たま◇なま~ほしいものは何ですか?~

2008年8月18日

stars おれも、一緒に、戦う。君を、一人で戦わせたりなんか、しないよ

透の家に居候が増えた。欠片同盟の依頼で、愛華と蒼い少女が透と由宇の暮らす家へやってきた。どこかに潜伏する敵を倒すために。9月からの高校編入のため、由宇をスパルタでしごきながら、透は残り少なくなった夏休みの日数を思う。それが、日常の終わりへ向かうカウントダウンであることに、気付くものは誰もいない。

白い人の目論見と、欠片同盟の目論見、その狭間で揺れ動いている透と由宇の夏休みのお話。かつての透を苦しめた卑口の、その思想を受け継いだ敵の出現は、彼の心を抉るようで、けれど、かつての透のようになすすべもなく立ち尽くすことなく、立ち向かうことを選んだ彼の成長を感じさせられるお話。

やはり、胡散臭い欠片同盟の灰人は、透に何らかの価値を見いだしているようだけれど、そのやり口が気にくわないですね。飄々としながらも、腹黒い面が見えて、でも何も考えてないような短慮な行動を取ってみたりと、本質がまだ見えません。浅黄の方は好意的に動いてくれているみたいなんですが、この先も味方であるかどうかは微妙な感じですかね。

道具として扱われていたような、『蒼』も、この生活で何かが変わったみたい。機械的に命令を果たしていた彼女ではなく、透たちとの生活で、透からかけられた言葉の数々で、少しずつ人間的な感情を得て行っているよう。言葉少ない彼女だけれど、態度や行動で見せてくれた、決意は、優しい感じに満ちていますね。

さてさて、ようやく由宇も学校へ通えるようになって、いよいよ学校生活再開。不安要素はたくさんあるけれど、賑やかになる生活は楽しみもきっとありますよね。

hReview by ゆーいち , 2008/04/03

たま◇なま~ほしいものは何ですか?~

たま◇なま~ほしいものは何ですか?~ (HJ文庫 ふ 3-1-4)
冬樹 忍 魚
ホビージャパン 2008-04-01