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吉永さん家のガーゴイル Tag Archive

吉永さん家のガーゴイル〈15〉

stars 御色町の皆――我は吉永家のガーゴイル。この名を忘れないで欲しい。

レイジとケツァルコアトルの奸計により、御色町は壊滅状態、そして街の守護者たるガーゴイルは破壊されてしまった。人々の疲れた心にガーゴイルと百色という敵を作り出し、吉永家は孤立する。けれど、戦いは終わったわけではない、ガーゴイルの復活を信じ、双葉はガーゴイルの欠片を集める、そして、百色も東宮も、御色町を大切に思う誰も彼もが、反撃の時を待ち諦めずそれぞれの戦いを続けている。

ついに完結した『吉永さん家のガーゴイル』。前巻の衝撃的な引きから、やっぱり今回もシリアス風味の展開で、正直シリーズ初期の雰囲気からするとこういう路線にどうしてなってしまったのかという疑問は生まれてしまうのですが、それはそれ。無事に大団円にたどり着くことができました。そういった意味ではまさに感無量。

作中で流れた時間は二年余り。物語が進むにつれて、双葉も和己もガーゴイルも、そして、ガーゴイルの元に集った様々なひとたちも変わっていく成長していく。それが実感できた最後のお話でしたね。

明確な悪役として描かれつつも、御色町を彼なりの心で愛したレイジという存在の矛盾は、もうどうしようもない段階となっていて、彼の結末自体は、この作品的にぎりぎりな決着だったのかなあといった感じ。ここまで露骨に悪を描く必要があったかといえば疑問だけれど、御色町に対して抱いた愛着は嘘ではなかったように思えるし、しかし、だからこそ、彼がこの町を訪れるまでに吉永家とガーゴイルが町のひとびととの間に築いた信頼こそが、レイジの目論見を打破し得た。この事実をレイジは認めることができるのか、それはもう想像するしかないのですが。

絶体絶命の窮地からの反撃となった最終巻。正統派は燃え展開ではありますが、やっぱりらしくないなあという印象を引きずったまま最後の最後で、懐かしいノリが復活。最大の危機は去ったけれど、これまでと同じように小さないざこざだったりトラブルの種だったりは出てくるのかも。けれど、自らの名乗りを変えられたガーゴイルは、きっと、これからも成長していくのかな。単なる門番ではなく、吉永家の一員として、家族として、これからもずっとずっと、楽しい面々と、大好きな町を見守っていくために。

とにもかくにも、ラストシーンはそんな日常への帰還を実感させてくれる、あっさりだけれど、だからこそ嬉しい嬉しい締め方でしたね。お疲れ様でした。

hReview by ゆーいち , 2008/08/03

吉永さん家のガーゴイル 15
吉永さん家のガーゴイル 15 (ファミ通文庫 (た1-1-15))
日向 悠二
エンターブレイン 2008-07-30

吉永さん家のガーゴイル〈14〉

stars もうすぐ余の研究は終わる。ガーゴイルの破壊をもってな。

ガーゴイルと百色の復讐に生きる男・レイジが吉永家を訪れた。正々堂々と真正面から宣戦布告し、果てはガーゴイルと百色以外の誰ひとりとして、御色町の住人は傷つけないとまで宣言する。ガーゴイルたちの包囲網から悠々と逃げ延びたレイジの行方を掴むこともできず、ガーゴイルはただ己の使命を果たすべく、すべてを守るため警戒を続けている。

物語のラストエピソードは、やはり宿敵ともいうべきレイジとの対決。随分と格を上げ、ラスボスらしい振る舞いを見せてくれていますが、相変わらず通常の良識とは斜め上の理論で動く男。御色町に愛着を感じながら、この所行、まさに外道。

前巻から感じてましたけれど、どうにもこういうシリアスな路線の話が延々と続くと切なくなりますね。これまでも、重いエピソードはありましたが、結局最後はその事件に関わった皆が笑顔になれるようなラストで締められていたけれど、ことレイジ絡みの事件に限っては、ここからどう展開しても誰も彼もが幸せになれる道なんて見えないように思えますが。絶望的な状況下に置かれてしまったガーゴイルと、吉永家。これまでの温かな交流で生まれた絆を逆手に取られて、孤立無援の状態になってしまう双葉の涙は痛々しいし、そしてガーゴイルがこれからどうなるのかも気になります。

次巻はヒッシャムの言葉とかから推測すると、『おるたなてぃぶ』のキャラも参戦してきたりするのかなあ。オールキャストで最後の戦いに向かうという展開、燃えはありますが、それ以上に温かな結末を迎えてほしい。文字通りの大団円に至ることを期待しています。

……正直、バトルとかが前面に出るのは、『おるたなてぃぶ』でお腹いっぱいなので、こういうまさに最終回的なエピソードで締められるのはどうかなあとか思っちゃいましたけれど。

hReview by ゆーいち , 2008/05/31

吉永さん家のガーゴイル14
吉永さん家のガーゴイル14 (ファミ通文庫 た 1-1-14)
日向 悠ニ
エンターブレイン 2008-05-30

ガーゴイルおるたなてぃぶ〈4〉

stars ミズチとの最終決戦 舞台は遥か空の上!?

レイジと袂を分かったミズチが不穏な動きを見せている。各界の有力者に脅迫めいた手段で資金援助を迫り、その要求は、ひかるの師である東宮天祢にも向けられていた。脅迫の手段として用いられた凶悪な威力を秘めた爆弾。暴走を始めたミズチを止めるべく動き始めようとした矢先、ひかるは狛の襲撃を受ける。そして、その背後にはさらなる脅威『力ある者』の存在が……。

う~ん、微妙な結末でした。ガーゴイルの世界をシェアしながら、少年マンガ的なヒーローものとしての物語を見せてくれていたのですが、やはり、本家の印象が色濃く残っているせいでい、その雰囲気のギャップに戸惑う部分が大きかったです。

物語も、本家の背景で進んでいる事態を扱っていたせいか、補完的な位置づけに思えてしまって、こちらを単独で楽しむには、登場人物たちの個性が今ひとつ足りなかったのかなあ。ヒッシャムさんとか、むやみやたらと目立ってましたから。

ひかるの持っている力が、ともすれば万能にして無敵になりかねないもので、今回登場したラスボスキャラも、自尊のわりにはマヌケすぎて自爆した感じがするし、本気でバトルを展開するには、やはりどこか無理がある舞台だったのかなあ。ガーゴイルの世界という先入観を払拭するには、登場人物を完全に切り離すか、あるいは別の時間軸で展開するとか他の方法もあったのかなあとか思います。

とりあえず、この世界の中で異質めいていたミズチとの抗争(?)は、こちらのシリーズで決着が付き、あとはレイジと彼が生み出したであろうガーゴイルの敵との対決が、あちらのシリーズで語られるんだろうけれど、このノリが続くとちょっと辛いなあ。

クライマックスにさしかかるとは言うけれど、やはり最後はほのぼのと暖かな話で締めてほしいと願うばかりです。

hReview by ゆーいち , 2008/02/04

ガーゴイルおるたなてぃぶ4
ガーゴイルおるたなてぃぶ4 (ファミ通文庫 た 1-3-4)
田口 仙年堂 日向 悠ニ
エンターブレイン 2008-01-30

吉永さん家のガーゴイル〈13〉

stars 吉永家に迫るミズチの魔手 でもやっぱり御色町は平和が一番

ミズチの首領となったレイジは、ガーゴイルへの復讐を諦めていない。百色からの警告は、それが吉永家の人々への危険が迫ることすらも含んでいた。警戒を深めるガーゴイル。しかし、そんな彼の警戒網をかいくぐり、完璧に吉永家に侵入して見せたミズチの尖兵は、双葉と同じ顔を持った小さな小さな人形のような妖精・ピクシーで……。

レイジという存在それ自体が、『ガーゴイル』の世界においては異端。あってはならない明確な「悪」で「敵」。そんな彼が『おるたなてぃぶ』と本編の両方に関わってくるから面倒なことこの上ないですね。『おるたなてぃぶ』は次回で一応完結らしいので、ミズチを巡る騒動自体も、某少年漫画誌のように引きずられまくることはないと思われるので一安心ですが。

そんなわけで、ミズチが偵察役として送り込んだピクシーが、吉永家に居着いてから始まる一騒動の顛末記。敵でありながら、家族として扱われているピクシーに対して、門番であるという役割に固執するガーゴイル。役割を果たそうとしたときに、ピクシーのような矛盾した存在が相手となったとき、悩んで出した答えは簡単で当たり前、でも、それは自分を吉永家の家族と見なすことができていなかったガーゴイルには出すことができなかったものでした。パパさん、ママさんの言葉足らずながらも確かな愛情でもって接せられたガーゴイルやピクシーが、真に吉永家の家族になるためのエピソードでしたね。最後はこういうハッピーな終わり方をしてくれるだけ良いのですが。

物語がスタートして作中の時間は2年が経過。短いようで長い時間の経過は、人間だけでなく、ガーゴイルたちの内面もすら確かに変化させてきてます。役目を果たすための存在でしかなかったガーゴイルが、自分で考え、為したいこと成すことができるようになってきた、その変化こそが、御色の街で暖かく育まれてきた、人々の愛情の結実であると思うのです。

hReview by ゆーいち , 2007/11/15

吉永さん家のガーゴイル 13
吉永さん家のガーゴイル 13 (13) (ファミ通文庫 た 1-1-13)
田口 仙年堂
エンターブレイン 2007-10

ガーゴイルおるたなてぃぶ〈3〉

stars 少年漫画的バトルはエスカレート こっちはこの路線かなあ

いつも世話になっている親分さんからとあるものの護衛を依頼されたひかるとガー助。そのとあるものは、これまたどえらい代物で、そしてそれを狙っているのはあの怪盗百色。腹が減っては戦はできぬと、並々ならぬ食欲をみなぎらせて豪華客船に乗り込んだはいいけれど、なんだか様子がおかしそう?

本編『吉永さん家のガーゴイル』とのクロスオーバー具合が加速してきてる感じ。あちらのシリーズから怪盗百色一家(笑)やら、もう忘れていた微妙にマイナーな彼が重要な役回りで出てきたりとなかなか心憎い展開。

ただ、展開的にはバトル要素が前面に出てきていて、今回に至ってはそれが顕著な感じ。そういうものだと割り切って読めばいいんだけど、さすがに本流シリーズの印象が強いせいか、違和感がぬぐい去れませんね。

ひかるの起死回生の大発明も、どうにも物語の展開の都合上──な印象が否めないし。や、でも彼女の身内を大事にしたいとか、居心地のいい家族という空間への並々ならぬ愛着とか、根底にある暖かい部分は変わらずに感じられるのですけどね。

敵方組織のミズチはボスの一角がかなり暴走してるせいか、いつ崩壊してもおかしくないような雰囲気。そんな中、妄執に突き動かされて、ただひたすらに打倒ガーゴイルを目指す彼が今後、さらに悪辣な手を講じてくるのかが心配ですね。

ああ、こういう明確な「悪」という存在がこの作品世界にあるということに、私はどうしようもない違和感を感じているんだろうなあ。

hReview by ゆーいち , 2007/08/31

ガーゴイルおるたなてぃぶ〈3〉
ガーゴイルおるたなてぃぶ3 (ファミ通文庫 た 1-3-3)
田口 仙年堂 日向 悠ニ
エンターブレイン 2007-07-30

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