うはー、スゴすぎる。もともとスポ根ものとしても珠玉のシリーズで、プログラムの描写が卓越していた作品でしたが、本作においては、トップアスリートたちのメンタル部分の描写が冴え渡って素晴らしい。
至高であり絶対的な存在のリア。それでもタズサやガブリーにとっては倒すことを否が応でも期待されるわけで、そのプレッシャーに対する両者の対照的な捉え方、対応の仕方が、前半の軽い会話を経た後だとどうにも重苦しくのしかかります。
また、なんだか百合百合な描写のオンパレードの、リア邸での滞在が蜜月なんてのは、それこそあれこれあらぬ妄想誤解を生むこと間違いなし。上辺だけだと嬉し恥ずかしのお泊まりイベントなのですが、タズサのこの件においては、そんな生っちょろいものではないようです。
その後の展開も、ここで描かれた甘い関係を経たからこそ、憧憬の対象としてリアを眺めていたタズサと、アスリートとして到達点に在るリアを倒すという夢物語に挫折しそうになる、競技者としてのタズサ。どちらが勝ったかといえば、本巻のラストで彼女が発した一言に集約されているのでしょう。まさに不退転の覚悟。舞台は整い、いよいよ完結に向けて最後の、あるいはタズサにとっては初めてのリアとの真剣勝負。続きは早めにお願いします。
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