と化した母・鏡の存在・能力の圧倒的さの方が描写としてはインパクト大。前巻の〈全一〉の絶対的な能力をすら、あるいは凌ぐ最終的な世界の顕現。いやはや、これをどう退けるのか、別の手段を講じるのか、〈全一〉の能力が通用しない可能性を考えると、今後の展開は今まで以上に絶望的なものになりそうな予感。
自身の出自に心を折られた晶に対して、硝子の強さが対照的に光ったエピソード。感情を得たことを故障と切って捨てる樹や自ら進んで捨て去った鏡に対して、人間に近付いた硝子の成長が勝利の鍵となるのか? 日常から非日常へと身を置く場所を変えた晶の変化が、弱さや優しさの獲得ならば、それによって深まった絆は純粋な力とは違った強さの形。その結果迎えたエピローグのラストシーンはやたらと前向きで希望を抱きそうになるけれど、さらにどん底に突き落とされそうで、戦々恐々な部分は少なからずあるんですよねえ。
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れじみる。
ああ、ほのぼのって素晴らしい。
本編がいい感じに殺伐としてきている中で、閑話休題的に和む短編ばかりの一冊がリリース。いやいや、終始にやけっぱなしの読書タイムでした。硝子かわいいよ硝子。
どこか世間とずれているような【虚軸】である主人公らの、踏み外しかけている日常という当たり前の風景のありがたみというものが、染みるように感じられる良作なエピソードばかり。
絶妙に本編ともリンクしているので、本編のストーリーを思い出しながら、ああいった殺伐とした戦いを繰り広げつつも、羽を休める時間が少なくとも確実にあったのだなと思えるのは、なかかなか安心させられるものです。
願わくば『れじみる。〈2〉』などが性懲りもなく発売されることを。
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