Home > Tags > 東条 さかな
東条 さかな Tag Archive
SHI-NO-シノ- 君の笑顔
それで良いんです。陳腐な言葉で構わないんです。貴女にそれが伝わるのなら。
前巻から思いっきり続いていて、そしてシリーズ完結。僕と志乃ちゃんの再会とともに起きた事件の真相解明と、最後の事件。
失われてしまったもの、もう戻らないもの、別たれてしまったもの、そして得ることができたもの。事件に巻き込まれ、様々な人間の姿を見せつけられ、その中で僕たちが辿り着く答えは、お互いに握りあった手のひらの温もり。
人間は根源ではどうしようもなく孤独で、他者と交わることなどできなくて、最初から最後まで独りで生きていくことしかできない。そんな風に悟ってしまっていた志乃ちゃんに、そんなことはないと心で思い、願い、伝えようと努力し続けてきた僕。今回の事件は、いろいろなものを失いながらも、決して失くしたくないもの、ずっと寄り添っていきたいものとしての互いを確信するに至るための、なんとも遠回りな告白めいたお話でしたね。
笑顔など見せることのなかった彼女が、僕との生活を通して未来で得ることができたもの。合理的でもなんでもないけれど、それはたった一人で在り続けたままでは手に入らなかった誰かとの絆の形でしょうか。それを描いてくれる最後の挿絵と、読了後に見る表紙絵はなんとも感慨深いものです。
hReview by ゆーいち , 2009/03/22
- SHI-NO-シノ- 君の笑顔 (富士見ミステリー文庫)
- 上月 雨音
- 富士見書房 2009-03-19
- Amazon | bk1
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
SHI-NO-シノ- 過去からの招待状
『貴方』に問いたい。もし『それ』が真実でなかったら、『私』はどうすれば良い?
世間を騒がす猟奇殺人事件に、僕はかつての事件を思い出していた。今回の事件と同じ異常性、同じ悪夢のようなその事件の犯人は、しかし、あのとき死んだはずだった。大阪の町へ戻り、そして再会した彼女と迎えた初めての事件。再び僕たちに追いついてきたその事件から、忘れられない記憶から、逃げず向き合わなければならない。僕たちの未来を共に歩むものにするために。
物語も佳境。ついに、僕と志乃ちゃんの最後のエピソードが始まったようです。
過去から逃げ、かつて暮らした大阪の町へ逃げるようにやってきた僕が再会したのは一時でも兄妹のように生活したことのある志乃ちゃんで。そこから時間を積み重ね、少しずつお互いの距離を縮めつつあるかと思っていた矢先に起きた事件。再会してまもなく巻き込まれた事件と酷似したそれが、ふたりの生活に小さな影を落としてきます。
無関心な態度の志乃ちゃんとは逆に、今回の事件に積極的に首を突っ込んでいくような感じの僕。彼の周囲にいる、鴻池先輩や、さらにプレッシャーをかけてくる公安とか、望むと望まざるとに関わらずに、ふたりはこの事件から逃れることができなさそうな雰囲気。
今回は事件の起こりと過去の語られが大部分だったのか、ふたりの関係が大きく変わるような展開ではなかったのですが、終盤は彼らの与り知らぬところで自体が風雲急を告げていますね。一体どうなってしまうのやら。生死不明で途切れてしまった部分が、次巻でどんな風に語られるのか、怖くもあり、それ以上に気になりますね。
なんというか、これまで僕と志乃ちゃんが経てきた事件と時間を積み重ねた果てに、起こるべくして起こったかのようなこの事件。ふたりが迎える未来は、この事件を乗り越えた先にあるはずですが、それがどんな未来なのか見当が付かないですねえ。まだ十分に語られていない僕と志乃ちゃんが最初に経験した事件、そこで何かが起こっているのは確実で、そして、それが現在進行形で牙を剥いてきてる、そんな印象です。いよいよ次は完結編……? 楽しみですね。
hReview by ゆーいち , 2009/01/10
- SHI-NO-シノ- 過去からの招待状 (富士見ミステリー文庫)
- 上月 雨音
- 富士見書房 2008-12-20
- Amazon | bk1
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
SHI-NO-シノ-空色の未来図
問題は誰が嘘を吐いているかじゃない。誰が、どれだけの嘘を吐いているか、である。
実家へと帰省した僕は年賀状の中に忘れもしない名前を見つけた。大薙詩葉。高校時代の僕の彼女、そして、今はもういない彼女からの年賀状を。帰省前に届けられた詩葉からの手紙には「お願いを聞いてください」そんな言葉が記されていて。そして、僕は彼女の死と向き合うために、彼女との思い出に区切りを付けるために、故郷に戻ってきていた。
僕のスペックがいきなり跳ね上がった感じがしますが、これは主人公補正? あるいは、志乃がいなければ意外にできる男なのかも?
そんなこんなで、僕の過去の一端が明かされるお話。彼女持ちだったとは意外ではありますが、しかし、大学生活初めて志乃との関わりの中で巻き込まれた事件も半端でないですが、高校時代もバカにならない波乱の生活を送っていたんじゃないのかと。
詩葉という少女の存在は、作中で語られているように、すでに常人の枠をはみ出て、ずいぶんと万能感のある存在に昇華されているように思います。というか、これは作者の代弁的に受け取ってしまうなあ、未来を確定させる言葉、希望を捨てないための願いの言葉、彼女の予言が事実となるのならば、それは救いのもたらしを意味するのですが、しかし、これから僕と志乃が向き合う、ふたりの出会いの物語はすでに起こってしまった出来事。そこから、ふたりがどう歩んでいくのか、また別の答えを見いだすことができるのでしょうかね?
僕が故郷で詩葉と決別するためにあらゆるものと戦った事実は、彼にとってまたしても苦い記憶となるのかもしれませんね。けれど、小さな幸せを願い、それを叶えるために皆が想いをひとつにし、実現させた、それだけは変えられない事実としてまた思い出に変わるはず。
さてさて、僕と志乃、ふたりが歩んでいく未来は果たして何色で描かれるのか。次は激動のエピソードが控えていますね。
hReview by ゆーいち , 2008/08/02
- SHI-NO-シノ-空色の未来図 (富士見ミステリー文庫 76-8)
- 上月 雨音
- 富士見書房 2008-07-19
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
SHI-NO ─夢の最果て─
夢の最果てはね、本人がそれを自覚した瞬間に現れる
志乃の母親の随伴して訪れたパーティ。場違いな雰囲気に恐縮する僕の前に現れたのは鴻池キララ先輩と、厳つい警察官の冨樫さん。先日発見された身元不明の遺体の傍に、このパーティの招待状があったため、捜査に訪れたとのことだけれど。そして、夜も更け、そろそろ帰宅しようとした僕たちは、新たな殺人事件の現場を目撃する。死亡推定時刻と、監視カメラの映像から、犯人は間違いなくとある人物に絞られるけれど、決定的な証拠はなくて……。
謎解きというよりは、志乃の独特の容赦なさで犯人を追いつめ、破滅させていく過程がぞくりとさせられたエピソード。堅い殻で自らを覆って、本当の姿を隠していた犯人を、非道い方法で止めを刺してくれました。でも、これ、結局犯人は自白もしてないし、万事解決ってワケじゃないですよね。
相変わらず、ミステリ要素よりは志乃と僕の関係の変遷の方がメインのお話で、僕に対する志乃の感情が、少しずつ波を持ってきているような感じ。僕のために着飾ったり、褒めてもらえないことに落胆してみたり、別の女にこっそり会いに行くと視線で射殺しにかかってみせたりと、そんな感情の起伏が良い方向に向いてるように思いますね。
けれど、彼女の中に抱えた暗闇の部分は、依然として残るわけで。それも含めて、志乃が僕との在り方をどういう風に定めていくのか、そろそろクライマックスとのことなので、答えが示される日も近そうです。
しかし、鴻池先輩は、なんだか乙女チックモードのスイッチが入っていたり。ああいう、プレゼントのおねだりは、ありがちだけれど、ぐっと来てしまいますね。鈍感な僕は、多分何も気付かないんでしょうけれど、さらに修羅場に陥る可能性、上がってません?
hReview by ゆーいち , 2008/03/23
- SHI-NO夢の最果て (富士見ミステリー文庫 76-7)
- 上月 雨音
- 富士見書房 2008-03-08
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
SHI-NO 支倉志乃の敗北
第2部スタート 志乃の内面の変化が語られるミステリ風味(?)な物語
僕の退院祝いの帰り、先輩からもらった、画家・九瑠夜明日の個展のチケット。その個展で出されたクイズに正解した志乃は、保護者代わりの僕を伴って、九瑠夜明日のアトリエへ招待される。気むずかしげな九瑠夜明日。滞在に気乗りしない志乃。すったもんだの末、一泊することになった九瑠夜邸で、事件は起こる。
シリーズ第2部の開幕。という割には、展開に大きな変化は感じられず、どちらかというと今後の展開への橋渡し的なエピソードに思います。
山奥にある隔離された邸宅。電話も車も使えない陸の孤島状態。そこで起きた惨劇。ミステリの定番的な要素を盛り込んでおきながら、事件の解決に至らないという反則技。推理するより感じろと言うことみたいだけれども、ならばミステリのフォーマットを使うことなく志乃の変化を描いて見せてほしかったかなあ。
そんなわけで、僕と志乃の関係が変化の兆しを見せた物語。女の子らしい機微を見せるようになった志乃の中にある、僕に対する思いのウェイトがどんどんと膨れあがって来ているよう。それは志乃という存在にとっては不要なものかもしれないけれど、すでにそれを切り離すことはできないくらいに深い関係になってしまっているような感じ。すでに手遅れ。
エピローグで僕が思いだした過去の情景。それが夢なのか現実なのか判然としないながらも、ふたりがふたりでいるためには決して無視できない何かが、語られていない過去に、そしてこれから語られる未来にあるということは間違いなさそうです。
hReview by ゆーいち , 2007/11/18
- SHI-NO支倉志乃の敗北 (富士見ミステリー文庫 76-6)
- 上月 雨音
- 富士見書房 2007-11
- Comments: 0
- Trackbacks: 1
Home > Tags > 東条 さかな
- 応援中
- サイト内検索
- フィード
- メタ情報
- 53 queries.
- 0.450 seconds.
