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海原零 Tag Archive
薔薇色にチェリースカ
海原零新シリーズ開幕 絶世の美女チェリースカの正体は実は……
エルザ共和国最高に位置する名門ウィン・ゼ・マシュテバリ学園。そこに通う主人公・綺羅崎ヒロは、やむにやまれぬ事情により、学園を独善的に支配する理事長・ギルコの手先として周囲の学生から「犬」と蔑まれつつ生活を送っていた。そんなある日、ギルコの指示で行った工作活動に失敗し、辛くも逃亡した道中、ヒロは蛇の姿から絶世とも言える容姿を持つ美女へと変身を果たすチェリースカと出会う。
物語の立ち上がりのエピソードだけあって、説明がかなりの部分を占め、この独特の閉鎖的な学園の成り立ちや、国家情勢に至るまでこれでもかと積み上げてくるような設定の数々。独特すぎてわかりづらい部分もあったりしますが、優生会に属する登場人物たちの性格の歪みがこれに起因するのは十分以上に伝わってくるかなあ。良識派と言えるような人物はいないような……。
そういう点もあって、好感が持てるというシーンは少なかったりするのですが、海原零はたまにお下品なシーンを入れるのが好きなんでしょうか。『銀盤~』でも初期は結構そういうシーンもあったりしたけど、本作ではいい感じに小休止的に挟まれているような印象。ヒロがチェリースカを意識しまくったり、何やら大変なことになったりと、本人は笑えないような状況でもハタから見るとなんとも滑稽に見えますね。
ヒロと幼なじみの真希の関係は、かつての出来事のせいかぎくしゃくしつつも、彼を無下にできない真希の面倒見の良さが好感。距離を置いていた真希が、事件を通してヒロに再び近づいて、その関係も少しずつ好転していきそう。そこにチェリースカが微妙に引っかき回して、混沌ともしていきそうですが。
チェリースカの目的とか、彼女の敵とか、明かされない部分はこれからの展開に期待。影の薄かった黒幕っぽい優生会の会長ウィリアムとは何やら因縁がありそうだし、そもそも学園を思うがままに支配しようとするギルコも、まだ深い部分で何かを抱えていそうだし、一癖も二癖もあるような四面楚歌の状況下、ヒロらはどうやって切り抜けていくことやら?
hReview by ゆーいち , 2007/10/03
- 薔薇色にチェリースカ (集英社スーパーダッシュ文庫 か 6-12)
- 海原 零
- 集英社 2007-08
- ★★★ | スーパーダッシュ文庫 | ライトノベル | 海原零 | 薔薇色にチェリースカ | 読書感想
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銀盤カレイドスコーブ〈vol.9〉 シンデレラ・プログラム:Say it ain’t so
読了。
最後の最後でとんでもない展開を用意してあったし。
冒頭からの絶望的な展開は、読むのが辛くなるほどで、決着が付く最後の試合と思わせておいてまさかの展開。鈴平ひろのさわやかで美麗な表紙に騙されてはいけない。中は天才たちがしのぎを削るアツいスポコンノベルだ!!
圧倒的・絶対的な実力を見せるリアの最強っぷりが恐ろしいまでに伝わってくる。というか、口絵のイラストだけで絶望させられるってどういうことよ、と。フリープログラムだけでどうやって一冊使うかと思ったら、さらにその先を用意して、タズサ自身の到達点を描いてみせましたね。
リアに植え付けられてしまったフィギュアに対する恐怖や、自身の限界を悟らされた絶望感、それでも自分を自分たらしめていたものであるという現実との狭間で苦しめられていくタズサの心情が痛々しくて仕方がありませんでした。その後の復活の過程も、「苦しくても滑りたい」というアスリートとしての本能にも似た衝動と「楽しいから滑りたい」という、スケートを始めたての少女のような純粋な想いを積み上げて、これでもかと迫る迫る。ラストの演技の描写は、現実離れした印象を受けるけれど、一握りの天才たちの、その頂点に立つ人間が観る世界というのは余人には想像も付かない世界なのか。
ファンタジーではない、現実の、フィギュアスケートという華やかなれど実体は非常にストイックな世界を舞台にした本作。主人公は天才ではあるけれど、トップレベルで競うライバルたちも同じレベルである以上、その優劣はどれも紙一重のもので、決して無敵ではなかったわけで。その世界の中で、さらに別格とされていたリアに、ついに並び立つまでに至ったタズサの物語はここで完結。当初の雰囲気とはずいぶん変わってしまったけれど、スポーツを題材とした物語として、見事に完結してくれたのではないかと、万感の思いを持って評したいところです。
余談。ウパ日記にてウーパーさんが、本作のタズサとリアの関係を、サイバーフォーミュラの新条直樹と風見ハヤトに例えていたけれど、完結した時点での私の印象は、サイバーフォーミュラSINでの、加賀とハヤトの関係に似ているように思えました。全てを投げ打って最後の最後に得た、恐らくはたった一度の勝利、そして足を踏み入れた世界の描写と、燃える展開もめちゃくちゃツボでした。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.8〉 コズミック・プログラム:Big time again!
読了。
タズサの宣戦布告に対して真正面から叩き潰すと応えるリアの絶大な自身と、それを裏打ちする実力。
リアとの勝負は、すなわち自分との勝負であり、その場に至るまでのメンタル面での調整の難しさ、プレッシャーの大きさの描写が見事すぎて読む方まで息苦しくなってしまいますね。
リアへの勝利を射程距離内に収め、いよいよ本番のフリープログラム。まるまる1巻を前哨戦に使ってくれて、後半はどんな風に完結させるんだか。
今回は、タズサやリアの演技以外にも、他の主要なキャラクターの演技の描写にも力が入っていましたね。それぞれの選手が作り出す世界が見事に想像できる感じ。や、技とか具体的なイメージは湧かないんだけど、それでもスゴい演技をしてると伝えられるのはスゴいなぁ。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.7〉 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle
うはー、スゴすぎる。もともとスポ根ものとしても珠玉のシリーズで、プログラムの描写が卓越していた作品でしたが、本作においては、トップアスリートたちのメンタル部分の描写が冴え渡って素晴らしい。
至高であり絶対的な存在のリア。それでもタズサやガブリーにとっては倒すことを否が応でも期待されるわけで、そのプレッシャーに対する両者の対照的な捉え方、対応の仕方が、前半の軽い会話を経た後だとどうにも重苦しくのしかかります。
また、なんだか百合百合な描写のオンパレードの、リア邸での滞在が蜜月なんてのは、それこそあれこれあらぬ妄想誤解を生むこと間違いなし。上辺だけだと嬉し恥ずかしのお泊まりイベントなのですが、タズサのこの件においては、そんな生っちょろいものではないようです。
その後の展開も、ここで描かれた甘い関係を経たからこそ、憧憬の対象としてリアを眺めていたタズサと、アスリートとして到達点に在るリアを倒すという夢物語に挫折しそうになる、競技者としてのタズサ。どちらが勝ったかといえば、本巻のラストで彼女が発した一言に集約されているのでしょう。まさに不退転の覚悟。舞台は整い、いよいよ完結に向けて最後の、あるいはタズサにとっては初めてのリアとの真剣勝負。続きは早めにお願いします。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.6〉 ダブル・プログラム:A long, wrong time ago
次巻がクライマックスとあとがきにありますが、収拾がつかない予感。本巻でタズサを主役におかず、ライバル格として描かれてきた至藤響子とドミニク・ミラーの両名にスポットを当てて、時間軸を前後させながらそれぞれの内面を描く特殊な構成。正直、このストーリーがここに挿入されるべきものであるかどうかの判断は付かないのですが、いけ好かないヤツとして描かれてきたこれまでのイメージに対して別の印象を与えることには成功してるのかな、と。
それにしても、終盤での明暗の分かれ方があまりにはっきりしてますが、ここまで登場人物が増えてきた中、たった三個しかない五輪のメダルが誰の手に落ちるかというのが最後の問題。金は順当にいけばリアで間違いなさそうですが、この群雄割拠の様相を呈してきた物語の、最後の落としどころがどうなるか楽しみに待つとしますか。なんか単巻で終わらず、複数冊に渡ったエピソードになりそうな気もしますが……。
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