貴方の痛みが、日没に還りますように……
研究所からテレスを助け出し逃亡することを決意したトルク。その前に立ちふさがるギルクリスト。成功作と失敗作、互いに自らの存在意義に苦悩しつつ、刃を交えるふたり。トルクはテレスを救えるのか? 真意の読めない兄・ダラスの目的は?
あああああ……。雰囲気がかなり重苦しい感じだったので、ここからどうやってハッピーエンドに持って行くかと思ったら、これは痛い。全うに戦争を描いて、その犠牲者の姿を描けば、行き着く先はこのラストかも知れないけれど、トルクとテレスには幸せを掴んでほしかったなあ。
兵器として感情を捨て去っていたトルクに、様々な思いをもたらしてくれたテレス、そんなテレスを救いたいと、何もかもを投げ捨ててただテレスの手を取ったトルク。そんなふたりに嫌々ながらも付き合うギルクリスト、そして、兵器として行き着く先まで行ってしまったダラス。それぞれが戦争という狂気の枠内で生み出され、望むと望まざるとに関わらず傷つけ合うことしかできなかった悲劇の結末。大きな世界の片隅で起きた小さな事件だけれど、そこに生きていた人々の感情は決して否定はできないものでしょう。
交わった道、交わらなかった道、いろいろな運命が散っていった悲しい物語でした。本編(?)の方ではこの物語の数年後を舞台に、明るい話になっているようなので、そっちもチェックしてみようかな。
hReview by ゆーいち , 2008/02/24
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