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平坂読 Tag Archive

僕は友達が少ない

stars これはそんな残念な部活に集う残念な連中の、開始十ページにしてヒロイン二人がゲロを吐くような、とても残念な日常の物語――……

学校で浮いている羽瀬川小鷹は、いつも美少女だけれどいつも不機嫌にしているクラスメイトの三日月夜空が、ある日ひとりで楽しげに話している様子を目撃する。超常現象的な何かが見えるのかという問いに、エア友達と話していただけという斜め上の返答をよこす夜空。ふたりはどちらも友達がいないというそれなりに深刻な悩みを抱えながらもどうすればいいかわからない。しかし、小鷹の些細な言葉から、夜空は友人を求めている人たちを集める部活『隣人部』を立ち上げて……。

リア充に死を!

……でもちょっとウラヤマシイ……。

そんな友達の少ない(グサァッ!)残念な連中が作り上げた残念な部活『隣人部』の残念な日常をこれでもかと描くお話。

前シリーズの『ラノベ部』もそうだったけど、こういう日常系のお話は共感できるかどうかでかなり評価が分かれてきそうだなあ。まぁ、こんな残念で愉快な連中とはついぞ知り合ったことはないのですが、彼らの抱えている友人が少ない事への後ろめたさや、充実した毎日を送っている他者への羨望の気持ちとかは分からないこともなかったり。

友達ホイホイ的な思い付きで立ち上げた『隣人部』、冒頭のエピソードを見るとまだまだ人数は増えていくような感じ。今回は、コワモテ転校生で距離を置かれている主人公・小鷹と、エア友達と談笑する夜空や、お嬢さまだけど友達がいない星奈、邪気眼妹な小鳩、たくましい男にあこがれる女装少年・幸村と、まぁ、これだけでも残念な連中がこれでもかと登場していますが、まだ何人か名前だけの登場なお方がいらっしゃるようで。徐々に魔窟と化していく隣人部の部室の中で繰り広げられる非常にアレげな日常という名の非日常は、そのパロネタと相まって、やっぱりコメディとしてはなかなか上質な感じがしますね。

やや自虐的に、これまたひとによってはトラウマをぐりぐりと抉られる思いがしないこともないかもしれませんがねっ!

夜空と小鷹の幼少時代の思い出とかが、因縁めいた再会を演出していますが、1巻の雰囲気からするといじられっぱなしの肉こと星奈さんの方がヒロインめいてるような気がしますね。小鷹が妙にフラグを立てているような気もしますが、その意味にお互いが気付かないあたり、対人スキルがまだまだだなあという感じも。まぁ、いろいろといじられまくって半泣きになる彼女の姿がやたらと楽しいというのもあるのですが。

さてさて、ハタから見ればすでに友達関係になっているこの奇抜な部活の奇妙な部員たち。メンバーが本当に望んでいる友達関係というのがどんなものなのかとか、目的が手段化しているんじゃないかというツッコミは当然あれど、そうやってわいわいと乾いた毎日に他者との会話という潤いを与えてくれるオアシスのような空間で、これからどんな悲惨な笑いが巻き起こるのか、楽しみですよ。

hReview by ゆーいち , 2009/09/27

僕は友達が少ない
僕は友達が少ない (MF文庫J)
平坂 読
メディアファクトリー 2009-08-21
Amazon | bk1

ラノベ部〈3〉

stars 出逢って、いろんな思い出を共有して、別れて、たまにあいつ何やってんのかなーって思い出したりして――それって、現実の世界と物語の世界で何が違うの?

留学生のリアが加わり、さらに賑やかになったラノベ部。メンバーは増えても、やることは変わらず、相変わらずの雑談に読書に花咲かせる毎日。そんなある日、文香は龍之介と二人きりになった部室で、自分が抱いている気持ちの名前と意味を知る。そして……。

ここでシリーズ完結とは予想外でしたね。だらだらといつまでも続けられそうなネタなのに、ここであえて物語に幕を引くという意味は、あとがきにも書かれていますが、納得できる理由でもあります。

ラノベを中心としたいわゆるサブカルの今をネタにした作品だけに、この作品を1年後、2年後に読むというのはネタ的な部分ではやっぱり苦しいんでしょう。けれど、この物語の中でキャラクターたちが語って、思って、伝えあった物語というものに対する気持ちというものは、新鮮さを優先したネタのチョイスと相反するようにある種普遍的な価値観を持っているのではないでしょうか? ラノベ部という、理想的な空間と、理想的な部員たちに囲まれた、楽園のような優しい時間。ああ、こんな時間を誰かと共有できていればなんて夢想をしてしまうくらいに現実はままならないものですが、優しい物語で心が癒やされるなら、きっと明日も生きていけるのですよ、なんてね。

1巻でも文香に対する暦の気持ちという形でほのめかされていましたが、2巻の龍之介と美咲の恋バナあたりから、恋愛ネタの方面でも割と大きな展開を見せてくれたのが意外といえば意外。そして、そこに一定の決着を見せず、想像に委ねる感じで未来へ繋げてくれたのが爽やか。といっても、個々人のやりとりを見ていると、ラノベ部の中で唯一恋人として成立しそうなのは、やっぱり龍之介と美咲のふたりなんですよね。なんだかんだ、恋人と見れないといいながらも何かにつけて彼のことを考える美咲、ふたりの後輩に告白されつつも、美咲への想いを捨てきれず抱えたままの龍之介。ちょっとしたハプニングと、どちらかの踏み込む勇気さえあれば、それこそラブコメのようなハッピーエンドが迎えられるんじゃないかなとか思うんですががが。まぁ、その前に立ちはだかる障壁、文香とリアは黒化するとかなりの難敵となりそうではありますが。

楽しくラノベを読むという、そんな当たり前のことを当たり前に伝えるためのお話。たまにやってくる読まなきゃという義務感や強迫観念に満ちた暗い気持ちになったときなど、改めて読み直して、物語を読む楽しさというのを再確認するというのもアリかもしれません。

hReview by ゆーいち , 2009/07/26

ラノベ部 3
ラノベ部 3 (MF文庫 J ひ 2-18)
平坂 読
メディアファクトリー 2009-07
Amazon | bk1

ねくろま。∞(インフィニティ)

stars ……諦めるな。俯くな。前を向け。誇りを持て。自分を信じろ。理想の自分を思い描け。願え。足掻け。祈れ。叫べ。その神経と精神と魂の赴くままに想像し創造しろ――お前自身が主人公の、最高にイカした物語を! さすれば《世界》は貴様の望むままだ!

フラグメントを巡る騒動も一段落。日常を取り戻したソリスたちの物語はまだ終わらない! 学院を去るというシェンファは、自分のために街中を巻き込んだお祭り「紅蒼祭」の開催を宣言する。高得点獲得者には豪華賞品を、そして優勝者への副賞としてソリス自身まで賞品扱い。祭りの準備中にせっかく回収したフラグメントが紛れ込んでしまい波乱の予感、果たしてソリスはフラグメントを集め、見事優勝の栄冠に輝くことができるのか!?

最後までハ・ダ・カ!

や~、もう、ここまで突き抜けると諦めも付こうというもの。裸ブコメとはよく言ったものですな。どこで道を間違えたのか……いや、マシロがスケルトンで登場した第1巻からどこか変だったこの物語もついに完結。前巻のラストでソリスとマシロの関係にいったんの区切りが付いて、一歩前へ進んだかと思ったら、その先に用意されていたご褒美のようなファイナルエピソードでしたね。

徹頭徹尾ラブでコメでとにかく楽しくと、そんなお話であるだけに、鬱成分とか切なさ成分とかそんなのどこかへうっちゃって、ハイテンション、ノンストップで、まさに作中のお祭りのごとく最初から最後まで駆け抜けた番外編。

どのキャラにについても幸せな結末を、そしてここから続く輝かしい未来を予感させる何かを残して、これでホントに完結ですね。

終盤の何が何だか分からないカオスさは、それこそ、その世界を作り上げていく多種多様な主人公たちひとりひとりの物語が混ぜ合わさった闇鍋状態の象徴というか。そして、最後の最後に美味しいところをかっさらっていったマシロの策士っぷりに驚きつつ、彼女にとってのゴールと、新しいスタートが祝福で彩られていることに拍手を送って。

このおバカで全裸なお話の幕として相応しいラストに満足させていただきました。

hReview by ゆーいち , 2009/06/14

ねくろま。∞(インフィニティ)
ねくろま。∞(インフィニティ) (MF文庫J)
じろう
メディアファクトリー 2009-04-24
Amazon | bk1

ラノベ部〈2〉

stars 現実の主人公っつーのはね、神様とか作者とか運命とかに勝手に選んでもらうんじゃなくて、自分でなるもんなのよきっと多分。

軽小説部――通称『ラノベ部』。浅羽美咲の決意表明を聞かされ、幼なじみの竹田龍之介は半ば強引にその設立の手助けをさせられる。特にラノベに興味もなかった竹田だが、美咲の協力を断れるはずもなく……。文香が入部する一年前、ラノベ部設立にまつわるエピソードがついに明かされる。そして、ラノベ部に新たな部員入部の気配が……。

読めば読むほどラノベが好きになる、かも?

新キャラも登場、そしてラノベ部の設立エピソードの裏に隠されていた、美咲と竹田の恋の行方がまたほろ苦くて、けれど素敵なお話で、ライトノベルを題材にしたメタ小説、なんて売り文句がなくても、日常系の物語として十分以上に楽しめますね。

もちろん、ラノベを読み込んでいるような重度の中毒者には、昨今のラノベを取り巻くホットな話題を作中のキャラクターの視点から論じて見せたり、特にメタについてのお話についてや、文芸とどっちが高尚? なたびたび繰り返される問題提起など、読んでてうなずいたり感心したりとしきりな部分もあるのが良いですねー。

ラノベ部の面々の日常も見てて楽しいですね。こういう駄弁りができる仲間とわいわいがやがやできる、それだけでも毎日が充実してる、そういう楽しさがこれでもかと伝わってくる内容。そんな中で、文香を中心とした微妙な気持ちの行き交いが生まれ始めていて、特に暦の文香に対する気持ちがなんとも可愛いじゃありませんか。当の文香は天然で空気読まない発言をして暦を見事に籠絡しきってる感じですが、文香は竹田が無意識に気になってる? 一方通行な想いが何方向にも向いてて、割と混沌。

新入部員のリアや、文香の妹の雪華も登場して、どんどんこんがらがっていくこの人間関係。ハタから見ていて楽しいですし、暦の悶々とした様子をこれからも愛でていきたい所存。

そして、今はもう決着が付いているっぽい美咲と竹田の恋の顛末は切なかったなあ。現時点でもお互いがお互いのことを自分以上に理解できてる、けれど、だからこそ恋人とは違った無二の存在としか見ることができない、そうするしかできないというジレンマが痛い痛い。ある意味、恋人以上に近くて、家族とは違った絆で結ばれている、幼なじみという関係は、失恋の痛みが思い出に変わる頃には、素敵なものになっていくのかも知れませんね。幼なじみは結ばれてこそ、と思っていますが、こういう「分かってる」関係というのも、また素晴らしいものですね。

とにもかくにも、ラノベを読んでいるなら一度は感じたことのある「あるある」を楽しげに描いてくれるこのシリーズ、次の巻が待ち遠しいですね。

hReview by ゆーいち , 2009/01/27

ラノベ部〈2〉
ラノベ部〈2〉 (MF文庫J)
平坂 読
メディアファクトリー 2009-01
Amazon | bk1

ねくろま6。

stars ……ハッピーなのがいいなあ……みんなが笑ってる、なーんか最高に笑けて馬鹿馬鹿しいお話がいいなあ……。

魔王・トワの完全復活のためにクオンは賢者の石の欠片――フラグメント回収のためソリスたちと敵対する。クオンの持つフラグメントの力により、異世界に飛ばされたソリスたちは、そこでかつての天地戦争の真相を知る。死すら超越する賢者の石を巡る争奪戦の行方は? そして、いつの間にかシリアス路線になってしまった物語に取り残されてしまったサービス要因たちに見せ場は残されているのか?

すごい勢いで風呂敷畳んだ!?

と思ったらオチがすごすぎて笑うしかなかったですね。というか、もともとこの作品のノリ的に、前巻ラストからの雰囲気が異常だったってことですか。

しかし、まさか自他共に認めるサービス要因な彼女たちが、物語を根底から覆すとは、予想外の展開、だけれど、このお話のラストを飾るには、まさにお似合いの展開と読後に思えるふしぎ!

シリアスパートでは結構意味深な設定がほのめかされてるけれど、その辺全部すっ飛ばして一気に収束させていくのは、急展開、超展開と思いつつも、ああ、でも『ねくろま。』だしな、と許せてしまうのですよねえ。もともとコメディ作品としての色が濃くて、シリアスな部分はアクセントのように感じていたので、それこそ、本巻のほとんどが、作品の大団円を迎えるための前振りだとしてもおかしくないですね。この振れ幅の大きさこそが、まさに本作らしいかなと。

まぁ、万事が万事完全解決というわけでもないけれど、それぞれが得ることができうる最良の結果を得、そして、これからも続いていく、馬鹿馬鹿しいラブでコメな世界を全力で楽しもう、ってそんなハッピーさに充ち満ちたエンディングでしたねー。

そのうち出るっぽい番外編では、その要素をこれでもかと詰め込んだ、おバカなお話になることを期待しています。

hReview by ゆーいち , 2008/11/29

ねくろま〈6。〉
ねくろま〈6。〉 (MF文庫J)
平坂 読
メディアファクトリー 2008-11

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