金庸処女作 武侠小説初めてだけど普通に読めます
乾隆帝の治世。乾隆帝の秘密を知った秘密結社・紅花会の幹部・文泰来は、朝廷の追っ手に深手を負わされ身動きできなくなってしまう。紅花会の新頭主となった陳家洛は、彼の元に集った幹部たちを率い、文奪還のために動き出す。
……という物語が始まるまでに第1巻の随分なページ数が使われてたんで、最初誰が主人公なのか分からなかった。てっきり沅芷かと……(笑)
金庸の作品は初めてで、さらにデビュー作はオリジナルの執筆がもう50年も前なのに、これは面白いですね。岡崎由美の和訳も上手いんでしょうけれど、読みづらく感じつつも、作品の世界に引き込まれるような感じも受けました。
登場人物が多くて、まずは名前を覚えるのが大変なんですが、これだけ登場しているのに、しばらく読んでいくと誰が誰だか分かるのもすごいですね。どいつもこいつも強烈な個性とワケの分からん技の持ち主なので、慣れてしまえばぐいぐいと。
囚われたままの文泰来を救うチャンスは何度か訪れつつも、あと一歩のところでその機を逸してしまい、紅花会のメンバーは目的を達せず終い。文泰来が知っている乾隆帝の秘密も謎のままだし、最後の引きでまた別の流れが生まれつつあるような。なんだかやたらと壮大な物語の予感がしますが、これの先は一体どうなってしまうでしょうね。
にしても、中国小説の中にも、萌え要素を見出してしまいそうになる日本人の感性って……。
hReview by ゆーいち , 2008/05/10
- 書剣恩仇録〈1〉秘密結社紅花会 (徳間文庫)
- 金 庸 岡崎 由美
- 徳間書店 2001-04
コメント