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ANGEL+DIVE 3.LOVENDER
やっぱり、逃げるなんてできない。自分のしたことからは逃げられないよ。
トワコが夏彦の前から姿を消した。突然の別れによって、夏彦は否応なしに変わっていく。そして、彼に想いを寄せる希有も、夏彦の側にいるために、彼へと踏み込んでいく。そんなとき、夏彦の姉・春の容態は快復へと向かい、かつての生活を取り戻すための新しい努力を始める。そんな春に特別な感情を抱く、夏彦の友人の桜慈。ふたりの間にも新たな関係が生まれ、そして全てが変わっていく。
いやぁ、これで続巻の予定がなかったら、壮絶なバッドエンド作品として心に刻まれたこと間違いなしですが、この物語については、これからが本番。なるほど、この結末があったからこそ、別時間で語られていた変貌しきってしまった夏彦の理由が分かろうというもの。
1巻、2巻で夏彦は新しい出会いを経、新しい様々なものを得ました。そして、あらゆるものが永遠・不変であるはずがないということもまた、同時に知識としてすり込まれてきたのでしょうか。新しい友人、淡く抱き始めた恋ごころ、これから幸せになっていけるはずだった家族たち、そのどれもこれもを「喪う」エピソード、それがこの3巻であったというのは、あまりに悲劇的ですね。
冒頭から夏彦はトワコを喪い、そして彼が傍観することもできない中、姉の春と桜慈の交流はどんどん深いところまで、戻れないところまで進んでしまい、そして迎える最悪の結末。これまでのどこかぼんやりとした、けれどどこまでもこのままで在り続けるように思えていた、彼らの日常の崩壊があまりにあっけなさ過ぎて、終盤の展開の絶望さといったらもう。これまで積み上げてきた全てを、一瞬にして破壊してしまったこの物語は、これからどこへ向かおうというのか。
エンジェルダイブ、そしてディジェネレーター、言葉とそれが指し示すものが何なのかは漠然と提示されています。けれど、なぜそれが彼らの日常を奪ってしまったのか、そしてエンジェルダイブによって生み出されてしまった彼ら・彼女らが望むものは何なのか、犠牲者のままで終わってしまうのか、あるいはそこから何かの救いを目指すことができるのか、それがこれから語られていくのでしょうか。
あまりに多くのものを失ってしまった夏彦、同様になにものにも代え難い大切なひとを救うことができなかった桜慈、夏彦との出会いを胸の内に抱えたまま孤独を選んだトワコ、そして夏彦をつなぎ止めようとした希有、逆に夏彦の未来を大きく変えようと選択肢を示した黒雪、彼らがこの事件の後、どのように生き、そしてどのような形にお互いの関係を変容させていくのか、もはやここから先の未来には希望などないように思えてしまうけれど。
けれど、それでも、ここで失われてしまったあまりに儚い命たちにせめてもの安らぎを。
そして、これからも生にしがみついて歩んでいかなければならない命たちの未来に、ささやかでも幸福をと、祈らずにはいられないのですね。
もう、こんな結末が用意されてるとは想像もしてなかったのでショックが大きすぎですね。
hReview by ゆーいち , 2009/01/25
- ANGEL+DIVE〈3〉LOVENDER (一迅社文庫)
- 十文字 青
- 一迅社 2008-12-20
- Amazon | bk1
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ANGEL+DIVE 2.REUNION
時が人を置き去りにすることはない。人は時とともに変わりゆくものだ。
トワコや真鳥姉妹との出会いと、ローラン兄妹の戦いを経て、夏彦の生活は変化していく。取り戻したはずの日常は、これまでと少し違っていて、それが希有との関係に小さな、けれど決定的な亀裂を生みつつあった。
ラストの展開に度肝を抜かれた前巻が、何でもなかったかのように1990年を舞台に物語は進行していきます。今回もラストでまた未来の物語の一部が語られ、その十数年の断絶がいかなるものなのか弥が上にも期待高まるといった感じなのですが。
夏彦と希有の蜜月ともいえるような穏やかな時間は、トワコや真鳥姉妹との出会いをもって、完全に終結させられてしまったのでしょうか。幼い嫉妬心で自分を傷つけながらも、夏彦を失くしたくないと願う希有の気持ちと、そんな彼女の心を慮ることができず、トワコのそばに居たいと思い始めた夏彦の間に生まれた溝は、もはや埋めることができるのかどうか怪しくなってきましたね。終盤の展開で、夏彦は自身も気付かぬうちに、トワコと希有の間に明確な区別を付けてしまったわけで、それに気付いた希有が夏彦に対し、そしてトワコに対してこれからどのような距離を見出していくのか、ヤンデレフラグにならなければいいけれど。希有が望んでいた永遠に変わらない毎日が途絶えてしまった今、彼女は変化を受け入れるのか、それとも、変わらないという選択を行うのか。
トワコとは異なる物語軸に存在するように思えていた、真鳥姉妹も、エンジェルダイヴという言葉によって、ローラン家という敵対勢力を通して繋がったように思います。未だ明確な意味が明かされない、超常の力の持ち主たちと、意味深な言葉を発する黒雪。子どもたちと大人たちの思惑の次元の異なりが、これから少年少女たちにどんな運命をもたらしてくるんでしょうか。
ようやく、物語が動き始めたという印象の第2巻。すべてが変わり、移ろっていくことを予言されたような形ですが、その中でも変わらず、大切にしていけるものが、何かあるのかなあ。未来の夏彦の姿を見てしまうと、何もかもが上手く転がるなんて、期待できなさそうですが、これから先、どうなることやら。
hReview by ゆーいち , 2008/08/30
- ANGEL+DIVE 2 (2) (一迅社文庫 し 1-2)
- 十文字 青
- 一迅社 2008-08-20
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ANGEL+DIVE 1.STARFAKE
あえてこのような言い方をしよう。君たちの運命は歪んでいるのだ。
出会ってからたった二度しか言葉を交わすことのなかった少女・トワコに「忘れてほしい」と告げられた少年・夏彦は、知らずに惹かれていた彼女のことを忘れるなどできなかった。人が好いけれどそれ故に貧乏くじを引きまくる彼を、なぜか気に入った学校でも有名な姉妹・依慧と織慧や幼馴染みの希有たちとともに、トワコを探し始める夏彦。そして、今まで交わらなかったはずの運命が交わり、物語の幕が上がる。
続きが気になる……っ!
いったい、このエピローグの部分に至るまでの間に何があったというのか。そこまでの展開も急展開といえば急展開でしたが、ラストを見てしまうと、この驚きを生み出すための長いプロローグだったのではないかとすら思えてしまいますね。
続刊前提の刊行なので、こういう引きになったんでしょうけれど、にしても続きが気になる。
ぼんやりした裏表のない素直な夏彦と、彼を取り巻くひとたちや、新しくできた友だち。その出会いのせいで、夏彦はこれまで想像もしたことのないような事件に巻き込まれ、日常から外れた運命を背負わされたようなのですが、語られていない部分にどれだけの急転直下の出来事があったというのか。
そこもおいおい語られていくことになるのでしょうけれども、夏彦のあれからがどうなったのか、そしてそこに登場しなかった依慧や織慧や希有らのそれからとか、気になることが盛りだくさん。続刊も期待ですね。
hReview by ゆーいち , 2008/05/27
- ANGEL+DIVE (1) (一迅社文庫 (し-01-01))
- 十文字 青
- 一迅社 2008-05-20
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