撲殺天使ドクロちゃん〈10〉

2008年8月14日

stars さよならドクロちゃん! 今度こそ本当に完結!

ある日未来からやってきた新たな天使ゼブルちゃんとダチュラちゃん。ふたりは唐突に桜くんに告げます。
「ドクロちゃんは未来の世界へ帰らなければなりません」
世界の平和を保つという天使の役目を果たしてもらうために、桜くんは苦渋の選択の末、ドクロちゃんと別れることに。
望まず離ればなれになってしまったふたりは再び逢うことができるのか?
――これは、過ちばかりの少年と、いなくなってしまった天使の少女が、
再び巡り逢うための物語。

表紙絵から予感していましたが、第10巻にしてシリーズ完結。書き下ろしの長編にて大団円(?)なエンディングを迎えました。
正直、この作品、どういうラストが描かれるかと思っていたら、予想していたのよりよほどまっとう(失礼)で、グダグダとギャグの皮を被ったシリアスなストーリーで、まさに劇場版ドラえもんのノリでしたね。所々でドラへのリスペクトが伺えるシーンもあったし。

おかゆまさきという作家の神髄というか。どうでもいい感じでだらだらと話を続けようと思えば続けられるのに、ここで敢えて一区切りをもってくるあたり、氏の決断が感じられます。もちろん、シリーズ全体としてみると、序盤の勢いとこれまでのお約束をぶち壊すような展開から、マンネリ化してた部分もありますが、ストーリーを進めるという大事な部分においては、かなり真摯に書いていたように思います。時たまシリアスな展開を挟みつつも、悲壮になりすぎず、ゆる~い感じでこのエンディングに辿り着けたというのは拍手を送りたいですね。
桜くん自身も、状況に流され、他者にいじりまくられつつも、最後の最後で株を上げ、そのまた後にいつも通りいじられるという、なんとも美味しくも悲惨な役を見事に演じきった感じ。これからも延々と続いていくドクロちゃんワールド。僕らの学園生活はまだまだ続くぜ!

次回作はドクロちゃんじゃなくなるということで、次の作品がどんな感じになるかというところに興味が向きますが、なにぶん、このシリーズのインパクトが強いから、どうしても比較されちゃうんだろうなあ。一発屋で終わらないだけの地力を見せてほしいところです。ともあれ、祝完結!

hReview by ゆーいち , 2007/10/31

撲殺天使ドクロちゃん 10

撲殺天使ドクロちゃん 10 (10) (電撃文庫 お 7-11)
おかゆ まさき
メディアワークス 2007-10