過酷なゲーム再び開始! 前作とのリンクが気になる新シリーズ
気が付くと福原は見知らぬ部屋で鎖に繋がれていた。同様の男女が自分を含め11人。天井には首を吊られた誰かの姿。そして、制限時間内に部屋から脱出できなければ、その内の誰かが首を吊られ死ぬ……。手にしたのは一丁の拳銃と、一千万という大金。絡み合う思惑、奇妙なルールに支配されたゲームが開始された。
ということで、『扉の外』が中途半端な幕引きで不満に思っていた人は楽しめそうな内容。冒頭の展開からして、前作をなぞるかのような、唐突なゲームスタートと知能戦。信じ信じられ、裏切り裏切られ、人間の内面と欲深さを逆手に取ったイヤらしい展開は健在です、がアクの強いキャラはいないので印象に残らないかなあ。福原と彼のマネジメント役の舞以外はほぼ使い捨てっぽいし。
「パルス」という異能要素が出てきたりしてますが、それはあんまり重要そうじゃない? 心理戦の方に重きが置かれている展開だったので、異能の力が趨勢を左右するというよりは、その力をアクセントにひと味違った味付けのゲームを築いて見せたという印象です。今後はそういった能力をフルに使った、使わざるをえないようなゲームもきっと出てくるんでしょうね。
で、作中の用語とか世界の描かれ方を見ていると、やはり『扉の外』とのリンクをどうしても意識してしまいますね。前作では描かれなかったゲームを管理する側、それを見て楽しむ側、巻き込まれてしまった人たちに備わっていた異能の可能性、などなど。本作のどこかで、前作の登場人物たちの名前を見て、あの物語の語られなかった部分の顛末が明らかにされたりすると面白いかな。
hReview by ゆーいち , 2007/11/28
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