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新井輝 Tag Archive

ROOM NO.1301 #10 管理人はシステマティック?

stars 全部は無理でも、すごく大事なことくらいはわかりたいじゃないですか。

佳奈に自分の気持ちを伝え、そして報われることのなかった日菜は健一に慰めを求めていた。健一は男と女ではなく、親友として、そんな彼女の傷ついた心を救おうと思いを巡らす。そんな出来事を境にしたかのように、皆が変わっていく。まるで、この幽霊マンションからの旅立ちのときが来たかのように、少しずつ、けれど確実に変わっていっている。

富士ミス最後の砦(?)な本作もいよいよクライマックス。次巻で決着を付けるためなのか、物語が一気に動き出していってますね。出番のなかったひとたちも動きまくり、健一をはじめとして、綾や冴子、刻也、そして日菜と、幽霊マンションの住人たちがそれぞれ歩き始めたような印象です。

マンションの住人同士、そこを出てしまったらもう会うことができない、そんなルールが少しずつ表に出てきていますね。日菜と健一は親友として良い感じの関係を築けたのに、日菜の自立を以て見守ることしかできない関係に変わってしまうのは切ないですね。

そして、健一と一番深い関係っぽかった冴子の身に起きたトラブルも、次巻でどう決着するのやら。なんだか重い展開が用意されてるような気がするけれど、どうまとめてくれるのでしょうかね。恋人のはずの千夜子は出番少なめ、もうちょっと彼女にも見せ場をおお。

シリーズ完結しても、コミックやら別レーベルでの単行本やらが出るみたいですね。がんばって終わらせなくても、他レーベルへ引っ越してもいい気がしますが……。ともあれ、最後のエピソードを楽しみに待ちたいところです。

hReview by ゆーいち , 2008/10/04

ROOM NO.1301 #9 シーナはヒロイック!

stars シーナ&バケッツ メジャーへの道! そして日菜の恋の行方は?

シーナ&バケッツのTV放送のための収録が終了した。健一は変わっていく。もちろん、彼の周囲のひとたち、綾、刻也、冴子、千夜子も。健一とコンビを組み、自身の姉への想いに懊悩してきた日菜も。
他者との歪な関係を持ち続けてきた健一は、綾との会話でひとつの道を示される。普通の恋愛はできなくても、別の方法なら探せると。
そして、TVでふたりの姿が日本中に放映された夜、日菜は決意を持って姉である佳奈へと想いを告げて……。

健一のあいまいで、八方美人な態度に振り回されているように思えていたこれまでのストーリーが、シーナ&バケッツの成功を契機に、彼が変わってきていることを感じるようになってきた第9巻。もう9巻。

自分の恋愛観が「普通」じゃないことを自覚して、それでも千夜子との恋人関係が5年後も続いているかというのはなかなかの謎。どこか変わった部分を持った女性ばかりが登場する作品なだけに、千夜子自身も何か訳ありだったりするのかな、と。

今回のラストで、ついに日菜は佳奈へ告白。もちろん、その想いが報われないことも、これが契機に関係が半ば壊れてしまうことも、これまでのプロローグ部分で仄めかされていましたが、傷心の日菜の前に現れたのが健一っていうところが。

傷の舐め合いでもなく、単なる依存でもなく、不思議な関係を築いてきている13階に住まうひとたち。日菜の失恋が彼女の心を引き裂くのか、あるいは別の形で成長を促すのか、それは次巻のお楽しみ?

hReview by ゆーいち , 2007/11/23

ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・すりー

ROOM NO.1301しょーとすとーりーず・すりー読了。

短編集第3弾。なんか思った以上に薄いので、やや物足りない感は残りますが、4本の短編どれもが楽しいお話でした。

この作品は、各キャラ間の思わぬ繋がりが新たなストーリーを生むという、そんな連鎖で世界がどんどん広がっていくのですが、今回はよりにもよってBL小説『ああんっ!メガネ様☆』*1がどの話にも関わったり関わらなかったり。まさかあの喫茶店店主、今西女史がこんなものを書いてるとは、てか彼女が小説家だってのをすっかり忘れていました。人物図鑑が欲しいかも……。

あと、露骨なぇちぃシーンはなかったけれども、そこはかとないお色気とか、挿絵もいい感じのが揃っていて、やはりこの作品の短編集は、お気楽なノリで読みやすい感じでした。

最後に収録された小説家と担当編集の関係は、どこかにモデルがあるのかなぁとか、ちょっと邪推したくなりましたが(笑)

  1. ……このタイトル見て吹いた []

ROOM NO.1301〈#8〉妹さんはオプティミスティック!

ROOM NO.1301〈#8〉妹さんはオプティミスティック!読了。

ラストのライブの盛り上がりがよろしかったですね。未来の視点で描かれているプロローグ部分で、シーナ&バケッツの解散という事実は規定されているけれど、健一とシーナの通じ合った気持ちから、どのように別離へ繋がっていくのか激しく気になりますね。健一が何気にオールマイティな天才肌だということも描かれているあたりが、原因の一端だったりするのかな。

いろいろとまったり話は進んでるけど、登場人物同士の関係や掛け合い、目に見えない縁の繋がりというのが読んでいると別ってきて面白いですね。健一たちの前の13階の住人たちも結構出てきているし、当人たちは気付かないでも読者はいろいろ想像できたりします。

とにもかくにも、冷めているようにしか見えなかった健一が、何かを真剣に打ち込もうと思えるようになったのは大きな前進ですね。その果てが、恐らくは13階との別離なのでしょうけれど、それは大人になるということと同義なのかもしれないなぁ。

だらだら続くシリーズながら、結構節目だったように思えるエピソードでした。

さよなら、いもうと。

さよなら、いもうと。読了。

妹の死で停滞していた主人公が、歩き出すまでのお話。作中で描かれた、妹が生き返るという奇跡をさしおいても、いずれは同じ結論にたどり着いたかも知れないけれど、果たされなかった妹の願いを主人公に自覚させることで、一気に自立させたかのような印象。流れとしては、この作者さんらしく非常に淡々として、目を見張るような素晴らしい描写とかはないものの、会話が絶妙で、登場人物たちの機微をすら暗に想像させられてしまいます。巧い。

結局は、肉親と他人との明確な線引きを認識し、妹の死を自分なりに昇華するという結末でしたが、そこまでのおとぎ話のような優しい物語は、なかなか良いものですね。

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