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オイレンシュピーゲル 弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!
甚大な犠牲を防ぐため、それより遥かに小規模な犠牲をためらえる幸福など、もはや誰にも残されてはいない。
ミリオポリスにロシアの原子炉衛星〈アンタレス〉が墜落した。その事故の裏で暗躍する7つのテログループ。墜落現場から奪われた部品を使い、この街で引き起こされようとしている最悪の陰謀に対し、〈猋〉小隊は三手に別れ事件を追いかけて行く。
うおおおお。熱い! そして、それ以上に容赦がない!!
2巻目にして、こんな大事件が引き起こされるとは、この先どんな展開が待っているのやら……。
衛生の落下事故を契機に、動き出すテログループたち。主義主張の異なるそれらが、ただ一つのものをリレーし、ミリオポリスにもたらそうとする災厄は最悪のもので。それを回避するために、それぞれが別任務に就く涼月たち。互いを互いでフォローしあう理想的なチームが別行動を取ったとき、彼女たちに突きつけられるのは、あまりに過酷な現実と、無力感ばかり。
大人たちの論理と力は、例え特甲を持った少女たちといえど簡単に覆せるものでもなく、まさに百戦錬磨の大人たちがくぐり抜けていく修羅場の中で、涼月が、陽炎が、夕霧が晒されるのは、容赦のない残酷さ。
どの局面でも、力はあるけれど心はまだまだ未完成な彼女たちが、傷ついていく様が描かれているし、戦いの描写自体も生々しいのでなおさらにきついですね。今回も容赦なく、戦端が開かれれば人間は当たり前のように死ぬし、1秒前まで言葉を交わしていた味方が、あっさりと退場する過酷さ、あるいは、戦場という世界の当たり前さの描かれ方には妥協がないわけで。
特に涼月が組み込まれたユーリー中佐率いるロシアのチームのエピソードは、その顛末があまりにやるせなくてショックも大きいですね。いやはや、ホントにすごい話。
『スプライトシュピーゲル』とのリンクがはっきりとしていて、あちらの登場人物がこちらに顔を出していたりで、あちらのストーリーがどうなっているのかも楽しみになりましたね。早速読みたいところです。
そして、こんな厳しい世界の中でも、なんだか乙女パワーを発揮している陽炎に癒されますね。何この夢見る女の子。可愛いじゃないか。
hReview by ゆーいち , 2008/06/26
- オイレンシュピーゲル 2 (2) (角川スニーカー文庫 200-2)
- 冲方 丁
- 角川書店 2007-05
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オイレンシュピーゲル 壱 Black&Red&White
始まりますな……この街が犯し続けた血まみれの怠惰……その全てを精算する闘争が。
国連管理都市ミリオポリス。〈猋〉遊撃小隊所属の三人の少女、涼月、陽炎、夕霧は、警察組織 MPB の指示の元、凶悪犯罪者たちを撃滅する。失われた生身の肉体の代わりに与えられた、機械の四肢。残酷な世界の中、少女たちは闘い続ける。
「なんか世界とか救いてぇ――……」そんな涼月の一言で始まる物語。同一世界を別視点で描いた『スプライトシュピーゲル』とは、設定が一緒なのに随分と受ける印象が違うなあと言うのは、やはりキャラクターの内面にかなり踏み込んだ描写がされているからなのかな。
特甲を与えられる彼女たちの過去は、どれもこれも重いものなのは変わらないけれど、そこに混じる主観の多寡で随分と移入してしまうなあ。
1巻目の構成は、どちらも似た感じで、キャラクターの紹介を兼任したそれぞれの過去話を含めたエピソード。壊れそうな過去を持ちながらも、今も闘い続ける彼女たちの、それぞれの理由というのは、やっぱり世界の悲惨さを反映しているような。
そして、プリンチップ社製の武器を携え、〈猋〉の前に立ちはだかるのは、生身の人間。そこが、『スプライトシュピーゲル』とは大きく違うのかなあと。ばたばたと人が死んでいくし、大変なことになってるし、その辺の潔さというか、殺伐さというか、そんなところが、本作の方向性なんですかね。
hReview by ゆーいち , 2008/06/25
- オイレンシュピーゲル 1 (1) (角川スニーカー文庫 200-1)
- 冲方 丁
- 角川書店 2007-01
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スプライトシュピーゲル〈1〉 Butterfly & Dragonfly & Honeybee
いきましょう、お二人とも。この決して墜ちない羽を手に入れたあたくしたちになら、きっと出来ますわ。
ミリオポリス。かつてはウィーンと呼ばれたオーストリアの首都。近未来、超少子高齢化社会において、11歳以上の全市民に労働の権利が与えられた世界。妖精と呼ばれ、空を舞う少女が3人。これは機械化された身体を持つ特甲児童、焱の妖精・鳳、乙、雛、MSS――ミリオポリス公安高機動隊に所属する少女たちの物語。
独特の文体がハードルとか言われる本作。普通に読めたので一安心。通常の文章とはまた違った、圧縮されたような印象を受ける文体は、確かに作品世界のあらゆる速さを象徴しているように思いますね。
身体を機械化された少年少女が戦う世界。そんな子どもたちた世界を守り、そして壊そうとする世界。本作に登場する鳳、乙、雛の三人も、それぞれがこんな境遇に陥らざるを得なかった過去を抱え、それと向き合い、あるいは引きずり、生きています。
なんとも容赦のない物語で、彼女たちの言葉が、明るく響けば響くほどに、その裏に秘められている残酷な現実というものを嫌でも意識してしまうような。そして、MSSの敵となるテロリストたちも、その正義の実現のために、あらゆる犠牲を是とする、終わりの見えない戦いを仕掛けてきて。
子どもたちが犠牲になる、そんな世界の非情さがどうしようもなく描かれていて、そこに生きる少女たちが、幸せになれるかどうかわからないけれど、どんな未来が描かれるのか、シリーズを追っていきたいと思います。
hReview by ゆーいち , 2008/06/22
- スプライトシュピーゲル 1 (1) (富士見ファンタジア文庫 136-8)
- 冲方 丁
- 富士見書房 2007-01
- ★★★ | スプライトシュピーゲル | ライトノベル | 冲方 丁 | 富士見ファンタジア文庫 | 読書感想
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