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SH@PPLE〈7〉

stars 蜜は、たくさん迷っちゃいましたよ。ほんとに全然わからなくて天秤かけまくっちゃいましたよ。誰に恋をしたんだと思いますか? 男の先輩にですか? 女の先輩にですか? どこにも存在しない架空の先輩にってことですか?

SH@PPLE―しゃっぷる―(7)(書影大)

雪国と舞姫の入れ替わり生活がスタートして、はや半年。青美女学院では、次期生徒会長を決める選挙の時期に。その後に控えるのは校内舞踏会! ダンスに蜜を誘いたい一心の雪国だったが、思わぬライバルが現れて……。

あなたのなまえをよびたくて……

お話的にはいよいよクライマックス!

混乱しまくりの入れ替わり生活も、雪国と舞姫の卒業を過ぎれば自然消滅。もともと雪国の、蜜への恋ごころが発端で始まったこの入れ替わりも、いつまでも引き延ばしてはいられない。迫るタイムリミットを前に、次期生徒会長選挙の後にある校内舞踏会を最後のチャンスとして、なけなしの勇気を振り絞って、もう一度告白に臨む!

……ここで望みは叶ってハッピーエンドで大団円、だったらどんなに良かったことか。ここにきて舞姫の男まえっぷりと気の利かせっぷりと、そして過剰気味の弟への愛情がついに空回り。彼女のおかげで雪国と蜜の間の空気が少しずつ重くなっていくわ、ここにさらに輪をかけて、蜜の心を悩ませる難問が降りかかってくるわ。簡単にふたりの恋は終わらせも、始まらせもしてもらえません。

ああ、それにしても、状況を把握している読者の視点でさえ混乱しがちだというのに、淡谷姉弟の入れ替わりを知らされた蜜のこんがらがり具合はどれほどのものか。彼女がほんとうに自分の心について悩み、大好きなひとへの想いに苦しんでいたところにダメ押しのようなネタ晴らし。蜜が自分の気持ちに自信がなくなるのも、不安に背中を押されて無茶なテストに臨もうとするのも、ただただ自分の好きなひとの名前をちゃんと呼んであげたいなんて、あたりまえだけれど切実な気持ちからだったっていうのが、もうね。

淡い恋ごころがきっかけで、ほんの軽い気持ちで始まった入れ替わりと告白の執着地点がこんな場所だというのは誰も報われていませんね。誰も彼も相手のことを思って行動して、けれど些細なすれ違いが積もり積もってたどり着いてしまった場所。ラストチャンス化に思えた舞踏会での告白に失敗してしまった両者が、もう一度チャンスを与えられる場はどんな舞台になるというのでしょうね。

そして、雪国へと想いを寄せる鳥子さんのなけなしの勇気が発揮されるのは、あまりに残酷なシチュエーション。みんなが無傷で幸せを得られるなんて、甘甘な恋物語じゃなくて、誰かが誰かを選んで、そして誰かが涙を流す、そんな展開が容易に予想されるだけに、時間が待ち遠しくも、切ないです。

hReview by ゆーいち , 2009/11/23

SH@PPLE〈6〉

stars 僕は自分勝手です。あなたの想いに、今は応えられないのに、それでも僕は、この道の方にあなたが来てほしくなかったんです。全部壊してでも、戻ってほしかった。幸せになる方法は、心から笑える方法は、きっと他にも必ず、あるはずなんです……。

胡蝶の宮・蝶間林典子にの前に突然現れた許嫁! けれど、淡谷雪国(ただし中身は舞姫)へ思いを募らせる彼女は、あろう事か舞姫(ただし中身は雪国)へ無茶な相談を持ちかける。「どうかあたくしのために、雪国さんに変装して!」 先日の一駿河さんからの拒絶の言葉のダメージも抜けきらないというのに……。もはや自分が誰だか分からなくなりそうな入れ替わり学園生活、絶賛泥沼化中!?

うはー、これはまたさらに人間関係、恋愛関係がこんがらがってきましたね。

胡蝶の宮が想いを寄せる雪国が誰なのか、そして、一駿河さんが気になっている舞姫があるいは雪国が本当は誰なのか、ということが絶妙に混じり合ってどちらも存在しない架空の淡谷雪国 & 舞姫像を作り上げつつありますね。

その混沌の口火を切ったのは、舞姫とのライバル関係にありつつも、入れ替わりが発生してからは良好な関係に変わりつつあったソロリティトップの胡蝶の宮。女装している雪国に、さらに男装してほしいなんて無茶なお願いも、彼女の舞姫という生徒会長に対する気持ちがずいぶんと軟化しているからがゆえなんでしょうね。雪国との接点が生まれたことで、舞姫もむげにできなくなったじゃらというか、あるいは立場に関わらず舞姫という存在と向き合えるようになったからというか。まぁ、彼女が想いを寄せている雪国とほぼイコールな存在なんだから、敵愾心が殺がれたって不思議じゃないんでしょうけれど。

ああ、けれど、そんな胡蝶の宮をお姉さまと慕い、その恋路を応援しようと思う一駿河さんの心はどんどんと乱れていくばかり。前回の雪国からの告白めいた問いに返した言葉、そして今、彼女が気になっているのは一体どちらの誰かさんなのか、それを考えると、胡蝶の宮と恋の鞘当てに発展してしまいそうで、今の一駿河さんには、誰を切り捨て、誰を選ぶのかなんていう選択は、答えの出せない問いにしか思えないんでしょうね。

こと、恋愛方面においては、立場を考えつつも自分の気持ちを貫く強さを見せた胡蝶の宮とは対照的に、悩み苦しんでいる一駿河さん。彼女の周囲が、彼女と一緒にいる舞姫の秘密に気付いたようだし、今まで雪国が彼女に対して積み上げてきた裏切りとも取られかねない嘘が暴かれる展開になりそうで、心が痛いですね。これでもかと苦しみ続けている彼女にも、そろそろいい目が訪れても良いのですけれど……。

hReview by ゆーいち , 2009/07/11

SH@PPLE〈5〉

stars 夜の月は明るいけど、朝はもっと明るいんだ。明日も明後日も、きっといい天気だよ。笑おうよ。

箸休めの短編集。

雪国サイドは相変わらずな感じだけれど、舞姫サイドのお話とかSEC絡みのお話とかは本編ではあんまり語られない部分なので新鮮かも。

あぁ、でも雑誌掲載の短編集を収録した一冊なだけに、あくまでサイドストーリーな印象が強いんですよね。そういった意味では、一駿河さんと胡蝶の宮の出会いのエピソードとかは、本編の補完的な意味で良い内容だったと思います。

にしても、相変わらず嘘予告がひどすぎる。まともに続ける気がないのか半端なところで切れてるし。もう短編集で続きを連載してみたらいいんじゃね?

hReview by ゆーいち , 2009/04/12

SH@PPLE〈4〉

stars 良いものを見て良いと言えなくなってしまったら、それは私の心の終わりです。勝利も意味もなくなります。

人力リバーフェスタに向けて特訓中の空船五中生徒会 & SEC + 清美女学院ソロリティ。話の流れ的に、青美の生徒会と部活連合と対決することになってしまったけれど、猛特訓のおかげか、なんとか少しは勝負になりそうな感じ。けれど、雪国には、彼の正体を知り、脅しのような形でその事実を突きつけてくる「X 氏」の存在が気になって気になって……。

恋ごころ百花繚乱!

雪国サイドも舞姫サイドも、今回のエピソードで一気に人間関係が混沌としてきているような。舞姫サイドは、今まで SEC の兄貴分として活躍してきた舞姫に対して、会長とかが真剣に向かい合おうとしてみたりして、こちらの方でも想い想われややこしい事態になってきてますね。まぁ、当の舞姫自身が、自分が SEC に居ることによって感じる心地好さの正体と、SEC メンバーたちが彼女に対して向ける気持ちのギャップに気付こうともしていないので、逆にどちらかが一歩を踏み出したときに、この関係がどんな風に転がっていくのか、気になるところであります。

そして、人力リバーフェスタに向かって活動してきた五中と青美の皆の背後で、雪国の正体をばらそうと脅しをかけてきた X 氏の正体は結構意外。いや、ちゃんと伏線張ってたし、でもなぁ、とか思っていたらそのものずばりで来るんだもんなあ。プロローグとエピローグの構成も巧くて、だからこそ、「彼女」の「彼女」に対する情の深さと、存在の大きさが感じられたわけでもあります。そんな彼女の、今回の騒動の収拾のさせ方は、とてもらしい感じではありますが、ここでも今まで築いてきた関係から、一歩踏み出してきた、その事実が今後の展開の布石になったりするんでしょうかね。誰もが同じ立ち位置のままで、気持ちの好いままではいられない、そんな象徴に思えたりします。

さて、一方の雪国サイドでは、鳥子さんの猛攻勢がとても素晴らしい感じ。だからこそ、逆に、その想いから目を背けようとする雪国のずるさい、あるいは一駿河さんへの一途さが残酷に見えたりします。雪国祖母の応援を受けつつ、今回望んだ一大イベントも、そんな鳥子さんの本懐を遂げる以前に青美内部の思惑のぶつかり合いに巻き込まれてめちゃくちゃにされてみたり、なんだか散々な結果になってしまいましたが、最後の最後で距離を縮められたのかなあ? 一方の一駿河さんとの関係は、微妙にぎくしゃくしてきてますが、彼女の反応が雪国に対する拒絶から来るものなのか、あるいは……というのも、また今後の大きな見所でありますね。

もっとも、秘密の入れ替わり学校生活が今後も延々と続いていくとすると、それは雪国が重ねる嘘がどんどん積み上がっていくことでもあるわけで、そういった意味では何重にもややこしい状況にがんじがらめになりつつあるのかも。彼の周りを囲んでいる、一方通行な想いの向かう先に、誰が居るのか、その答えが出るには、まだまだ時間がかかりそうですね。

hReview by ゆーいち , 2008/12/30

SH@PPLE〈3〉

stars わかんないけど、ユキグニたちが困ったりして喜ぶようなボクはダメなんだ。それじゃきっとダメなんだ。

学内の新聞・青美日報に「若光の君、男性疑惑」を報じられてしまった雪国は、舞姫と相談し、ほとぼりが冷めるまで入れ替わりを中止することに。そんな事情を知らない蜜は、舞姫をデートに誘って雪国はやきもき。そして舞姫の方も自分がいなくても上手くやっているっぽい SEC の面々に不満を覚えてしまって。そんな状態で、五中と青美の合同で参加するリバーフェスタの準備、間に合うの?

それぞれの立場があるから、譲れない部分もある。以心伝心通じ合っているように思えた雪国と舞姫も、それぞれの学校で築いてきたもの、入れ替わって得たもの、いろいろなものがあって。今回は些細な齟齬と、ちょっとした嫉妬、そんなことが原因で生まれてしまったわだかまりにみんなが振り回される物語。

問題の原因となった、雪国の正体を誰が知っているのかというのは次巻以降に持ち越されてしまったけれど、リバーフェスタでの優秀賞を巡る、青美内のソロリティと生徒会の対立の構図が、長船さんの参戦をきっかけに激化してきてる印象。こういう陰険じみたエピソードはちょっと怖いですね。

それもまた、雪国のソロリティへの肩入れとも見える行動が原因の一端ではあるのがいかんともしがたいわけで。彼にしてみれば蜜と親密になりたいがゆえの必死のアピールですが、それもまた、あちこちに誤解を招いてるし。蜜の気持ちは結構傾いてるんですが、それが舞姫へと向かっていると思い込んでるのがさらにこんがらがっている原因ですね。いったいどうなるんだろう。

舞姫は相変わらずマイペースで、自分の我を通す強さは持ってるけれど、それもまた善し悪し。自分の抱いている気持ちが、どんな種類なのかに気付けない不器用さは姉弟ならではだけれど、お互いの正しい居場所が反転しつつある現状、この先まだまだ波乱含みの予感。

五中の生徒会長の鳥子さん、分かりやすい態度でにやにやできますね。雪国に対するつっけんどんな態度と、昔の思い出で生まれたであろう気持ちを思うと、彼女は報われなさそうだけれどがんばってほしいところ。次巻で見せ場はあるのでしょうか?

持ち越された問題の決着と真相解明な次巻が楽しみです。

hReview by ゆーいち , 2008/10/04

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