影≒光 陰陽編

2013年4月18日

影〓光(シャドウ・ライト)―陰陽編読了。

このシリーズ、敵方として出てくるキャラクターの掘り下げがいまいち足りないのが惜しいところですね。今回も、家族を身内の手によって全滅させられた紀詠と呼ばれる家の後継者が、御影の対極として登場し物語を引っ張るのですが、敵となる狭霧の兄の憎悪も、表に出すことのできなかった願望も、そこへ至る過程の描写が足りないので、どうにも彼の懊悩に感情を重ねることができません。

他の方の感想を見ると、やはり冗長に過ぎる・必要な描写が足りてないといった意見が多いので、その辺の改善が求められるのではないかなと。確かに中盤のとある事件の顛末はあってもなくても大差なく、逆に登場人物を増やしてしまったゆえに、御影・狭霧らの主人公側の感情の描写が不足してしまったような印象です。

あとは、英国にいる弟・光輝と師匠の部分は別になくても良かったのかな。シスコンな弟とブラコンな姉と、光輝にストレートな感情を向けているルーシーの三角関係は、また別の短編ででもしっかり描いてくれれば。なんかこのままだと姉弟の一線を越えそうなので、それはそれで新境地として期待しても良いのだろうかとか思ってしまいますが。