和算がつなぐふたつの世界 って、このイラストで萌え要素が皆無に近いって!?
前巻で、吉朗や麻琴のお話に一応の決着が付いて、続刊がどんな展開をするのかと思っていたらこう来ましたか。今回の主人公となるのは、前巻でも吉朗の先輩として陰で支えてくれた千尋(=千広)。彼が別世界の写し身へと飛ばされてきたきっかけと、さらに昔のとある一人の和算家の数奇な人生の足跡。
まさか、ライトノベルの、しかも富士見ミステリーというレーベルで、こんな硬派でマイナーな和算というテーマでもって、このような作品が出版されるとは。作者も好き放題やらせてもらった感ががが(笑)
そんな感じで、千広と千尋が傾倒していた和算が、ふたつの世界を繋ぎ、在るはずのない文化が存在することから生まれるミステリ風味も盛り込んで、非常に読み応えのある一冊。
和算についての知識がないと、その辺の説明がかなりちんぷんかんぷんなので、興味ない人には辛いだろうなあとも思いますが、前巻のような TS ものとしての恋愛劇を前面に出してくるよりも、こちらの方が私は楽しめましたね。
惜しむらくは、というよりも、この内容でこのイラストでは、ギャップが激しすぎるので前巻のような内容を期待してしまうと大いに裏切られる危険性もありますが。作者の筆力も高く感じられ、作品としてのクォリティはなかなかのものと思うのですが、このイラストで手に取る読者にとってはまさに斜め上の展開ではないかと。
あとは、微妙に BL だったり百合だったりの要素が入ってるのが好み別れそう。後者はともかく、前者は男のみには辛いですね。精神的には異性でも、肉体的には同性なので、そういうシーンはちょいと衝撃が。百合は全然気にならないんですけどねえ。
ということで、別世界からの帰還を果たした千広。そもそも精神が入れ替わる理由とか、作品の根源的な部分の設定がまだ謎なので、その辺が明らかにされる日は来るのかどうか?
3巻はもうちょっと萌え要素入れて欲しいかなあ。せっかくの和泉つばすのイラストなんだから。
和算について
東北大学和算ポータル にあった、数学遊戯(和算パズル)10問に挑戦! には、作中でも登場した継子立てという問題の図解などもあって参考になりました。
hReview by ゆーいち , 2007/07/15
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