ムシウタbug 1st.夢回す銀槍

ムシウタbug―1st.夢回す銀槍読了。

“虫”と呼ばれる異形と共存せざるを得なくなった世界を舞台にした物語。主人公も、“虫”に憑かれた人間の一人であり、否応なく非日常の世界へ足を突っ込んでいくわけですが。

元々、ムシウタというシリーズの過去話であるために、そちらの読者が読んだ方がより楽しめるのでしょうけれど、この救いのなさっぷりはなかなか良いです。“虫”憑きは憑かれたら最後、死か、文字通り夢も希望も失われる欠落者という二択しか残されないという事実の前に、主人公らの苦悩が加わり勧善懲悪と一括りにできないだけの重さを感じさせてくれます。

惜しむらくは短編連作のため、物語を一本に貫くテーマ性が今ひとつ希薄ということでしょうか。主人公と周囲の人間の掛け合いとかは非常に楽しいのですが、そこから非日常の“虫”との戦闘シーンへと遷移するととたんに雰囲気が変わったり。そのギャップも楽しめるのなら、読み応えはあるでしょうね。

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