鬼刻―コイヤミ

鬼刻―コイヤミ読了。

前巻に比べると、随分物語として読める構成になっていますね。

主人公の相棒の砂川嬢の過去の出来事などを交えつつ、前進するための決別をきれいにまとめてくれています。かませ犬っぽく扱われた高橋さんはお気の毒ですが。

さて、そもそも主人公がこの世界へ巻き込まれたのは、その特異な体質ゆえですが、2巻目にして、いきなり役立たずモードになってるのはいかがなものか。鬼病という異常な現象の中にあって、さらに特異であるはずの優貴と同様な存在がぽこぽこ今後も湧いてくるなら、とっとと足を洗うべきではとか要らぬ心配などもしてみたり。主人公が敵に気付けなかったその理由も、どうにも安っぽい感じがして、後付じゃないのかとやや興醒め。相変わらず、物語終盤の盛り上げ方が力不足で、不完全燃焼かなぁ。今回の犯人は、たいていの人が読み始めてすぐ気付くだろうし、もう一ひねり欲しかったかな。

逆に、優貴というキャラクターの掘り下げは、成功しているかと。他人と交流することによって、感情の上下も取り戻したり、年頃の女の子のように拗ねたり嫉妬して見せたりと、前巻に比べてぐっとヒロインらしくなっています。その点は大いに拍手してあげたいと思います。

しかし、鬼病の原因たる事象が、何も明かされないまま話が進むのはとても気持ち悪いですね(^^; そろそろ核心部の種明かしも始めて欲しいところなのですが、次もちゃんと出ます、よね?

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