Promise Ring with…

Promise Ring with…

――かちゃり……
あっ! 玄関の開く音。
浩之ちゃん帰ってきたんだ!
――ぱたぱた……
軽快な足取りで玄関へお出迎え。
「お帰りなさい、浩之ちゃん」
言ってにっこり笑顔でお帰りなさいのご挨拶。
ふふふ、浩之ちゃん相変わらず照れ屋さんだね☆
ただいま、って短く言ってそっぽ向いちゃっても、横顔は嬉しそうだよ?
そう言う私もちょっとそわそわ。
それにちょっとドキドキ。
後ろ手に組んだ両手に力に力が入っちゃう。
「え? 何か隠してるだろ?」
やっぱり浩之ちゃんには分かっちゃうみたい。
「えへへ、何だか知りたい?」
でも、こういうことには鈍感なんだよね……。
「知りたい?」
ちょっと意地悪してみるなんて、私らしくないかな?
「ふふふ、ヒントだよ。今日は一体なんの日でしょう?」
面倒くさそうに頭をひねって考える浩之ちゃん。
…………
「ぴんぽ~ん☆ 今日はバレンタインデーだよ。忘れてたの?」
やっと気付いてくれたね。
もう、そんなつまらなそうな顔しないでよぉ。
せっかく私が一生懸命にあなたへの想いをこめて作ったんだよ?
「はい! 浩之ちゃん」
勢いよく、浩之ちゃんの目の前に差し出したハート型のチョコレート。
浩之ちゃんへの『大好き』ってありったけの想いがこもった私の特製チョコレート。
そして、あの日からたくさんの幸せをくれた感謝の気持ちをこめて。
「え? もらえるなんて思っていなかった?」
学生時代じゃないんだから……って、だって初めてのバレンタインデーだよ。
それに、私の想いはずっと変わってないんだから。
「受け取ってくれるよね?」
照れ臭そうに苦笑いしながら受け取ってくれる浩之ちゃん。
薬指にはめた指輪もきらきらときらめいて何だか嬉しそう。
私の気持ちと一緒だね。
「サンキュな、あかり」
ありがとう、その言葉だけで十分だよ。
「えへへ、これからもずっと一緒にいてね」
うん、て頷く代わりの優しいキス。
バレンタインチョコレートのように、甘い甘い優しいキス。
――幸せだよ、浩之ちゃん。
これからもずっとずっと一緒にいようね。
これからもっともっと幸せにしてね。

――お願いだよ……
私の最愛のだんな様☆

藤田 あかり
――二月一四日あかりちゃんの日記より――

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