ストライク・ザ・ブラッド〈7〉 焔光の夜伯

stars ……ああ、そうだな……おかげで思い出したよ。なにもかも、全部な。

ストライク・ザ・ブラッド〈7〉 焔光の夜伯 書影大

凪沙が倒れたと知らされて、急ぎ病院へと向かった古城。そんな古城たちの前に現れたのは、先代の第四真祖アヴローラと同じ姿を持つ謎の少女だった。
真祖の眷獣を自在に操り、古城と雪菜を追い詰めていく少女。はたして彼女は本物の第四真祖アヴローラなのか。そして彼女との接触によって甦る古城の記憶とは――。
ついに明かされる古城の過去と、第四真祖にまつわる秘密。世界最強の吸血鬼が、常夏の人工島で繰り広げる学園アクションファンタジー、待望の第七弾!

祝アニメ化! とはいえ、物語の根幹部分、隠されていた設定が明かされるこの7巻までアニメで描かれるかどうかは尺を考えると難しそうかも? 分割2クールとかで切りのいいところまで映像化してほしいものですが。

ということで、ようやく、古城が吸血鬼の力を手に入れたきっかけとなるエピソード解禁。まだ、全容が明かされたわけではないけれど、おおよその流れはこの巻を読めば理解できそうです。そして、世界最強と称される力を持つ、第四真祖が歴史の変わり目に現れることの理由、その力を向けるべき強大な敵の名もまたこの巻で明かされることになるネタバレ満載の一冊でした。

過去と現在の物語を交互に繰り返しながら明らかになっていく全容。古城や雪菜ら、主人公勢の活躍とは別に、ついに登場したのは古城と凪沙の父親である牙城。普通の人間ぽいけれど、その活躍の仕方はあの考古学者もかくや(笑) 『死都帰り』とか大仰な二つ名で呼ばれたりしてますが、彼の持つ知識やら戦闘技術やらは常人のくせに超人を思わせるようです。まったく、親父キャラはこうでなくちゃあ! といった所ですか。娘にダダ甘で息子に厳しいという典型的なパパながらも、子どもを思う親の心もしっかり持っている分、単なるダメ親父になっていないのが良い感じですね。4年前の時点でこんな形で別れていて現在では母親しか登場していないというのは気になるところ。彼は一体どこで何をしているのやら?

そして、浅葱さんもようやく本筋に絡んできたかと思ったら、一気に超重要人物扱いですね!? 科学技術に秀でた天才とは言え、異能やら何やらに関わることなく、ずっとハブられたまま損な役回りを押しつけられる不幸キャラでは終わらなそう。むしろ、彼女が今後の展開の鍵を握りそうなだけに、ヒロイン力も上がるんではないですかね。さんざんもったいぶった割に、古城の正体とかあっさり明かして、そこから大きな悶着もなく流されてるのはアレですが。これだけ引っ張っておいて、浅葱さん、気にするのはヤッたかヤッてないかなんですね(注:吸血行為のことですw) ここまでくると雪菜のアドバンテージもそれほどでもなくなってきてますが、今までの遅れを取りもどそうと猛攻をかけてきそうな浅葱さんに対して、彼女はどう迎え撃つのか。ラブな方向の進展にも期待ですね。

古城の過去、そして、第四真祖という存在に隠された秘密。なかなかに予想外。というか、これはもはや第四真祖のバーゲンセールでは……(笑) 古城が生き延びたとされる焔光の宴が蠱毒の如く、最強の第四真祖を生み出すための儀式だとすれば、それを生き延びた古城は真に第四真祖たる素質を持っているんでしょうね。それがアヴローラから託されたものなのか、古城自身が持っていた何らかの因子に起因するのか、宴の内容が描かれるとともに古城が今、第四真祖として在る意味も語られてくるのでしょうか。妹の凪沙も単なる妹キャラじゃなくて異能持ちだったし、アヴローラとの関係が一体どんなものだったのか、気になりますね。なぜ、古城が彼女を殺め、力を手に入れるに至ったのか、肝心な部分はいまだ霧の中ですから。

第三真祖の登場や『傍観者』の意味深な言葉やら、物語はいよいよ本格的に動き出しそうな気配が漂ってきましたね。未だ、第四真祖として覚醒しきっていない古城が眷獣を取りもどして行くにつれ、戦いもより激化していくのは間違いなさそう。果たして真の敵が復活するのが先なのか、古城が全ての眷獣を取りもどすのが先なのか、お話的には圧倒的に強大な敵に不完全ながらも全力でぶつかっていく展開が盛り上がるんですが、そんな甘い戦いになるわけでもなし。

古城一人の戦いでは済みそうにないこの先の戦争、戦いの火は一体どこまで燃え広がっていくのでしょうか。

hReview by ゆーいち , 2013/04/12

ストライク・ザ・ブラッド (7)

ストライク・ザ・ブラッド (7) 焔光の夜伯 (電撃文庫)
三雲岳斗 マニャ子
アスキー・メディアワークス 2013-04-10