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繰り世界のエトランジェ 第四幕 青のラメント

stars これで、悲しみの連鎖は断ち切られる――そして、新しい世界が始まる。

世界を異能で満たそうと企む“女神”を追う透真たちは、その支配下にある鬼による破壊活動の情報を得、その場へ急行する。そこで透真たちを待ち受けていたのは、全身に鋭い爪を纏った「爪鬼」と、巨大なタイヤを持つバイクの化け物のような「輪鬼」だった。そして、鬼を狩る鬼である「炎鬼」蒼蓮も現れそれぞれの思惑は混迷の度を増していく。

話がいよいよ混乱してきましたよ?

どうも、この作品、敵味方の関係が割とあっさり変化したり、重大な決心をさらりと済ませたりで置いてけぼり感がありますね。特にカタナと、彼女が追っていた「神の手」の間にあった感情って「そんなんだったっけ?」と冒頭を読んで首をかしげてしまうような流れで……うーん、前回の話を忘れてるだけだったのかな。

そして、今回もどこにも与せず、その身に科せられた事情があったとはいえ、単身で戦い続けてきた蒼蓮を籠絡する件も、簡単だなオイ、とツッコミを入れたくなったり。というか、透真の行動がどんどん悪役っぽくなってきてるんですが。もともと正義の味方的な立場じゃない気もしますが、大見得はたいて壮語した自分の言葉を、流れのままにさらりとスルーしたり、それでいいのか、主人公?

お話的には、ようやく次巻あたりで、目的となる場所が判明しそう? それと同時進行している神の手の目的に関わる、カタナ自身の問題も残っているので、それをどうやって解決してくれるのか。カタナはヒロインポジションにいるはずなのに、影が薄くて不憫です。カラー口絵でもなんか隅に追いやられていたり。これでは冥が正ヒロインのポジションにいるようではないですか。あれ、そうだったっけ?

とにもかくにも、結構な引きで続いてるので先は気になりますが、やっぱりこの作品、それぞれの勢力の立ち位置がよく分からないというかころころ考え方が変わってるような印象と、やたらと力押しなバトルのせいで盛り上がりらしい盛り上がりがなかなかないんですよね。あと、コードギアスの対マオ戦そのままみたいな知略戦は正直どうかと思ったり。

hReview by ゆーいち , 2008/12/17

繰り世界のエトランジェ  第四幕 青のラメント
繰り世界のエトランジェ 第四幕 青のラメント (角川スニーカー文庫)
赤月 黎
角川グループパブリッシング 2008-11-29

フレンズ×ナイフ〈2〉死神を包む風

stars あかりちゃん、ありがとう。あかりちゃんのおかげで……亜子は、もっと頑張れるよ。

夜な夜な被害者を生み続ける「辻斬り」の調査を行うあかりは、その過程で正義の味方を名乗る謎の集団「剣持つ聖者」が関わっているらしいということにたどり着く。そして、調査の過程で再会した、幼なじみ・柊撫子。亜子が師匠と呼ぶ彼女は、この辻斬り事件についても何かを知っているようだが、それを頑として語ろうとしない。容疑者らしき少年・司馬と対峙するあかり。彼との会話の中で、行方が知れなくなった亜子の妹・美優と司馬に接点があることに気づいて……。

お話的にはあかりが主人公なんですけれど、彼女は物語の中心ではなくて、最終的には、亜子と美優の姉妹の確執をいかにして解くかという点に収束していくのかなあ?

全容の知れない集団「剣持つ聖者」の登場と、今後に因縁を残すことになる司馬という少年の登場。あかりにとっては雪辱を果たさなければならない相手となってしまった彼の元に、これまた浅からぬ縁を持つ美優が身を寄せているわけで。前回はやたらと殺伐とした展開になってどんだけ泥沼になるんだと思っていたのですが、今回の亜子の発言とかを見ると、なんだか救いが見えてきましたよ?

にしても、亜子が空気でしかたない。あかりにとって、大切にしたい友人以上の存在になっているのに、彼女の素直に気持ちを表すことのできない不器用さのおかげで、肝心なところではぐらかしまくっていてもやもやしますね。これ以上関係が深くなると百合百合ーな感じになりかねませんが、どんとこい! むしろ、そういう展開も見てみたい。けれど、亜子のちょっと足りない感じの性格からすると、そこに恋とかそんなにおいを見つけることはできないので、この微妙にすれ違った関係を楽しむのが正解なのかもしれませんが。

そして、あかり的には結構重要な惣一との関係を進める野望のためには、逆に亜子は恋敵ポジションにいるのが悩ましところ。反転したら大変なことになって、一気にドロドロしてしまいそうですが、はてさて? 飄々とあかりの気持ちをはぐらかしてる感じの惣一自身が、私はなんだか怪しく思えて、今後重要な役割を演じてくるのかと思っているのですが……。

相変わらず、作中内の異能・ソーマ、その他の呼称が激しく厨二病くさくてもにょもにょしてしまいますね。風我絶彩とかね、そのネーミングが……あうあうあう。戦闘シーンの描写がちょっと説明過多なところがあったりして、スピーディーな戦闘をしているはずなのに、スローに感じてしまった場面がいくつか。ああ、それって、マンガがアニメ化されたときに感じる違和感と似てるのかも。

ともあれ、友情を主題においている作品なだけに、今後もっともっとあかりと亜子にはいちゃいちゃしてほしいと思うのですよ。

hReview by ゆーいち , 2008/12/12

フレンズ×(ウィズ)ナイフ〈2〉死神を包む風
フレンズ×(ウィズ)ナイフ〈2〉死神を包む風 (MF文庫J)
星家 なこ
メディアファクトリー 2008-11

ぴにおん!

stars たとえば。世界が誰かの見ている夢だとしたら。アンタはどうする?

ちっぽけな発火能力を持つだけのいたって普通の少年(のつもり)佐々木与四郎は、かつてTVの奇人オーディションに出場したことがあった。その場で、生温かい視線で、超能力をスルーされた苦い記憶を忘れるために、心機一転遠方の学校へ進学した与四郎は、入学式当日、クラスの自己紹介で突飛な発言をする少女と出会う。「木元二葉です。佐々木与四郎と3年後に結婚します」そう言った彼女をはじめとして、与四郎に迫る美少女が続出。彼女のたちの狙いは、実は……。

涼宮ハルヒのまぶらほ

とでも名付けてあげましょう。ってなもんで。

所々で他作品を彷彿とさせる部分があり、これまたパロディなのかオマージュなのか判断に困るところです。主人公の独白が、どうにも苦手な口調なので、その時点でハードル高かったんですが……。

そんな感じで、主人公に迫る美少女軍団、彼女たちの狙いは、主人公のアレ。なんというか、ヒロインたちに好意がないときついですねえ、与四郎の心境的に。特にメインヒロインのはずの二葉は壮絶にデレない。ツンしかない。何、この凶暴キャラ。対抗のナナも天使と悪魔の両極端な性格で、主人公に対しては毒舌メインだし、唯一関西弁な外国人・ニーナが癒しを与えてくれる……?

まぁ、主人公がうじうじしてるわ、ヒロインは凶暴だわ、さらには物語のオチが延々と突飛な展開を見せてくれた割りに、非常に遠回りで身近な問題のスタート地点にたどり着くまでだわと、なんとも読者を選ぶ作品じゃないかなあ。挿絵ぱらぱら見てみると、見事に二葉は笑ってない。う~ん、冒頭の印象を引きずったまま、改善されないのはキャラ作りに失敗してる気がするけれど、こういうのが好きなひとにはたまらないんでしょうかね。

二葉のそんな態度にも、結構な理由があるんですが放置気味、それぞれの抱えた問題は棚上げにして、これから始まる物語のための壮大なプロローグ、そんなお話。これ、もしかして続き、出たりします?

hReview by ゆーいち , 2008/11/30

ぴにおん!
ぴにおん! (MF文庫J)
樋口 司
メディアファクトリー 2008-11

繭の少女と街の防人

stars 俺たちは今、境界を越えて古い理の中にいるんだ。

街の中に存在する、目に見えない「境界」。こちら側とあちら側を隔てるそれは、ときとして迷いを持つ人間を誘い込み姿を消させる。境界を見張る防人としての役目を持つ少年・諏訪守は、美貌を持ちながらも粗野な性格の少女・桜野ミチルから持ちかけられる境界絡みの事件を、解決していく。

なんだか古式ゆかしい雰囲気を持つ作品。悪くいうと、全体的に古くさい感じを受けてしまう、といったところでしょうか。

全体的に説明不足で、守が持つ街の防人としての役割や能力がよく分からないまま話が進んでいって、やや置いてけぼり感を覚えてしまいます。

そして、続刊が前提の構成になっているので、タイトルにもなっている「繭の少女」の紹介がほとんどないまま、この巻が終わってるあたり、消化不良じゃないのかなあと思ってしまいます。

最後のエピソードで、彼女(と彼女に属するものたち)と防人との間の因縁めいたものは感じられましたが、それよりも、そのエピソードで描かれた、境界に関わってしまったひとたちの悲劇的な結末の方がインパクトがあったり、というか、後味悪い終わり方でぐんにょりですね。

あとは守がどうにも冷め切って、さらにはその能力が万能くさいのがなあ。ピンチらしいピンチがなくて、淡々と事件を収束させたり。その辺が盛り上がりが感じられなかった一端なのかもしれません。

hReview by ゆーいち , 2008/11/15

繭の少女と街の防人
繭の少女と街の防人 (電撃文庫 く 1-9)
栗府 二郎
アスキー・メディアワークス 2008-11-10

ミサキの一発逆転!

stars 気づいた。犬ころ一匹、守れんような男に、国家の安寧は守れない。

犬吠ミサキの通うファネス音楽学院高等学校で事件が起きた。学院中に飾られている肖像がが破られ、ミサキの親友のキリカが疑いをかけられてしまった。キリカの無実を信じるミサキは、自分と彼女の退学をかけ、背水の陣で単身真犯人捜しに乗り出すが、その途中、学校内に侵入してきた黒ずくめの男たちに遭遇してしまう。男たちの狙いは、ミサキの手にしたあるもので、それには大きな秘密が隠されている!?

むぅ、これは難しい。読むのが大変でした。往年の九郎先生を思い出してしまいましたよ。

主人公のミサキが、親友にかけられた嫌疑を晴らすために、一日という猶予の中で真実を見つけるために奔走する、なんて出だしで始まったかと思ったら、いつの間にやら世界を揺るがす3つの譜面を巡る争いに発展していって……。

登場人物はそんなに多くないのに、それぞれの気持ちが場面場面でカチカチと気持ち良いくらいに切り替わって、本音がどこにあるのか分からなくなってしまうのが混乱の原因かなあ。ミサキからして、お相手となるおちゃらけた先輩と真面目な警察官の間で気持ちが揺れたり、そして、先輩の方はもう行動原理が全く分からないくらいにこっちに付いたりあっちに付いたりと、全体的に分かりづらい感じがしてしまいましたね。というか、ミサキの気持ちに共感できなかったりすると辛い展開かなあ。

で、そんな粗い作品でも、所々で光る表現や展開があったりするんですよねえ。もうちょっと、読みやすい文章にしてくれれば、ありがたいのになあと。

さて、単巻で完結するかと思ったら、続くようですよ? 追っかけてみるか、様子を見るかは、そのときに考えましょう。

hReview by ゆーいち , 2008/11/02

ミサキの一発逆転!
ミサキの一発逆転! (MF文庫J (い-02-01))
石川 ユウヤ
メディアファクトリー 2008-10

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