処女はお姉さまに恋してる

2008年1月12日

処女はお姉さまに恋してる 初回版

感想はやたらと長文になってしまったので、続きを読むで。

さーて、引きこもってゲームでも進めましょう。

ということで1月タイトルの中でも期待度が高かった本作へ突貫します!

第04話まで進行。うは、こっ恥ずかしい。主人公が男だけど、百合ゲーな様相を呈してきてますよ。プラトニックラヴーーーッ。

まだ各キャラの顔見せエピソードが続いてるので、専用ルートに入ってる風ではないのですが、これからなのかなぁ。繰り返し部分が多いと、リプレーが辛くなるのですが……(^^; あ、あと、基本的な部分で、テキストウィンドウの禁則処理はしっかりとしてほしいなぁと。文章の途中で1クリックが必要になるのは美しくないのではありませんこと?(なぜお姉さま口調) こういうときは、その一文まるまるを次のウィンドウに収める方がスマートだと思うんだけどなぁ。スクリプターさんのポリシーでもあるんでしょうか。

第04話読了。うは、少しずつ、それぞれの思惑が見え隠れするようになってきましたよ。これまで通りなら、起こらなかったはずの数々の波乱に揺れる、恵泉女学院の明日はどっちだ!? というか、生徒会長の貴子さんかわいいー。高潔さを感じさせる毅然とした態度と、時折見せる楚々とした初心な少女のような恥じらいに、もう、メロメロ(笑)ですよ。貴子さんとまりやさんの間の、ただならぬ因縁も気になりますが、貴子さんの一言でまりやさんの中に生まれた、主人公への小さな棘が、二人の関係のどのような波を起こすのか、座して待て! なのですよー。

第05話読了。
わーい、貴子さんはいいツンデレだー。もう、フラグ立ちまくりですよ? 他のキャラ食いまくりでもう大変。ごめんね、ほかの娘、目に入らない(笑)

や、でもルートに乗ったかどうかは別問題だなぁ。まりやさんの台詞じゃないけど八方美人な選択してるっぽいし……。

あ、そうそう、まりやさん絡みのエピソードは仲直りのきっかけとしてはやや弱いかな。ガードの閾値低いので、ああいう思い出系で攻めてくると、それは、弱いんですが。まぁ、勝ち気な幼なじみとしてはいい線行ってるので、彼女の物語では、また、別の側面も堪能させていただけるのではないかと期待しておりますが。

演劇部部長の圭さん、上のお名前、小鳥遊さんだったのですね。珍しい名字はゲームで見るのはたいせつなうた以降、本作で2人目ですが、なんとまぁ、正反対というか。どちらの小鳥遊さんもいい味出してるんですけどね。

さてさて、ようやく面白くなってきました。序盤は体験版のルートや閑話休題もあったりして、やや退屈だったのですが、ここにきて一気に目が離せなくなった感です。いったい誰のルートに乗るのでしょうね。……誰のルートにも乗らなかったりして(^^;

第06話読了。
う~、やはりこういう別れのお話はジーンとくるのですよ。ずーるーいーぞー。草柳さんの演技も光っておりました。ぐっじょぶ。

第07話読了。
ばんざーい! ばんざーい! ばんざーい!

1周目

厳島貴子ルート最終話読了。

ごろごろごごろごろーーーーーーー。

た、貴子さんは私を萌え殺す気ですか!? 凛とした生徒会長から一転、可愛らしい恋する乙女にクラスチェンジですよ。もう、可愛すぎ。

シナリオがどうとか、主人公が貴子さんを好きになる理由が希薄とか、そんなんはどうでもいいです。このツンデレ分だけでも十分お腹いっぱいですよー。周囲の反応も初々しくてにやけっぱなしでしたよー。

2人に幸あれ!!

2周目

高島一子ルート読了。

なんかどのキャラの攻略にも失敗した場合のフォローのためにあるようなルートだったですよ。

脇役の皆さんも絡んできて、にぎやかといえばにぎやかなルートだったかと。

3周目

御門まりやルート読了。

格好いい幼なじみというのはあまり見ないタイプなので、新鮮です。攻め攻めだしね(笑) あ~、でも初ぇちであんまりハードなのはどうかと思います(笑)

夢と恋とで悩むのは、主人公の特権というわけでもなかったようで。そういう意味では主人公よりよほど男らしいまりやさん。なんだかんだで、主人公が自分知らない誰かになってしまいそうなことに小さな癇癪を起こしたり、普段なら憎まれ口で返してしまうような主人公の冗談を真に受けて涙を流したり、恋愛のステップアップの描写は拙いながらもツボを押さえているので満足度高しですよー。まぁ、構成面では一考の余地ありでしょうけど。他キャラのルートと重複したテキストが多かったり、あまつさえ、それが既読スキップできなかったりで、後半はやや食傷気味になりそうです。

約束という名の呪縛も、まぁ、使い古しではありますが、この手の関係にはこの上なく強力な指輪の魔法です。6年であれだけ出世する主人公も主人公ですが、それを追っかけてきた貴子さんとのマチガイを犯さないあたり、操立てまくりなのはお互い様ということでしょうか。初いですねぇ。

そんなこんなで、文句いいながらも結構満足はしてるわけです。えっちしーんも、攻めて、攻められて、アレもコレもで薄い薄い思ってた本作の中では濃い方ですし。なにより幼なじみですからねっ。

今後の波瀾万丈の人生も、きっと大丈夫。2人に幸あれ!!

4周目

上岡由佳里ルート読了。

正直、妹2人にはこれといって魅力を感じなかったのですが、ラスト2話のシリアスパートで許しちゃいましょう。

いや~、キャラ的にはイマイチに思えてたんですが、一生懸命悩んで、それでも進んでいこうとする姿は、可愛らしいと思いましたよ。

ここまできて、私は一子さんの存在を甘く見ていました。特に本シナリオにおいては、まさに鏡の裏表といっても過言ではないくらい、見せ場が満載だったのではないかと。これは、声の演技の素晴らしさも忘れてはいけませんね。元気・ハイテンション系は、草柳さんの得意とするところでしょうけれど、まさにハマり役でした。

シナリオ的にいうと、ごく自然の反応を返してくれた由佳里が、逆に異分子化し疎外感を感じてしまうというあたりが、やけに切なさ炸裂です。これはごく自然な展開であるのですが、逆にファンタジーなこの作品世界においては、むしろ不自然に映ってしまうのでしょうね。というか、アンタらみんな寛容すぎるわー(笑)

あ、それと、大事なところで踏ん切りがつかなくて、誰かに依存してしまうという彼女の本質は、むしろ他のキャラを魅力的に見せてしまう方に働いたのではないかなぁと。一子さんや、奏、まりや、由佳里のために苦心して、元気づけようとする姿を見てしまうと、この小さな世界の中で、彼女がどれだけ大切に思われていたのかが、分かろうというものでしょう。残念ながら、それが私には十二分に伝わったとは言い切れないのは、シナリオのせいだけではなく、多分私の属性からやや外れてしまっているというのもあるのでしょうね。

様々な可能性を諦めつつも、最後には一番望んだ夢を手にした由佳里ですから、主人公とともに歩む限り、その笑顔が曇るという絵はもうあり得ないのでしょうね。お幸せに。

5周目

周防院奏ルート読了。

結先生ーー(違)

だめだ、このボイスを聞いて、さらにちんまいお嬢さんだと、どうしても彼女の姿がオーバーラップしてしますのですよ。中の人ぐっじょぶ!

というわけで、白菊の君。たゆまぬ努力によって、目標を実現した小さなお嬢さん。可愛いですねー。萌えポイントからは微妙にずれてるので、アレなんですが、主人公は小さい娘が大好きな、女装癖御曹司、と(笑)

いや、まぁ、良いのではないですか? 幸せを掴んだ彼女の行く手を遮ることなどできないのですから。それこそ、無敵の「お姉さま」といっしょなら。

どのルートにもいえることだけど、脇役の皆さんの背中の押しっぷりが気持ちいいくらいです。誰が欠けてもこのゴールには辿り着かないかと思うと、それはそれで、ある種の感慨も抱こうというものです。

6周目

十条紫苑ルート読了。

深窓の君。古風なお姫様。篭の中の鳥。

主人公が、ようやく主人公らしいことをしたシナリオでしたね。この作品のラストを飾るにはやや破壊力が不足してるような感じですが、それはまた奥ゆかしい紫苑さんらしいといえば、らしいのでしょう。

あまりどろどろした場面を描写せずに、ただ美しいままで物語を締めようとすると、ご都合主義に見える嫌いがありますが、このラストは、美しいからこそ価値があるのではないかと思えます。奏ルートで伏線が張られてた答辞の件は、なるほど、ですね。

エピローグは、あはー。貴子さん、各方面で大活躍ですね。ヒロインを張るだけじゃなく、最優秀助演女優賞も彼女のものです。ぶらぼー。

おまけシナリオ

適当に回収。残りのCGはここで見れるもので以上ですね。本編の裏側というか、サイドエピソード集という形です。まぁ、最後のは、不条理系なので見ても見なくても……(笑)

総評

というわけで、面白くてついつい2日でコンプリートしちゃいました。総評を。

え~と、結構選択肢が意地悪で、攻略する際には悩むことが多かったですね。攻略順の制限でもかけられてるかと思ったのですが、そうでもないようなので、特定の選択肢での分岐が分かりづらかったのかなと。好感度の上昇は、エフェクトと効果音で分かりやすいのですが、いちいちチェックするほど几帳面でない私は結局しらみつぶしモード、最後は攻略(愚者の館)を参考にしてしまいました。いや、わからんて、これ(^^;

システム面

一通りの機能は実装され、私の環境ではきわめて安定して動作しています。もっとも、注力していると思われる演出面のエフェクト各種が重すぎる気がします。Pentium4-2.4GHzでスクロールや粉雪のエフェクトがかくついたりするのは、少しパワー食い過ぎではないですか?

セーブ・ロードもプレー中はスロット位置を記憶してるのに、ゲームを起動し直すとその位置を忘れたりするのが微妙にストレスですね。細かい部分ですが、この辺をしっかり作ってるシステムも存在するわけですから、同様のエンジンを利用する際は改善を望みたいところ。また、スロットを選択した際には、該当スロットが分かるように表示に一工夫が欲しかったかも、分かりづらいですね、現状だと。

シナリオ面

え~と、本格的な百合げーではありません。百合百合なぇちシーンを期待してる人の満足度は低いんじゃないかなぁ。もともと主人公は男性で、女装して女学院に通うという設定なのだから、その辺を期待した人は手を出さないと思いますが。逆に普通のえろげー期待しても肩すかしでしょう。ぇち度はかなり低いでしょうし、シナリオに深く関与してくるというほど不可分なシーンでもないので、スキップしてしまっても問題ないくらいです。短いし。

そういう風に考えると、このゲームが対象としてるユーザ層て意外に狭いのかも? 言われ尽くされてるマリみてのえろげー版というのは的はずれではありませんが、設定の根本的な部分で異なっているのは事実ですからね~。ただ「お姉さま」に対する憧憬や思慕の念といったものの表現は決して不足していたとは思いません。主人公が正体を明かすまでは、真実、主人公は彼女らの理想の「お姉さま」で在り続け、学院からも認められていたわけですから。まぁ、転入後短期間でそれだけの支持を、という部分での胡散臭さはゲームであるということに免じて、目をつぶってあげましょう。

受動的な生活を送ることしかできなかった主人公は、恵泉での生活を通じて何を得たのか、それこそが、祖父の遺言の答えであり、母の遺したものであるというのは、おそらくは間違いではないでしょう。作中で明確な形として「それ」が描かれることはありませんでしたが、主人公が学院での生活を通して、見、聴き、考え、感じたもの、すべてが彼にとって、かけがえのないものとなったという事実が、物語ることでしょう。

なんだか私が主人公に共感できると思うのは、決して主人公は「女性」として学院での生活を送りたいと願ったわけではなく、訳も分からず放り込まれた女の園で、ボロを出さずに生活するために仕方なくそう努めた、という部分でしょう。実際にはあり得ないシチュエーションを、コミカルに、深刻にならずに描くことで、主人公の情動をそれほど違和感なく追体験できるという点で、この作品は成功してるのではないかと。序盤、些細なことで_| ̄|○な絵が入るのは、楽しくてしようがない部分でありました。ちょっとしたギャグで苦笑させられたりするんですよね。シスプリネタとか(笑)

シナリオ自体は絶賛するほどではなく、私の中では及第点より上というレベルでしょうか。各ルート共通のシーンが、比較的多めに挿入されるので、物語のテンポがやや悪くなっているということは否めないでしょう。会話は比較的楽しいのですが、さすがに複数回見せられるのは辛いかなと。多くのゲームでいえることですが、共通部分の削ぎ落としというのは可能な限り行った方がプレーする側にはありがたいものです。しかし、やりすぎてしまうとボリューム感の不足という別の不満を招いてしまうので、バランスを取る人間が適切に対処しなければならなず、結局特定人物の主観に依らなければならないわけで、万人が満足するという解はないのでしょうね(^^; 私としては本作においては分岐さえ分かりやすければ、こんなに苦労はしなかったのになぁと、少し恨み節を吐かせていただきます。

キャラクター面

ん~、やはり生徒会長の厳島貴子嬢が素晴らしかったですね。余りのツンデレっぷりに悶絶しまくりですよ。もう、彼女のルートはにやけっぱなしですね。可愛い。

他のキャラは専用ルートで見るよりも、脇役として頑張ってくれてる姿を見る方が、生き生きとしているように見えます。

特に幽霊の高島一子嬢はほとんどにシナリオにおいて重要な役所をこなし、まさに八面六臂の大活躍です。中の人の草柳順子さんの熱演がさらに花を添えていましたね。

メインキャラの話ではないですが、モブキャラの立ち絵が数人しかいない弊害が出まくりだったように思えますね。同じ立ち絵を複数の人間で使い回すのはさすがに無理があるでしょう。名前が違うのに、同じ立ち絵で出てくると、はっきり言って混乱します。これやるくらいなら、潔く立ち絵なくした方が良かったんじゃないですかね。これは誰でも違和感と、不満を感じる点ではないでしょうか。

こうして、まとめてみると不満点も結構ありますが、おおむね満足ですよ。もっとも、ここまで反響が大きくなるという原因はさっぱりですが。私は自分の体験版の感触を信じて特攻しましたが、話題に流されて手を出してしまった人には、合わないという方も少なからずいるのではないかなと。

ゲームはゲーム楽しんだ者勝ちですから、そういった意味では私は基本的に損はしない性格なのかもしれません。

購入を迷ってる方は、体験版をさわってみれば雰囲気は伝わるでしょう。楽しめたなら製品版も満足できるでしょうし、イマイチと思ったらその感覚は正しいと思います。

まぁ、なかなか垣間見ることなどできない、こういった百合テイスト満載な世界を、お手軽に、楽しく体験できるという意味で、面白い作品だったのではないでしょうか。会話などがえろげーらしからぬものが多く、なるほど、女の子同士だとこういう会話をしてそうだなと――お菓子や料理の話題が多かったりしたのは、狙ってるんでしょうね――思いつつ、堪能させていただきました。学院中の憧憬の的になるなんて、あり得ませんからね。そういうIfを楽しむという点で、このゲームは成功しているのではないでしょうか。

あ、ウチの体験版の感想も捕捉されていましたが、「処女はお姉さまに恋してる」まとめサイトへリンク。感想系はここを起点に後日漁ってみようかな。