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銀盤カレイドスコープ Tag Archive
銀盤カレイドスコーブ〈vol.9〉 シンデレラ・プログラム:Say it ain’t so
読了。
最後の最後でとんでもない展開を用意してあったし。
冒頭からの絶望的な展開は、読むのが辛くなるほどで、決着が付く最後の試合と思わせておいてまさかの展開。鈴平ひろのさわやかで美麗な表紙に騙されてはいけない。中は天才たちがしのぎを削るアツいスポコンノベルだ!!
圧倒的・絶対的な実力を見せるリアの最強っぷりが恐ろしいまでに伝わってくる。というか、口絵のイラストだけで絶望させられるってどういうことよ、と。フリープログラムだけでどうやって一冊使うかと思ったら、さらにその先を用意して、タズサ自身の到達点を描いてみせましたね。
リアに植え付けられてしまったフィギュアに対する恐怖や、自身の限界を悟らされた絶望感、それでも自分を自分たらしめていたものであるという現実との狭間で苦しめられていくタズサの心情が痛々しくて仕方がありませんでした。その後の復活の過程も、「苦しくても滑りたい」というアスリートとしての本能にも似た衝動と「楽しいから滑りたい」という、スケートを始めたての少女のような純粋な想いを積み上げて、これでもかと迫る迫る。ラストの演技の描写は、現実離れした印象を受けるけれど、一握りの天才たちの、その頂点に立つ人間が観る世界というのは余人には想像も付かない世界なのか。
ファンタジーではない、現実の、フィギュアスケートという華やかなれど実体は非常にストイックな世界を舞台にした本作。主人公は天才ではあるけれど、トップレベルで競うライバルたちも同じレベルである以上、その優劣はどれも紙一重のもので、決して無敵ではなかったわけで。その世界の中で、さらに別格とされていたリアに、ついに並び立つまでに至ったタズサの物語はここで完結。当初の雰囲気とはずいぶん変わってしまったけれど、スポーツを題材とした物語として、見事に完結してくれたのではないかと、万感の思いを持って評したいところです。
余談。ウパ日記にてウーパーさんが、本作のタズサとリアの関係を、サイバーフォーミュラの新条直樹と風見ハヤトに例えていたけれど、完結した時点での私の印象は、サイバーフォーミュラSINでの、加賀とハヤトの関係に似ているように思えました。全てを投げ打って最後の最後に得た、恐らくはたった一度の勝利、そして足を踏み入れた世界の描写と、燃える展開もめちゃくちゃツボでした。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.8〉 コズミック・プログラム:Big time again!
読了。
タズサの宣戦布告に対して真正面から叩き潰すと応えるリアの絶大な自身と、それを裏打ちする実力。
リアとの勝負は、すなわち自分との勝負であり、その場に至るまでのメンタル面での調整の難しさ、プレッシャーの大きさの描写が見事すぎて読む方まで息苦しくなってしまいますね。
リアへの勝利を射程距離内に収め、いよいよ本番のフリープログラム。まるまる1巻を前哨戦に使ってくれて、後半はどんな風に完結させるんだか。
今回は、タズサやリアの演技以外にも、他の主要なキャラクターの演技の描写にも力が入っていましたね。それぞれの選手が作り出す世界が見事に想像できる感じ。や、技とか具体的なイメージは湧かないんだけど、それでもスゴい演技をしてると伝えられるのはスゴいなぁ。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.7〉 リリカル・プログラム:Be in love with your miracle
うはー、スゴすぎる。もともとスポ根ものとしても珠玉のシリーズで、プログラムの描写が卓越していた作品でしたが、本作においては、トップアスリートたちのメンタル部分の描写が冴え渡って素晴らしい。
至高であり絶対的な存在のリア。それでもタズサやガブリーにとっては倒すことを否が応でも期待されるわけで、そのプレッシャーに対する両者の対照的な捉え方、対応の仕方が、前半の軽い会話を経た後だとどうにも重苦しくのしかかります。
また、なんだか百合百合な描写のオンパレードの、リア邸での滞在が蜜月なんてのは、それこそあれこれあらぬ妄想誤解を生むこと間違いなし。上辺だけだと嬉し恥ずかしのお泊まりイベントなのですが、タズサのこの件においては、そんな生っちょろいものではないようです。
その後の展開も、ここで描かれた甘い関係を経たからこそ、憧憬の対象としてリアを眺めていたタズサと、アスリートとして到達点に在るリアを倒すという夢物語に挫折しそうになる、競技者としてのタズサ。どちらが勝ったかといえば、本巻のラストで彼女が発した一言に集約されているのでしょう。まさに不退転の覚悟。舞台は整い、いよいよ完結に向けて最後の、あるいはタズサにとっては初めてのリアとの真剣勝負。続きは早めにお願いします。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.6〉 ダブル・プログラム:A long, wrong time ago
次巻がクライマックスとあとがきにありますが、収拾がつかない予感。本巻でタズサを主役におかず、ライバル格として描かれてきた至藤響子とドミニク・ミラーの両名にスポットを当てて、時間軸を前後させながらそれぞれの内面を描く特殊な構成。正直、このストーリーがここに挿入されるべきものであるかどうかの判断は付かないのですが、いけ好かないヤツとして描かれてきたこれまでのイメージに対して別の印象を与えることには成功してるのかな、と。
それにしても、終盤での明暗の分かれ方があまりにはっきりしてますが、ここまで登場人物が増えてきた中、たった三個しかない五輪のメダルが誰の手に落ちるかというのが最後の問題。金は順当にいけばリアで間違いなさそうですが、この群雄割拠の様相を呈してきた物語の、最後の落としどころがどうなるか楽しみに待つとしますか。なんか単巻で終わらず、複数冊に渡ったエピソードになりそうな気もしますが……。
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銀盤カレイドスコープ〈vol.5〉ルーキー・プログラム:Candy candy all my rules
相も変わらず、ラノベ界唯一にして無二(多分)のスポ根フィギュア小説の最新刊。今回も存分にその卓越したフィギュアシーンを楽しませていただきました。
ジュニアスケート界とシニアスケート界の断絶に近い溝。スポーツとしてのフィギュアスケートに真摯に取り組む者と、そうでなかった者の差。アスリートたらんとたゆまぬ鍛錬の積み重ねの果てにある、ほんの一握りの人間のみが辿り着ける頂がいかに遠く高い者かを、新キャラ、キャンドル・アカデミアの視点から描いていきます。振り返れば、終盤で彼女が感じた絶望と、来るべき大会への恐怖はVol.1~Vol.2でタズサが辿った道と極めて近しく感じます。タズサをして本質的に似ていると言わしめるキャンドルは、果たして過去のタズサのように逆境をすら糧に変えることができるのか、このまま腐らず意地を見せてほしいところ。
才能で伍するとしても、明暗を分けるのは、その他多種多様の要因──練習量に支えられる体力・技術力・精神力──であることを冷徹なまでに突きつけたタズサのアンチヒーローっぷりに乾杯。このまま世界一の嫌われ者になる日も近いかも? けれど、彼女は笑って「望むところ」と言うのでしょう。その魅力を欠片も損なうことなく、毅然と、あるいは傲慢に。
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