狼と香辛料〈2〉

2013年4月18日

狼と香辛料〈2〉読了。

今回も面白かったです。修羅場をくぐり抜けてそれなりに実力も付いてきたと、過信をしがちなお年頃のロレンスさん、調子に乗って欲を出したのが運の尽き、一転人生最大の窮地に、というお話。舞台は中世的な世界で、経済の仕組みも現代ほど複雑ではないのですが、それでも通じるものがあったりしてなかなか面白いですね。特に昨今の株を巡るエトセトラの事件とかが話題になってる情勢で、こういう作品がラノベでも出てくるのは興味深いです。このシンクロ加減は、世相を反映しているのか、みたいな。やはり信用買い危険、ということで。

相変わらず、ホロは老獪ながらもロレンスに寄せる信頼は、その大きさを増してきているようで、二人の腹の探り合いのような駆け引きも、腹を割った本音の会話も、ある程度年が行った主人公を据えているからこそできるものだなと感じます。こんな会話をする十代がいたら微妙にイヤだし。

商人は商人らしく商魂たくましく、信用を礎にしながらも、相手を出し抜くしたたかさを決して失わない強靱な意志に満ちていて、それでも根っこの部分では完全に悪者になれないロレンスは、やはりホロの言うようにお人好しに過ぎるのでしょう。まだまだホロをあしらうには人生経験が足りませんが、互いに良いパートナーであることは間違いないでしょうね。そこかしこで交わされるの男女の会話はなかなか心地よいものです。ホロの本音がどこまでなのか、まだまだそこは見えませんが(^^;

新キャラのノーラも今回だけのゲストキャラには惜しいですね。またどこかで──それが数年後とかの未来でも──夢を叶えた姿で再登場してくれたりすると、また感慨を得られたりするかも。