緋弾のアリア〈7〉火と風の円舞

stars 俺は信じる。2人が、心の奥では……お互いを信じてることを信じる。

止まらない暴走特急の上で、超高速リベンジバトル!! 東京武偵高校、そこは武力を行使する探偵――通称『武偵』を育成する特殊な学校。 強襲科の超エリートでSランクの最強武偵・アリアのパートナーに選ばれてしまった(普段は)ただの一般人・遠山キンジは、戦闘不能におちいったレキを京都に残し、東京への帰路についていた。アリアとの仲も修復できていない……そんな状態の中、再び『万武』の魔の手が迫り――。理子の座席に仕掛けられた『加速爆弾』によって暴走特急と化した列車を舞台に、アリアとキンジの超高速リベンジバトルが始まる! そして舞い降りる、一陣の風――。大スケールアクション&ラブコメディー第7弾!!

[tegaki font="mincho.ttf"]そして訪れる新たなる時代![/tegaki]

狙撃手・レキに半ば無理矢理パートナーにされ、残された時間の少ないアリアとの関係にヒビが入ったまま、謎の勢力まで現れてキンジの求める平穏なんてどこを見ても見つからない状況。

異能の力のバランスが崩れ、本人の力がものを言う時代が訪れるとか言いつつも、本編はやっぱりビックリ超人大集合なノリで今回も相変わらずのトンデモバトルが全開。

それでも超能力で反則的な戦いをするわけでもなく、肉弾戦メインだったのは意外と新鮮だったかも。まぁ、その内容は超能力と紙一重なものではありますが。いや、キンジ、あんたの能力はすでに人間の域を余裕で突破していますから!

トンデモ最強キャラかと思われた『万武』の種明かしは、この作品にしては意外とチープというか、逆にこの物語でそれはないだろうとか思っていたところに落としてきましたねえ。そのあたりの謎解きも含めて、中盤にしてクライマックスな新幹線の屋根の上での多対多のバトルはこれまでの、どちらかが圧倒的な力で相手を寄せ付けない戦いとは違っていい感じの緊迫感があったかも。アリアとレキの間にあったわだかまりなんて、乗り越えられると最後まで信じ切ったキンジの信頼が呼び寄せた逆転劇でしたねえ。相手側もやってることは極悪非道なくせに割と憎めない性格で描かれてるあたり、再登場とかもあるのかもしれないなとか思ったり。

そして、ようやく元の鞘に収まった感のあるキンジとアリア。チーム結成でより深まった仲間たちとの絆に加えて、ふたりの間には単なる相棒以上の感情がしっかりと芽吹いているように端からは見えますね。肝心のキンジは、救いようのない鈍感スキルでアリアの勘違いならざる本音に気づくことさえ出来てないし。いや、白雪をそそのかしたくだりもそうだけれど、彼のナチュラルな女殺しな行動は、何回か死にそうな目に遭ってもまだまだ釣り合いがとれないと思うのですよ! アリアが日本を離れる時間は刻一刻と迫りつつあるのに、こんな状況じゃあ、どこまで進展するか先が思いやられますね……。

けれど、そんなラブ方面のお話とは別に、イ・ウー亡き後の裏世界の勢力図は、一気に書き換わりそうな事態を迎えようとしているようで。続々と現れる正体不明の存在達。ジャンヌが高らかに宣言する、次へと向かうための宣戦会議の意味とはいったい。もはやどう考えても後戻りなどできない状況にどっぷりとつかっているキンジは、これから始まる新たな戦いをどうやって勝ち抜いていくのやら?

hReview by ゆーいち , 2010/09/07

緋弾のアリアⅦ 火と風の円舞

緋弾のアリアⅦ 火と風の円舞 (MF文庫J)
赤松中学 こぶいち
メディアファクトリー 2010-08-21