ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生

ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎生読了。

満身創痍の勝利。失ったものは多く、得たものは多分何もないような、互いの思いのみのぶつかり合い。亨はフォルテシモを破ったことで、統和機構につけねらわれる立場となり、フォルテシモは雌伏の時間を過ごすことになる。結局、この戦いの意味はなんだったんだろうと。

それでも、正樹が命を取り留めたのも、イマジネーターの残滓に取り憑かれた顕子がその重みに潰されなかったのも、幸いといえるでしょう。

もっとも、この物語の黒幕が、実は……というところまでは読み切れないし、なるほど、ここまで自動的に周囲を動かしてしまうような不安定な能力は、ブギーポップの目にも引っかからないのでしょう。それは世界を危機に陥れるためではなく、誰かを守ろうとするために無意識の内に起きてしまったことだから。

そして、落ちは見事というか。あれだけ格好いいこと言っておいて、放置プレーなブギーポップは、やはり道化というに相応しい。待ちぼうけを食った哀れなフォルテシモに合掌。