ウィザーズ・ブレイン〈4〉世界樹の街〈下〉

ウィザーズ・ブレイン〈4〉世界樹の街〈下〉

stars 世の中ってのは上手くできててな、人にできないことができるヤツは、人より苦労することになってるらしい

街で倒れたファンメイを助けたフィアは、けれど彼女の警戒を解くことができず、距離を縮めることができずにいた。ヘイズとリチャードはファンメイを案じつつ、世界樹についての調査を続ける。そして、世界樹による《雲》を取り除き青空を見上げるという目的に向けて懸命に準備を進める錬とフィアは、感情を見せ始めたエドの抱える秘密に、世界樹が動き出した結果、もたらされるものに気付かないでいた。

うおおお、なんかむちゃくちゃなスケールでお送りする下巻です。終盤の各員の奮闘は燃えるわ泣けるわで、終始震えっぱなしでしたよ。

青空を取り戻す唯一にして最後かもしれない可能性を秘めた世界樹。けれど、エリザベート・ザインがそれを破棄したのには、誰も知らなかった理由があって。世界を崩壊させかねない、その危険性が現実のものとなったとき、それまで相対していた錬たちとヘイズらが共闘するのもお約束ながら燃える燃える。

そして、主人公らしい活躍をする錬やヘイズと違って、自分との戦いを続けていたファンメイやエドの姿も切なくて染みますね。人間の形を保つことができなくなるかもしないという宣告に絶望するファンメイ、エリザベートの手により生み出され、人形と揶揄されつつもそれを疑問に思わず生きてきたエド。人間であるから苦しみファンメイと、自分が人間ではないと思い込んでいるがゆえに、人間らしい心が芽生え始めたことに苦しむエド。対照的ながらも、ふたりは生きていることに悩んで、苦しんで。そんな彼らに言葉を届け、思いを届け、友達という関係を生み出していった錬とフィアの優しさも、またこの生きづらい世界においてかけがえのないものとして映りますね。

世界樹の問題は一段落しつつ、問題は残され、そして、ヘイズの気付いた新たな事実が示すものと、賢人会議の本格的な胎動。どんどん盛り上がってきてますね。先の展開も気になるし、どのキャラも懸命に生きている姿が愛おしく思えたり。次のエピソードも激しく期待です。

hReview by ゆーいち , 2008/04/21

ウィザーズ・ブレイン〈4〉世界樹の街〈下〉

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三枝 零一 純 珪一
メディアワークス 2004-01-10

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