いるな。……今月のびっくりドッキリ魔法人間が。
公館に追われる身となり、ひとりの生活に戻った仁。そんな彼の元を訪れたのは、きずなと、今は神和の元で刻印魔導師を続けるメイゼルだった。夏が終わり、神聖騎士団の日本侵攻の足音が近付く中、かつての風景が収められた写真を手に回想するのは、苛烈極まる戦いの日々とはまた違ったメイゼルたちと過ごした日常という時間。
雑誌掲載の短編集ながら、加筆されたインターミッションなどのおかげで、次巻への伏線もばりばり張られた第7巻。神音体系と公館の、総力戦とかつてない大被害を予想させられる展開を、けれど忘れさせるかのようなインパクトのある変態たちとの邂逅が語られた短編集でした。
しかし、まさかグレンとの戦いに登場していたセラがこんな形で短編に姿を見せるとは。なんか、寒川さんが結構話に絡んでるんですが、どれもこれも、魔導師たちの変態バトルに巻き込まれて悲惨な扱いになっているのが忍びないことこの上なくて。でも笑えます。がんばれ、寒川さん。メイゼルの責めに見事耐えて新たな地平を拓こう!
本来なら、魔導師たちにとっては生きづらい世界のはずなのに、紙一重で愉快なお話に変わる、このさじ加減はなんだか素敵ですね。次回からの大波乱へ向けて、仁も、メイゼルも、そして公館の人々も覚悟を決めざるを得ない中で、こういったバカらしいけれど大切に思えるような出来事の記憶というのは、いつまでも残っていきそうな感じですね。
hReview by ゆーいち , 2008/03/12
- 円環少女 7 (7) (角川スニーカー文庫 153-9)
- 長谷 敏司
- 角川書店 2008-03-01
コメント