銀槌のアレキサンドラ〈2〉

2008年8月8日

stars あたしは光輔のなんなの? 娘? 妹? 違うでしょ!

テニスへの復帰を決めた光輔は、クラスメイトの初美の案内で、ラケットの購入のため街へ繰り出していた。けれど、その帰りにふたりを襲ったのは、鳥の形をした魔獣。初美を置いてひとり危険に身をさらした光輔を助けたのは、白いコートに真紅の髪の少女・アルマンディン。サンドラと同期で、単なるライバルという言葉以上に彼女を敵視するアルマは、先ほどの魔獣を倒すためにやってきたと言うが……。

アルマの一方的な思い込みは、それほど深く掘り下げられてはいないけれど、魔法使いという存在が、単なる正義の味方などではなく、誰かの期待も背負わなければならない苦しみを内包しているというのは、前巻でもありましたが、やはり悩みの種のようで。

そして、ふとした言葉のすれ違い、行き違いで、またしてもケンカしてしまった光輔とサンドラ。今や、満足に魔法を使うことのできないサンドラは、光輔から離れることができないのに、ケンカしてしまった後ろめたさから、あるいは、光輔に嫌われてしまったという恐れから、魔法使いを続けることを諦めるなどという弱音を漏らす儚さなんてものを見せてくれました。まぁ、その後の悩みの解決は割とあっさり気味ですが、こういう雨降って地固まる展開は、王道であるがゆえに良いものです。

魔獣退治のためのパートナーという以上の関係になりつつある光輔とサンドラ。魔石が分離できて、その関係を続ける理由がなくなったときに、また難しい選択が訪れそうですね。

光輔のファンを自称する初美嬢、ヒロイン的な扱いされても良いのに、報われてないなあ。サンドラの噛ませ犬で終わってしまうのか……っ!?

hReview by ゆーいち , 2008/03/24

銀槌のアレキサンドラ 2

銀槌のアレキサンドラ 2 (2) (電撃文庫 う 3-6)
上野 遊
メディアワークス 2008-03-10