ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章

2008年9月9日

stars 小国の賢王の死 そこから始まる争乱の時代の幕開け

弱小国家ウェスタディアにありながら、その名を銀河に知らしめていた王・エドアルド。彼の死によりウェスタディアは存亡の危機に立たされる。国を捨て亡命をする重臣たち、次期王位継承者たるエドアルドの息子まで国を捨て、彼の遺志を託されたチェザーリは修道院に身を寄せていた王の娘・ルシリアを次期王として立てる決意をする。隣国・ラミアム大公国のウェスタディア進行の報を受け、緊張感高まる中、前線に自ら立つのは若き書記官・アルファーニと、不良軍人ながら卓越した能力を持つバドエル。千年の平和を揺るがす戦端が開かれる。

買ってから作者が『お留守バンシー』と同じ方だと気付きました。前作はなんともユルい物語でしたが、今回のシリーズはかなり重厚な雰囲気です。銀河を舞台に国家間の戦争が描かれていくことになりそうですが、SFらしさよりもどこかしらファンタジー的な雰囲気を感じる世界です。戦艦同士の大規模戦闘も、戦闘描写そのものよりも、指揮官同士の駆け引きだったり騙し合いだったりと、そういった個人に重きを置いて描かれていたように感じました。

登場人物がどれも主人公になり得そうなひとばかりで、外務卿のチェザーリと新王でヒロイン的な位置にいるルシリアが政治を動かすならば、アルファーニとバドエルは戦場の最前線にて国を守ることに粉骨しそう。どちらを描いても十分物語が回るだけに、どういう展開で彼らの物語が進んでいくかが楽しみです。

長い平和が終わりを告げて、小国ウェスタディアを中心に、大きな戦争が始まりそうなラスト。小国なだけに、大国を相手に渡り合うには様々な機転を利かせて行くしかないという、お約束ではありますが、この燃える展開。先が楽しみです。

hReview by ゆーいち , 2008/02/16