シリアスに見えて実はほのぼの って、表紙はなんでこのキャラなの?
建代神一郎ことタケシロと天霧美琴ことアマギリは、ハテシナから人間界にやってきた。一般人であるはずの少年・藤堂周慈を護衛するために。どうにかこうにか藤堂家に居候し、周慈、春菜の姉弟と微妙な共同生活を送りつつ、周慈を狙う他のハテシナ勢力と人知れず戦いを繰り広げていく。
冒頭からやたらと殺伐として展開を見せつつも、中盤~終盤の藤堂家のふたりとの関わり方が良い感じで、読み終わってみればすっきりとした印象の作品でした。
主人公となる神一郎と美琴の武器が、方や宝剣・クサナギ、方やデッキブラシという訳の分からない組み合わせで、敵との戦いもどこまでが真剣なのか、気が抜けているのか、緊張感一辺倒な展開じゃないあたりが新鮮でした。
過去の出来事により、運命を変えられてしまった周慈と春菜。春菜の身を襲った事故の原因の一端を担っている神一郎。現在の周慈を鍛えることで、彼と奇妙な師弟関係が生まれていく美琴。そして、この戦いを通して、パートナーとして成長していく神一郎と美琴。そんな様々な関係が物語の進展にあわせて自然に発展していくのが素敵ですね。
ハテシナの勢力争いは血なまぐさいワリに、終わってみるとなんだか良作のホームドラマを見ていたみたい。一度分かれた彼らが、もう一度再会するというエピローグは、分かってていても、やはり温かい気持ちにさせられました。
hReview by ゆーいち , 2008/03/05
- 藤堂家はカミガカリ (電撃文庫 た 21-1)
- 高遠 豹介
- メディアワークス 2008-02-10
コメント