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瀬那 和章 Tag Archive

レンタル・フルムーン〈第1訓〉恋愛は読みものです

stars たしかに、変わるってのは怖いことだよ。でも、自分に素直になる勇気があれば、あんがい気持ちいいよ。病み付きになっちゃうくらい。そりゃ、お話みたいにカッコイイ恋はなかなかないかもしれないけど……現実だって、捨てたもんじゃない。

不思議なモノが見えてしまう困った体質の桐島新太は、そのせいでバイトをクビになった帰り道に貸本屋「満月堂」へと立ち寄る。満月堂の店員のツクモは、新太の体質を知るや、自分の手伝いをしろと持ちかける。お互いの利害が一致したことから生まれた協力関係。けれど、その手伝いは世界の存亡に関わるような重大な内容だと知らされて……。

『under』の厨二病全開な作風から随分と雰囲気を変えて新シリーズスタートです。いろいろと残念な登場人物たちが織りなす、ちょっと気の抜けたユルい、けれど世界を救っちゃう感じの物語。

他人との深い関わり合いを避け、読書を唯一の楽しみとするような少年・新太と、貸本屋「満月堂」をひっそりと営む態度ビッグな後輩・ツクモの出会いから始まった奇妙なお話。

奇妙なモノが見える新太を相棒として、世界を実験場として観察をする神様の使い・観測者のお役目を全うしようとするツクモだけれど、自信満々な態度やら、彼女の妹分なオコジョ少女・クルンを都合の良いように使い走らせる自己中さやらとは裏腹に、どこか抜けていて詰めが甘いのはご愛敬。

一方の新太もツクモと出会ってからやることなすこと裏目に出て、せっかく書きためてきた人生を平穏に過ごすための教訓メモも役に立たず、さらには何を間違ったのか横暴にしか思えない彼女に惹かれていったり。そこに色々と残念なもうひとりの後輩・小雪やら、クラスメイトで図書委員な藤崎さんやらも絡んできて、おまけに彼女たちも普通に見えて、実はかなり残念な中身を持っていたりと、誰も彼もが残念三昧。

ツクモと新太は観測者としてパートナーの関係を結ぶけれど、お互いが自分の心の内を器用に見せることができないものだから、お約束通りのぶつかってケンカして。でも、やっぱりお互いが気になるという本心に嘘は吐けなくてピンチに駆けつけてみたりと、色恋沙汰に縁のなさそうなふたりの、恋愛以前の関係から、意識し始めるまでの変化が良い感じに描かれてますね。

なんか戦いとかありますが、そこも良い具合に緊張感が欠如してて、特に終盤の調停戦争の内容とかあほですねー。真剣に、目を輝かせて、対戦する両者がやってるあたりが特に。

と、シリアス成分はかなり薄めで、新太とツクモの珍妙なやりとりを楽しむ感じのお話でしょうか。読み物の中でしか恋愛を楽しむことができなかった、しなかった新太が、読み物の中の登場人物のような面白で難儀な性格のツクモとようやく始めた恋の一歩目。今後は彼女絡みの教訓が、新太のメモ帳に増えていくのでしょうか、楽しみですね。

hReview by ゆーいち , 2009/07/10

レンタル・フルムーン〈第1訓〉恋愛は読みものです
レンタル・フルムーン〈第1訓〉恋愛は読みものです (電撃文庫)
瀬那 和章
アスキーメディアワークス 2009-06-10
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under 2―異界イニシエイション

stars 怖いことは弱さかもしれない。でも、怖いのを知ることは強さだよ。

エレベータの乗客が次々と行方不明となる事件の調査を行う唯人。異界使いとして、異界と向き合う覚悟を決めたはずの唯人だが、その目的と理由を見失いかけていた。守りたいのに、距離を詰めることを拒絶する灯香。薄れることのない異界への恐怖。そして、異界使いたちが次々と殺害される事件との関連が明らかなる中で、その背後で蠢く『グリムザール』が、全てを飲み込むための儀式を成就させようとしていた。

前巻の恥ずかしいような厨二病臭さが良い感じに抜けてきてるのかな。異界使いたちの戦いよりも、それと関わったことによる唯人の葛藤とかが表に出てきているせいかも。

しかし、ヒロインのはずの灯香の出番が少ない少ない。どちらかというと、一心同体な姉・蘭不が今回も活躍してくれたので、そっちの方で割を食ってるんだろうなあ。まぁ、唯人と灯香が仲良くなれど、恋愛関係になったら地獄を見せるとか言ってる姉だから、肝心なところで邪魔をするのは確実。まぁ、今回語られた、蘭不と灯香の悲惨な過去があるからこその、過剰なまでの愛情なんでしょう。少しずつ唯人も認められ始めているけれど、まだまだ先は長そう。

で、肝心の主人公・唯人は、灯香に振り回されてるのかなあ。自分の決意が揺れている中で、守ってほしくなんてない、などと言われたら反駁もしたくなるだろうけれど。そんな弱い自我が、どうやって叱咤され、立ち直ることができたのかというのがもう一つの柱で。唯人が手に入れた、異界使いとしての戦う理由は、この年代相応の、ちっぽけだけれど、だからこそ等身大の願いというのが良いですね。大義名分をかざしても、この世界では周りの大人達から全否定されそうだし。これくらいのわがままな理由だからこそ、自分が自分として戦っていけるのかなと。

物語自体は、『グリムザール』との対決が大きな目標となっている感じ。敵方の組織自体もそれほど大規模なものではなさそうなので、総力戦で決着となるのかな。深淵に至りたいというその望みのためだけに、道を外れていく彼らと、道を外れつつも人であることにこだわろうとする唯人たちとの対決が、迫っているのでしょうか。

hReview by ゆーいち , 2008/09/16

under 2
under 2 (2) (電撃文庫 せ 2-2)
瀬那 和章
アスキー・メディアワークス 2008-09-10

under―異界ノスタルジア

stars 異界に墜ちた魂は現世に惹かれ郷愁に啼く

兄から手紙が届いた。三年前に母校に放火し恋人とともに姿を消した兄・戒人から弟である唯人へ。同封された手紙を月士那探偵事務所へ届けてほしいと、今更ながらの頼み事を。兄の言葉に憤りを感じながらも向かった探偵事務所で唯人は、彼らに出会う。異界に憑かれた人びとに。

序盤の雰囲気は良かったんだけれど、主要な登場人物が微妙な感じがしてしまいましたね。冒頭の流れだと、『Missing』なノリなのかなあと思っていたら、異能バトルに突入してしまったので。

そんな感じで異能を私欲に使う集団を敵に、月士那探偵事務所の面々が、同じ異能を持って戦うという展開。最後の最後の謎明かしで、驚きがありましたが、なんともキャラの行動原理が理解できない部分が多くて微妙な感じがしてしまいましたね。

主人公が何もできないまま、物語の顛末を見届け、最後に選択を成した部分で終わってしまいましたが、これは、今後は唯人も闘いの渦中に飛び込んでいくということ? 身内ですらパワーバランスがむちゃくちゃで、最後の最後は最強社長がジョーカー的に物語を収拾してしまいそうな感じなので、その辺どう見せてくれるのかなあ?

hReview by ゆーいち , 2008/02/23

under―異界ノスタルジア
under―異界ノスタルジア (電撃文庫 せ 2-1)
瀬那 和章
メディアワークス 2008-02-10

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