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来楽零 Tag Archive
Xトーク
さあ、怖い話をいたしましょう
怪談好きが集まるサイトのオフ会に私は参加する。全部で5人の参加者がそれぞれ怪談を持ちより、発表するというものだ。落ち着いた店に移動し、蝋燭を5本灯し、自己紹介も省いて怪談を語り出す。その、現実か幻かも分からないくらいの生々しい怪談に、私は没入していく。
まさに世にも奇妙な物語。なんかぽつぽつホラー物の物語も見かけるようになってきた感じかなあ。個人的には、作者の前作『ロミオの悲劇』の方が、瞬間的な怖さみたいなのは感じたんですが、本作の場合は、もう、怖い話だって覚悟ができてるから、耐性があったのかもしれませんね。
どの話も、オチがかなり後味が悪くて、そして当然こういった怪談話に関わった人物の末路というのは決まっていて、救われねえ~、なラストでした。
全編そんな感じで、淡々と怖い話が綴られているので、明るい作品の合間に読むとなんだか引き締められる感じが(笑) どの短編もオチを書いてしまうと興醒めなんで深く感想書けないけれど、個人的には一番最初の「クックロビンの埋葬」が悲劇的で良かったなあ。
hReview by ゆーいち , 2008/06/16
- Xトーク (電撃文庫 ら 4-6)
- 来楽 零
- アスキー・メディアワークス 2008-06-10
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ロミオの災難
「すき」と言えない高校生の揺れる思いを描く、ちょっと怖い物語
夏休み明けの文化祭に向けた演目の決定に頭を悩ませる演劇部の部長・如月。一年生が五人だけの部活では、裏方に回りたいなどという自分の要望が通るはずもなく、全員で何とか公演できる演目がないかを話題にした矢先。突然、倒れてくる棚と、その拍子に見つけられた少人数――ちょうど五人ぴったり――で演じられるように脚色された『ロミオとジュリエット』の台本。その日を境に、如月を中心とした部員たちの関係は一転していく。
えー、表紙めくったらびっくりしました。いきなりホラーな展開を予想させるようなイラストが来ましたが、実際読み終わってみると、恥ずかしくなるような恋愛もので、オカルト的な要素はあんまり強くなかったですね。
かつて、男一人、女四人という演劇部員たちで演じられるはずだった脚色された『ロミオとジュリエット』の台本。その背景にあった男女間の感情が、現在の如月たちの感情に被さるような形で影響を及ぼし、如月に対して望むと望まざるとに関わらず好意を抱くようになってしまった部員たち。序盤はその感情の出所を探りつつ、片思いだった美少女・雛田から向けられる好意を嬉しく思いつつ、けれど、その気持ちがほんとうのものかどうかで悩むという、なんとも純な恋愛物語。女子三人はともかく、ガタイのいいイケメン野郎から抱きつかれるとか、多少の不幸はありつつも、その辺はコメディ色ですね。
期せず、「如月を好き」という感情を持ってしまった彼女たちの苦悩も良くわかります。過去に抱いた誰かの感情に振り回されつつも、それが他人のものなのか、自分のものなのか分からずに、望まない形でその気持ちを明かされてしまった子もいたり。
そして、年相応の恋愛に対しての幻想じみた若い感情がぶつかり合ったり、悩んだり、苦しんだりと、微笑ましくてなんとも恥ずかしい感じのするお話。演劇の公演の最中のドタバタはかなりシャレにならない気もしましたが、そのオチがなんとも肩の力が抜けるというか、げに恐ろしきは思いこみの力、といったところ。
何もかも元通りになったはずの、エピローグ。如月の方から決意を込めて歩み寄った告白の答えやいかに? 気持ちの良いラストでした。
hReview by ゆーいち , 2008/01/29
- ロミオの災難 (電撃文庫 ら 4-5)
- 来楽 零
- メディアワークス 2008-01-10
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哀しみキメラ〈4〉
静かに静かに訪れた 哀しくて 少しだけ救われた結末
水籐と決別した純と綾佳のもとに届いた戸塚結からの報せ。かつて水籐の運命を大きく狂わせることになった原因である仙谷が、再び京都で何かを企んでいるという。袂を分かった七倉や、水籐も訪れている、そしてかつて出会った少女・真里が住まう京都に、純と綾佳も向かう。そんな綾佳の身体にも、決して小さくない異変が現れていて……。
完結の第4巻。最後の最後まで淡々とした物語でした。その中で描かれている、望まずに人ならざるものに変えられてしまった純たちの、どうしようもない諦観とか悲しみとか、そういったものだけは嫌でも伝わってくるというのが切ないですね。
作中で一番変わってしまった水籐にしても、彼が彼であろうともがいた結果として、人の道から外れ、孤独とともに生きるという、誰とも交わらぬ道程を歩みつつも、結局は同胞である純や綾佳を見捨てることなく、彼らを行かすことを選択しました。そして純も。
誰もが大きな傷跡を受け、再び得がたいであろう大切な何かを失い、帰還した日常はけれど変わらずに流れていて。様々な思いを背負い、幸せになろうとようやく顔を上げ、歩き出すことができたという結末。皆が幸せになれるなどという優しい結末ではないけれど、皆が望んで、それをしかと受け止め背負った、たった一人の歩みは、確かな形で見ることができたと思います。
切ないながらも、美しいラストでした。
hReview by ゆーいち , 2007/07/27
- 哀しみキメラ 4 (4) (電撃文庫 ら 4-4)
- 来楽 零
- メディアワークス 2007-06
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哀しみキメラ〈3〉
うあ、どんどん救いがなくなっていく。
〈モノ〉に関わるトラブルを解決する代償に、その地を去らなければならないという因果な代償。前作から2年近くが経過して、何かが変わったかといえば、それはいつかそうなると分かり切っていた飢えの再発。表だって進行していくストーリーの背後に隠されていた水藤の真実には、最後の最後の種明かしまで気付けませんでした。迂闊。
人であることに拘泥する純と、それとは対極の生き方を選択した水藤。二人の人生がこの先で再び交わる可能性があるとしたら、それは恐らくは悲劇的な結末を纏っているものだろうことは想像に難くなくて。それでも最後の最後で何らかの救いを見いだしたいと願ってしまうのは、いけないことではないでしょう。
次巻で完結。作品タイトルの通りに何ら救いなく終わってしまうのか、あるいは何かを見せてくれるのか、その一点に期待がかかります。
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哀しみキメラ〈2〉
前巻の終わりは、悲劇的ではあるけれどそれなりにきれいだったのだけど、なるほど、この展開の仕方なら続けようと思えばどこまでも続けられるかも。
すでに半分以上、人間ではなくなりながらも、人間であることにこだわるキメラとなった主人公たちの、きれいには生きられなくとも生きていたいという静かな願いが伝わってきます。周囲からは敵視されこそすれ味方は皆無に近く、ひっそりと生きながらえてきた彼らの時間は短くとも重く感じられます。七倉との関係も、割り切れないものを互いに抱えたぎこちないものながらも、彼が主人公らに非常に近しい理解者であると思えたのも救いの一つでしょうか。
事件を通して真里との間に生まれた絆は、別れてしまった後もきっと切れないし、真里の中に生まれた気持ちは、きっと彼女が今後生きていく中で、かけがえのない経験として糧となるでしょう。別離という結末は前巻と同じながらも、そこに感じた印象はずいぶんと変わってます。生き方に妥協しつつも生を諦めない主人公たちを、淡々と描写する作者の文体は、作品世界の雰囲気と非常にマッチしてるように思います。悪く言えば盛り上がりがないのですが、これはこれで哀愁がありますね。
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