Home > Tags > 橋本和也

橋本和也 Tag Archive

世界平和は一家団欒のあとに〈8〉恋する休日

stars 守るだの守られてるだの、たったそれだけの関係なんて、ちょっと寂しいじゃない? 私たちはお互い様よ。できれば対等の関係でいたいの。

柚島の誕生日が近い。美智乃にそそのかされプレゼントを用意することになる軋人。一方の柚島も、いつも守ってもらっているお礼を何かしたいと美智乃に相談を持ちかける。これ幸いと暗躍した美智乃のセッティングにより、ふたりは郊外のショッピングモールでデートらしきものをすることに……。

ついにきた! 柚島さんのターン!!

ふたりの関係が決定的な進展を迎えないまま、そのくせ幼なじみもかくやという熟年夫婦の域へと突入しつつある状況にやきもきしていたのは読者である私だけではなかった! 軋人の妹であり、柚島さんの友人でもある美智乃からすれば、くっつかないのが不思議なくらい、いつも一緒にいるのが当たり前になりつつあるふたり。その関係を進展させるキューピッド役として悪巧み――もとい気を利かせてあれこれ画策した結果がこれだよ!

いやぁ、これはにやける展開。ニヤニヤが止まらない。柚島さんとのデートまがいのお出かけからまさかのお泊まり。ひとつ屋根の下、しかも同じ部屋の中で一夜を過ごすというドキドキの展開に、何か甘い思い出のひとつでも作っちゃえよ YOU! とか思いつつも、そうは問屋が卸さないのもまたお約束か。

そして、いつのまにか物語の主題は軋人たちの関係の進展から、美智乃と、彼女の姿にかつての想い人をだぶらせた、祖父の右腕である煉次の物語に少しずつ変わっていて、けれど今回は主人公である軋人の出番よりも、これまで彼が守ろうとしてきた対象である美智乃や柚島さんの決意やら覚悟やらが試されるお話でもありました。

自身の祖母であり、そして煉次が生涯を賭して護ることを決めたという織花。彼女を失ったことが煉次の内面にどんな変化をもたらしたのかというのは物語を追えば一目瞭然。自分の全てを賭けても守りたいという、彼らしい不器用で、まっすぐで、自分が報われなくともその幸せを傍で見ていられれば満たされるという、それは恋人に向ける感情よりも家族に向ける感情に似ていて。

秘めたる恋、叶わぬ恋、もはやそれを届ける相手はいないけれど、今回の騒動を通じて、織花から届けられた言葉は煉次に確かに届いて、そして、その言葉を継げたのが彼の独善で巻き込んだ形になった美智乃からであるというのもまた、彼の救いの一助となっているのではないのかなあ。

そんなひとびちの物語とは別に、この物語の世界観の部分でも気になることはありますね。この世界、通常ならざる異能の持ち手が少なからず存在する世界。これまでも度々語られてきた見えざる大きなうねりともいうべき世界の意志、あるいは神と呼ばれるかのようなものの存在が、この物語の最も奥深くで歯車を回しているかのような印象。守ろうとしても守ることができない、抗いようのない力の存在をほのめかす煉次と、それを何よりも実感している星弓家の家族たち。なんだか、それが物語に本格的に関わってきそうな気もしますが果たして。今回の事件もそうだけれど、時間を重ね、絆を強め、互いに不可分なまでに関わり合ってしまったときに、大きな試練が訪れるのだとしたら、今度こそ打ち勝つ展開を見せてほしい、そんな風に思いますね。

まぁ、そんなこのシリーズらしい家族の気持ちの温かさにも満足させられましたが、恋愛方面の味付けも今回は強めでさらに満足。柚島さんの軋人との対等の関係を望む決意とか、デレとか、美智乃のそう呼んでも良いのか分からないような淡い恋の予感だとか、見所満載したね。距離も縮まり、順調に次に出かける約束も取り付けて、少しだけ素直になったふたりの進展に拍手を。勘違いからのプレゼントを渡すときの軋人の台詞、それ、プレゼントだけじゃなくて自分自身にも当てはまりますよね。あえてそれを選択する彼の気持ちもそうだけれど、もしかしたら柚島さんも、そんな言葉の裏側を想像して喜んだりしてるんじゃないかなあと思うと、またしてもニヤけてしまうのです。いいから早く付き合っちゃえよ、な!

hReview by ゆーいち , 2009/08/14

世界平和は一家団欒のあとに〈8〉恋する休日
世界平和は一家団欒のあとに〈8〉恋する休日 (電撃文庫)

橋本 和也

アスキーメディアワークス 2009-08-10
Amazon | bk1

世界平和は一家団欒のあとに〈7〉ラナウェイキャット

stars お人好しなんだよ、本当に底抜けのいいやつなんだよ、真っすぐすぎて自分の目の前のことしか見えないやつなんだよ、ここにいる誰にも傷ついてほしくないとか本気で思ってやがんだよ。馬鹿みたいだろ? でもそれができるなら、たとえできなくても、意地でも何とかしてやるって一人頑張るやつなんだよっ……!

刻人が家に連れてきたクラスメイトの少女は巷では「神様」と呼ばれるくらいの予知能力を持っているらしい。そんな彼女・梢が言うには世界はあと一週間で終わっちゃうかもしれないらしい。またしても面倒事に巻き込まれる予感を軋人は覚え、そしてその日が訪れる直前に刻人と梢は失踪する。梢を追いかける謎の黒服軍団も現れ、一筋縄ではいかなさそうなこの事件、はたしてその結末は……?

ようやく陽の目を見た二男・刻人活躍の巻。

影が薄い薄いと言われ続けて早7巻、ようやく彼のターンが来ましたよ。力自慢で周囲の不良たちに慕われつつ、他人から頼まれると嫌とは言えない根っからの善人。けれど、彼女らしい彼女を作らなかった彼が初めて家に連れてきたのは、世界の破滅を予言する少女。

そんな梢も訳ありで、人の好い刻人を自分の目的のために利用しようと近づいて来たのに、疑いを持たずに受け入れる刻人。梢自身の家庭にも彼女の性格をこんなにしてしまった歪んだ事情があって、もはや後戻りできない時点での逃避に似た形で刻人を利用相手に選んでしまったのがまた不思議。

これも、度々言われている、世界の危機を自動的に回避させようとする何ものかの采配のように思えますね。

そうしてみると、その導きは、世界を救うだけでなく、その事件の渦中にある個人や周囲の環境、つまり家族への救済の道も用意しているような心憎さを感じますね。作品名のごとく、一家の幸福なくして世界平和などあり得ない、家族の暖かさがあるからこそ、世界を諦めないでいられる正義の味方たちの優しいお話なんですね。

そんな風にして天から授けられた小さな恋ごころは見事に成就。なんだか、これまでの物語を思い返してみると、だいたいラストには素敵な相方を見つける感じで決着してますねえ。恋の橋渡しの真似事みたいな働きをした軋人自身は、弟に先に彼女作られてしまって、兄の権威失墜な感じですが、隣にいる柚島さんとの一向に進展しない関係もそろそろどちらかから踏み込んで来てほしい気もします。

hReview by ゆーいち , 2009/04/26

世界平和は一家団欒のあとに〈7〉ラナウェイキャット
世界平和は一家団欒のあとに〈7〉ラナウェイキャット (電撃文庫)
橋本 和也
アスキーメディアワークス 2009-04-10
Amazon | bk1

世界平和は一家団欒のあとに〈6〉星弓さんちの非日常

stars 自分を縛るものはない、いつだって好きなように生きていける……そんな『いつだって』に『いつ』なんて永遠に来やしないよ。

シリーズ初の短編集。人知れず世界の平和を守り続ける星弓一家の日常は、普通から見たら非日常。今日も今日とて、ダイエットのために悪党退治を目指してみたり、異星の王子様(?)とゲームで対戦してみたり、挙げ句の果てには邪神復活を阻止してみたり、とどれもこれもが一筋縄では行かないようで……。

悪党退治は何カロリー?

暴飲暴食で体重が絶望的なまでに増加してしまった美智乃が、ダイエットのために選んだ運動は正義の味方として悪党を退治すること、っておい!

その発想がトンデモですが、軋人のシスコンぶりもたいしたものですな。いるかいないか分からない、美智乃の恋のお相手にやきもきしてみたり、ピンチに颯爽と登場してみせたり、と軋人にとって頭の上がらない姉たちとは違って、自分が守らなければならないという妹である、そんな気持ちが感じられたりします。過去の懐かしい回想とかも、この兄妹の仲の良さが如実に表れていますよねえ。

星の王子さま

割とほのぼの。そのくせ、いつの間にか地球規模の危機に巻き込まれていたり、ホント、この一家の周囲には波乱が絶えない、そんなお話。

柚島さんの面倒見の良さと、軋人との夫婦漫才が楽しめたりしますが、彼女なかなかデレませんねえ……。

刃の行方

本編の雰囲気に一番近かった短編かな。

過去にぶちのめした小悪党の鉄砲玉として、軋人を狙ってきた少年には、どうしてもそれを果たさなければいけない理由があって……。

かつての自分と少年の立場をだぶらせて仏心を出してしまったことで迎えるピンチ。割と容赦ない流れでしたが、オチ自体はこの作品らしい気持ち良いもの。自分と同じような後悔をさせたくない一心で、そこまでやれてしまう軋人の主人公属性全開なお話でしたね。

そして、やっぱり柚島さんの尻に敷かれまくりの主人公。こりゃ、進展しないよなあ……。

大邪神の夜

彩美&七美コンビがかつての母校を舞台に邪神退治。なんかスケールでかいんですが、彼女たちにとってみては、邪神だろうがなんのその。それよりも、その背後に隠されていた、とある人物の思いの行方に重きが置かれた、また、これも本シリーズらしいお話でした。

本編は軋人を中心とした語られが多いため、こういう姉同士の会話というのはなかなか新鮮。そして、彩美がしっかり竜助との仲を進展させていたり、そんなところを七美にちゃかされたりするシーンににやにや。

親父や母親、影の薄い弟と、今回あまり出番のなかったキャラもいますが、短編集らしくお気楽に、今までとまた違った姿が見られたりした一冊でしたね。

hReview by ゆーいち , 2008/12/10

世界平和は一家団欒のあとに〈6〉
世界平和は一家団欒のあとに〈6〉星弓さんちの非日常 (電撃文庫)
橋本 和也
アスキーメディアワークス 2008-12-05

世界平和は一家団欒のあとに〈5〉 追いかけてマイダーリン

stars 君の居場所はこんな鳥籠じゃない。これから、君の居場所は僕のとなりだ。

星弓家の家長・耕作の浮気疑惑に、ついに母・志乃の堪忍袋の緒が切れた。「実家に帰る」と言い家を出た志乃。残された星弓家は壊滅的な状況に。主に食事面で。軋人らにせっつかれ重い腰を上げた耕作とともに、志乃説得のために向かったのは耕作の実家で……。
安定して面白いシリーズ第5巻。元姫様で、なんだか影の薄かった母親・志乃と耕作のなれそめから、なんだか照れくさい夫婦愛に帰結したお話でしたね。

もともと、かつて異世界を救った勇者である耕作と、その異世界アーダルハントの王国の姫君であった志乃。周囲から祝福されない関係でありながら、それを成したふたりは出会いからなんだか惹かれ合っていたみたいで、そんなときの想いを今の今まで暖め続けてきたこの夫婦の関係は素敵ですねえ。

発端はちょっとした志乃のわがままで、けれどそれに軋人たちも巻き込まれてのドタバタから一騒動へ。耕作の父親の大三郎も良いノリで笑いを提供してくれるし、家族という狭い範囲で展開する物語なのに、マンネリにならないところはお見事ですねえ。

結局は家族愛に帰結して、そして、それが暖かい余韻を残してくれるんだから、やっぱりこのシリーズは好きですね。この先も楽しみ楽しみ。

hReview by ゆーいち , 2008/07/18

世界平和は一家団欒のあとに 5
世界平和は一家団欒のあとに 5 (5) (電撃文庫 は 9-5)
橋本 和也
アスキー・メディアワークス 2008-07-10

世界平和は一家団欒のあとに〈4〉 ディア・マイ・リトルリトル・シスター

stars でも、あのころは楽しかったんだ……本当に

魔法を操り、怪しげな運び屋家業を営む、星弓家の長女・彩美。酒癖の悪さが玉に瑕の彼女が、二日酔いに苦しめられていたある日、突然子どもの姿に変わってしまう。魔法の暴走かはたまた誰かの陰謀か、その愛くるしい姿に色めき立つ星弓家の女性陣はともかく、彩美の姿をこのままにしておくわけにはいかず、軋人は手がかりを求めて動き出す。

軋人にとっては年の離れた姉で、幼い頃には苦手だと思っていた彩美。他人との距離の取り方が微妙にヘタで、いろいろ誤解されていたおかげで、今になってトラブルが舞い込んできたりと、そんなお話。

過去の彩美が関わった事件と、現在進行する彩美の幼児化現象が上手いことリンクしてますね。過去の事件を連想させる出来事が現在でも起きて、かつて彩美とともに事件に関わった人物たちが登場してきて一気に繋がっていきます。誰が怪しいとか、そう思う以前に、あの幸せそうだったメンバーが替わってしまうことを残念に思い、そして真相が明かされる段階でやるせない思いに変わっていきます。全体的に重くなりすぎないような、バランスの良い物語の展開なんですが、やっぱり当事者にとってはかなりヘヴィな過去があったりと、油断してると結構打ちのめされるような。ま、それでもなんだかんだで収まるところに収まって、気持ちの良いラストシーンですが。

軋人の彩美に対する感情は、結構ストレートな「好き」なんですね。子どもの頃に見せられた彩美の優しさを覚えたままで、ひねくれつつも彼女の弟らしい育ち方をしたのは良いのか悪いのか(笑) 良い弟ぶりを発揮してますが、ちょっとデバガメ根性を出したのは運の尽きでしたかね。影の薄い感じがしていた彩美に焦点を当てたエピソードが語られたことで、星弓家全員のキャラ紹介的な部分は完了? 今後はどういう展開に持って行くんですかねー?

終始ツンっぽい雰囲気の柚島さんが、ついうっかり口を滑らせたシーンがなんともニヤニヤできますね。彼女の本心はどの辺にあるのか、軋人は尻に敷かれっぱなしですが、そんなふたりの関係も見ていて楽しいです。紆余曲折ありつつも、上手く行ってほしいですね。

hReview by ゆーいち , 2008/05/01

世界平和は一家団欒のあとに 4
世界平和は一家団欒のあとに 4 (4) (電撃文庫 は 9-4)
橋本 和也
アスキー・メディアワークス 2008-04

Home > Tags > 橋本和也

応援中
サイト内検索
フィード
メタ情報
広告
ブログパーツ
あわせて読みたい フィードメーター - MOMENTS

Return to page top