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疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃

stars ごめんね。上手く死んであげられなくて

文化祭に向けて、一兎ら映画部も自主制作映画の上映に向けた最後の大詰めを迎えていた。そんな時、睦美の前に現れたのは、彼女にパラベラムの力を与えてくれた、かつての恋人・一子。自らの手で殺めたはずの彼女の出現と、彼女が今や〈灰色領域〉の幹部の一人であるという事実に、睦美は動揺する。そして、人類の敵たる乾燥者たちも、来るべき戦いに向けて動き出す。前哨戦ともいえる実験戦の場を、城戸高校に定め、心的爆撃をもって殲滅すべく。

うおお……。なんともやるせない結末です。サブタイトルとなっている「心的爆撃」のえげつなさもさることながら、パラベラムと乾燥者。敵対すべき存在として定められた者同士の、心のすれ違いが切ないです。一兎と美玖は、上手く行ってほしかったのに、こういう結末が用意されているとは。

一方の志甫とはなんだか良い感じなのだけれど、こちらが真ヒロイン? でも、そう、やすやすと鞍替えとかできる器用さもないだろうし。というか、やる夫は自重しろと(笑) まぁ、一兎と志甫は前巻からの映画撮影と、志甫の仇の打倒を通じて、かなり距離は縮まっているんだけれど、恋仲になる風景というのはなんとなく想像できないというか。今の距離感はなかなかに貴重な気もするんですが。

リーダー然とした睦美の過去も少しだけ明らかに。超然とした彼女の、冷めた過去と、そこで得た一子という存在。パラベラムの力に溺れたのか狂わされてしまったのか、道を違えたふたりが再会し、今後どのような道を歩むのか。〈灰色領域〉の先行き自体もかなり怪しいんだけれど、これは今後の“戦争”においてかなりのハンデになりそう。

次巻以降は、いよいよというか、ついにというか、人類──パラベラム──と乾燥者の総力戦に突入していきそう。現時点での戦力比較はどう見ても乾燥者側に有利なのだけれど、これまでの歴史の繰り返しよろしく、共倒れにならないぎりぎりの加減でつぶし合うのか、あるいは別の展開が用意されているのか。どうにも、暗い未来が予想されるのですが、一体どうなることやら?

hReview by ゆーいち , 2008/04/01

疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃
疾走する思春期のパラベラム 心的爆撃 (ファミ通文庫 ふ 1-2-4)
深見 真 うなじ
エンターブレイン 2008-03-29

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