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戦う司書と終章の獣
飽き果てた。待ち続ける日々の長さと、この世界に生きる全ての人に
バントーラ図書館で異変が起きている。書架を守るはずの衛獣たちが、あり得ない行動を取り始めた。自らが護るべき領域を超え、地上を目指し、そして武装司書たちを襲い始めた。そんな中、館長代行のハミュッツは、防戦一方となる武装司書たちを助けることなく語り始める。バントーラ図書館と、武装司書たちの存在の真の意味と、これまでひた隠しにされてきた世界の真実を。そして、世界の終末の始まりを。
これまで積み重ねてきた世界の全てが、一気に崩壊を起こすエピソード。世界のため、平和のため、正義のため、戦ってきたはずの武装司書たちの存在意義が根底から否定され、何もかもが結末を迎える物語。
これまで、物語を引っ張ってきた、キャラクターたちが一気に退場したりして、この全滅エンドまっしぐらの静かな終末は、恐ろしさに勝る虚無感を覚えますね。
動き出した天国、それを滅ぼす唯一の手段『菫色の願い』の真の意味、そして、ここに来てようやく明かされたハミュッツの過去。これまでたくさん散りばめられていた伏線が一気に回収されると共に、最後の最後の伏線が張られたということでしょうか。
世界に絶望したもの、倒れたもの、何もできず後悔に苛まれるもの、そして、息絶えつつも目的を果たし笑うもの。一体誰が勝者足り得るのか。ハミュッツの笑みの真意も謎のまま、緩やかに死に行く世界。ここからどんな展開があるのか想像もできませんが、いよいよクライマックス。なんか、とんでもないラストがありそう。とにかく、完結まであと一息。期待が高まってます。
hReview by ゆーいち , 2008/05/01
- 戦う司書と終章の獣 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 1-8)
- 山形 石雄
- 集英社 2008-04-25
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戦う司書と虚言者の宴
神溺教団壊滅から1年 新展開!
多大な犠牲を払い、神溺教団を壊滅に追いやった武装司書たちの戦いから1年。平静を取り戻しつつある世界の中で、年に1度のパーティを無事催せるくらいまでに至った。多くの司書たちが集う会には、マットアラストやハミュッツら、図書館のトップから、ヤンクゥら見習い、そしてそこには武装司書・神溺教団の両方からその命を狙われていたオリビアの姿もあって……。
前巻で明かされた天国の正体、武装司書と神溺教団の絶対秘密の繋がり、新たな楽園管理者となったミンスの動向、新生した神溺教団の活動、と様々な要素が絡み合いつつも、新たな展開を迎えた本作。地味な雰囲気を漂わせながらも重厚な物語でした。
今回の主人公は、天国を滅ぼす唯一の方法を知るとされる、オリビアと、ノロティにあこがれ、武装司書を志す見習いのヤンクゥ、そして天性の嘘で司書たちから神溺教団の存在を煙に巻こうとするマットアラスト。前巻のような派手な戦いはないものの、それぞれの思惑が交錯した騙し合い化かし合いが見物です。特に、自らの記憶をすら囮として、真の目的をハミュッツから最後まで隠し通したオリビアの捨て身の知略は見事。ハミュッツに対して1度ならず2度までも土をつけた彼女の、執念の結実でしたね。目的を失い腑抜けていたハミュッツに再び強い意志を宿らせる結果になってしまいましたが、彼女の破滅的な思考とそれ故の余裕が、これからの展開に大きな影響を与えてくるのは間違いありませんね。
そして、見習い・ヤンクゥの孤独な戦いと破滅の兆候。ただ、ひたすらにノロティの理想を実現しようと努力し、見せつけられたのは敵と思っていた神溺教団が、自らの村にとっては利する存在であるという矛盾した事実。そして武装司書の真の姿に気づきながらも、それを明かすことすらできず、雌伏を強いられる屈辱。その果てに歪んだ思いに至った彼は、今後悲劇的な末路を辿りそうな予感がひしひしとしてきますね。というより、武装司書の壊滅フラグ成立?
敵と味方の区別がだんだんと曖昧になってきて、主役の立ち位置に応じて世界がまるで反転したかのように見える構成はお見事ですね。最後に登場した、本当の主人公と語られた「彼」がどのような立ち位置で、この世界を生きていくのか、ようやくこの物語も本流に突入したということでしょうか。
hReview by ゆーいち , 2007/10/04
- 戦う司書と虚言者の宴 (集英社スーパーダッシュ文庫 や 1-7)
- 山形 石雄
- 集英社 2007-08
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戦う司書と荒縄の姫君
うああああ、冒頭からとんでもない展開が。まさかノロティが……orz
このシリーズも、主要なメンバーだろうが、感情移入度が高そうなキャラクターだろうが、必要とあればあっさりと退場させる容赦のなさが光ります。インパクト重視でなく、その後の物語の必然として死後、「本」の形で生きる人々に道を示したり思いを伝えたり。
バントーラ図書館を襲った、かつてない最大の危機。全世界と相対することになってしまったハミュッツ率いる武装司書の数はわずか数百。総力戦・殲滅戦となり、泥沼の様相を呈し、傷つき、倒れていく人々の物語。その裏側で、ノロティの死の真実を追うエンリケがたどり着いた地は奇しくもシリーズ1作目の舞台。
もう、この伏線の巧みさには全面降伏。というか、これまでのシリーズのキャラ名を忘れたりしてると、人物関係追い切れないのが少々辛い部分がありますね。人名辞典とかほしいです。
これまでのシリーズの一区切りを迎える巻だけあって、盛り上がりも大変なものでしたね。登場人物の内面の描写とか、遺したものの影響とか、そういった部分まで丁寧に描いている作品ですが、今回はそれもピカイチ。エピローグのやりとりとか切なすぎです。そして、神溺教団壊滅かと思われたところで、新たな展開。この終わりのない武装司書と神溺教団の対立の構図を崩すことができるのか?
ラスコール=オセロの意味深な台詞とか、世界の真実はまだ明かしきられていない模様。今後の展開が非常に気になる激動のエピソードでした。
……ああ、それにしてもノロティ……。彼女に対する気持ちがエンリケとシンクロして、今回は大変に痛い話でもありました。
- スーパーダッシュ文庫 | ライトノベル | 山形石雄 | 戦う司書シリーズ | 読書感想
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戦う司書と追想の魔女
巻が進むごとに、正義の護り手として思い込まされていた武装司書のイメージが、がらがらと崩れていきます。いや、全部代行が悪いんですが。今回もその名に恥じぬ悪逆非道っぷり。その感情を揺らす瞬間を求めるがこそ、善だろうと悪だろうと、楽しそうならば与するという彼女の在り方そのものが、この世界の混沌さをさらに深める原因であるという。こんな悪に染まりきった主役級が居て良いものか!?
今回も緻密に構築されたストーリーと既存の伏線の回収の妙が絶妙です。過去のストーリーを思い出せないと、なかなか楽しめないというデメリットはありますが、全体を通しての完成度はピカイチでしょうねぇ。
そして、正義に生きようとするひとや、自らの望みを愚直に求めようとするひとはほとんど報われないという非情な世界。今回のストーリーを引っ張ったヴォルケンは、自らの信念に殉じる形になってしまいましたが、最後の最後にその信念すらも全くの幻であったということを思い知らせるような怒濤の展開は、本当に容赦ないなと。主にハミュッツのせいで。
そして、いよいよ図書館勢力と神溺教団の激突の瞬間迫る? 今回誕生した無力だけど、それ故にハミュッツすら恐れさせる可能性を持った新たな勢力はどのように関わってくるのか。これまでは主要キャラの1対1の対決がメインだったけど、そろそろ総力戦に突入するのでしょうか?
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戦う司書と神の石剣
地味ながらも以前のシリーズの伏線をしっかりと回収しつつ進行する物語。過去に登場した人物たちの、また違った側面が描かれたり、『本』という形で死後も世界に関わり続けることを許容する世界観をしっかりと活かした地に足のついたストーリーテリングですね。
不倶戴天の敵同士と思われてた武装司書と神溺教団が深いところで同一の目的を持っていたり、謎の人物ラスコール・オセロの正体が明らかになったり ──こちらは1巻である程度想像付きますが──今回の主人公ミレポックとアルメの正逆の強さと弱さのを描くと同時に、世界の深淵に切り込んできていますね。
ここらで全巻再読して、物語を整理してみないとキャラを忘れそうですが、このしっかりした設定と不安定さを感じない盤石の展開は、なかなかないですね。
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