目の前にいるのが敵か味方かは誰にも分からない。ここは、もう戦場ですよ
シティ・ニューデリーは中央招集会議の開催を決定した。その中で、アニルはすべてを明らかにする覚悟で臨む。彼を警護するのは錬。アニルの決意を知らされない錬は、彼の行動に疑問を覚えつつ、中央招集会議の日は訪れる。
舞台は政治の場で決着を見るのか? と思いきや、両陣営の策士の一手ごとに状況はめまぐるしく変化していく中巻です。〈賢人会議〉の代表として矢面に立つサクラとは別に、その背後で舵取りをする真昼、そして、彼の存在を見抜き彼に対して仕掛けるアニル。ふたりの読み合いは、表だって戦う錬やサクラ、ディーたちのバトルとはまた違った緊張感がありますね。
物語的には大きく進展はしていないような感じがしつつも、月夜やイル、ヘイズが辿り着いてしまった、世界に隠された事実だったり、あるいは、フィア、セラ、クレアの出会いだったり、オールキャストがそれぞれの場所で繰り広げられる会話だったりは、やはり良いものです。惜しむらくは、彼らが対立しているという事実で、決して相容れない信念があるだけに戦いは避けられないであろうことも分かりますが、同じ目的に向かって戦う姿も見てみたいなあ。
イルとサクラの共闘や、錬とディーの戦いとか、バトル方面でも見所はありますね。前者は、二度と見られないかも知れない貴重なショットだし、後者は最強の騎士の称号に最も近いであろうディーに対して、応用力で上回って見せた錬の成長が伺えます。スペック的には適いそうもないのを、発想と工夫で御してみせた錬の作戦勝ちといったところですかね。
そして、いよいよ始まる最後の一日。歴史が大きく動こうとする一日が、どんな展開を見せるのか、期待です。
hReview by ゆーいち , 2008/05/04
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