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機械じかけの竜と火焔の翼
こうやって俺とお前が会ったのも、お前の星の強さゆえかもしれない。俺がお前に機会を与えてやる。
選ばれた者のみが動かすことのできる機巧鎧・エリュシオンに乗り、リュクサリア軍の旗印となったイアン。王都奪還に向け進軍する中、思わぬアクシデントにより妹姫・フランシスカとともに本隊からはぐれてしまう。一方、リュクサリア軍を迎え撃つ形となったオルガンドは、兄殺しの異名を持ち恐れられる第三王子・ダジェスの招致を決定していた……。
偽の王子として担ぎ上げられることになったイアンの本格的な戦いはこれからだ! 素性を隠し、真実を知る人間には必要とされつつもその不本意さから辛く当たられ、逆に何も知らない妹となった神子姫・フランシスカの無垢な信頼が重荷となるという、行くも帰るも過酷な運命。というか、もはやここまで来たら戻ることもできず、ただただリュクサリアの王都奪回のために戦うしかなくて。
イアンの置かれた境遇は奴隷だった頃から生活の質自体は大きく改善されてはいるものの、そもそも貴族という彼からしてみれば別の生き物のようなひとびとの中に突然放り込まれて、満足に王子役をこなしてみろというのが無茶なことで、その気疲れとか場違いさから来る劣等感だとかは抱いたとしても誰も責められないよなあ。むしろ、そんな状況を作り出さざるを得なかったファウラーやヴィクトのフォローの適当さといったらもう……。
そして、王都奪還という最大の目標に向かって突き進むはずのリュクサリア軍も、トップである五公たちのプライドのせいで戦闘の前に大きな困難に巻き込まれたり。いきなり本隊と分断されたイアンが出会ったのは、宿敵であるオルガンドでも名高いダジェス王子。兄殺しの異名を持ちつつも、彼の語る信念にはぶれがなくて、小さな共通点を持ちながらも、心の在り方が正反対なふたりに思えましたね。黒い牙・マンフレートとともに、イアンの前に立ちはだかる強敵として今後、何度も剣を交えることになりそうな予感。
二国間の戦いに静かに介入することとなる「工房」の目的も今ははっきりとしませんね。パーシヴァルの冒頭で見せた好戦的な態度と、終盤、友軍として登場した際に見せた態度のギャップが何を意味するのやら。今は頼もしい味方でも、どこかで牙を剥いてくるんじゃないかという不安がぬぐえませんね。
そして始まる大きな戦い。盛り上がりを見せる直前で終わってしまうというのは続刊前提でやる分にはいいんでしょうけれど、ここで待たされるのかあ、という気持ちもありますね。今回は今後の展開のための下準備的な位置づけなのか、大規模な戦闘とかは行われず燃え分不足な感じもしたので、次巻はその分、派手な戦闘シーンなども期待したいですね。
hReview by ゆーいち , 2009/07/08
- 機械じかけの竜と火焔の翼―双竜記〈2〉 (電撃文庫)
- 安彦 薫
- アスキーメディアワークス 2009-06-10
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機械じかけの竜と偽りの王子
僕は……。……僕はアルトゥール。フランシスカの兄です。
リュクサリアへ侵攻するオルガンドの襲撃を受けつつも、奴隷のイアンはその場を辛くも逃れることができた。しかし、逃げる最中、偶然にも搭乗し動かすことに成功した
偶然動かすことのできた機体は、王家の血を引く者のみが操れる特別製。そのおかげで、戦争に巻き込まれ、さらには身に覚えのない兄の役目まで押しつけられたイアンの波乱の物語が幕を開ける。
中世的な世界がらも、そこに機巧鎧と呼ばれるロボット的な要素を盛り込んで、なかなかに重厚な展開を予感させる第1巻です。機巧鎧のデザインを FSS の MH っぽいなあとか思ったり。まぁ、大昔に作られたはずの機体が、現行機を圧倒してみせたり、なんだか不思議パワーで窮地を脱したりってのは、ある意味お約束ではありますが。
主人公のイアンは、奴隷として扱われていたせいか、貴族や王家といったこれまでに全く縁のなかった世界に組み込まれようとしても、なんだかビクビクオドオド。政治的な道具扱いされてますが、彼を利用しようと思いついたヴィクトも善意からって訳でもなさそうだし、これからさらに微妙な立場になっていきそう?
そもそも、王国を守るべきトップの人間たちの多くが、自らの功を焦ってたりして、これから反撃しなければならないのに、姫を巡って争ってる辺りが生っぽいというか、そんなんで良いのか、いい年したオッサンどもが。
物語的には、後の世に大きな戦争として語られる戦史のまだ序章の段階。そもそも、双竜戦争というからには、もう一方の竜が出てこないと話にならないのですが、それは誰なんでしょうね。いろいろと曰くのありそうなキャラもいましたが。さらにはエリュシオンが発揮した謎パワーとか不思議要素も詰め込まれて、まだまだ裏設定がありそうです。
hReview by ゆーいち , 2008/11/15
- 機械じかけの竜と偽りの王子 (電撃文庫 あ 27-1)
- 安彦 薫
- アスキー・メディアワークス 2008-11-10
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