ムシウタ〈05〉 夢さまよう蛹

2005年8月2日

ムシウタ 05.夢さまよう蛹読了。

大助の姉、千晴を中心に回想する“かっこう”誕生秘話。キャストが出そろったという点で、一つのターニングポイントになるであるエピソード。前巻の終了直後から物語が始まるので、間を空けていなかったことは幸いだったですね。

弟の手にかかることを望む姉という悲劇性がテーマとしてありながら、極端に暗くならないのは千晴のキャラクターが、ある種脳天気であるためで、逆に大助の必死さの方が痛々しさを感じますね。誰も彼も敵として、一人だけで始まりの三匹が一人、大喰いに挑む無謀さは、けれど千晴によりその窮地を救われます。叶わない、見果てないから夢といいながら、それが満たされることこそが、始まりの三匹を妥当し得る条件という皮肉。夢を喰われながらも、諦めることなく生きながらえるということが、あるいはこの物語に決着を付ける鍵となるのではないかと思うのです。