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火目の巫女 Tag Archive
火目の巫女〈巻ノ3〉
行動原理の根幹に自己犠牲の精神があるのではないかと思えるほどの、我が身を省みない献身的な行いをする人物の多いこと多いこと。伊月は人の話を聞かない独断専行だし、豊日や佳乃は冷酷に現実主義的に、誰かに犠牲を強いようと考えながらも、自分を盾に誰かを守ろうとする死にたがりだし、茜はその純真さからか、誰かが孤独であるときには傍にいてあげようと思ったり。
冒頭が比較的穏やかな日常であった分、その後、都に起きた事件の惨状の痛々しさがやたらと引き立てられてるよな。これまでに出てきた人物やら事件やらの名称が、ぽこぽこ出てくるので、これまでの記憶を辿りながら読まないと結構苦労しますが。ちょっと分かりづらい描写の部分もあったし、この辺が作風といえば作風かもしれませんが、読んでて映像の浮かぶ文章の方が好みかな。
で、終盤での展開で、伊月の身に何が起きたのかとか、建国にまつわる約定の顛末とか、物語の本題となりそうな謎が出てきましたが、どうにもハッピーエンドの絵が浮かばないこのシリーズ、どんな風に今後進んでいくのやら?
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火目の巫女〈巻ノ2〉
前巻のようなどうしようもないやるせなさは多少なりを潜めてはいますが、やはり弱い人間はなすすべもなく死んでいく世界。頂点に立つ帝自身が自らの市を望むのだから、世間が荒廃していくのも宜なるかな、といった感じですが。
永劫の別れと思われていた伊月と佳乃が思ったよりあっさり再会したり、前巻で拾われた子が次代の御明かしとして育てられていたりと、その背後にある長谷部氏の政治的な思惑とか野心とか、まだまだ闇は深そう。
本巻の引きからすると、次巻が出るとすれば初代の火目・霞楼を豊日の回想として語ることになるのでしょうか。伊月の見たものの正体とか、作品世界の根幹に関わる設定とか、明かされるお話になりそう。
ともあれ、次回も期待。
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火目の巫女
火目と呼ばれるお役目を目指し、集った少女たち三者三様の生き方を描いた、もの悲しい物語。
時代の一片を切り取ったようなエピソードで、その前後にも同様の悲しみが生まれては消えていくことを思わせる時代背景と設定。
本作の主人公として描かれた伊月が目指した火目という役所の、ただ一人の人物の感情を満たすために作られたシステムに過ぎないという、傲慢にして残酷な事実。そこに生きる人たち皆々が、化生の恐怖から逃れるための縁とする火目が、その実、化生の存在と表裏一体の不可分であるという皮肉。目指すものの価値が信じられなくなり、恩人である豊日への矛盾した感情に苦しめられることになる終盤の展開は、重々しいの一語に尽きます。
結局、伊月、佳乃、常和の三者が、再開する日は二度と来ないということを理解しながらも、過ごした時間の中で育まれた絆は消えていないことを仄めかすエピローグの余韻は、なかなか素晴らしいものだったかと思います。
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