書剣恩仇録〈4〉紫禁城の対決

stars苦悩する陳家洛 愛と大業の板挟みの果て物語は終幕する

姿を消したホチントンを追う、陳家洛と彼女の妹カスリー。ようやくホチントンと巡り会えたものの、餓狼の群れに囲まれ、辛くも逃げ出した先は黄砂に埋もれた古都の宮殿だった。三人の後を付け狙う張召重たち。そして、乾隆帝自身も、カスリーを手に入れるために奸計を張り巡らせていた。

壮絶な三角関係に発展したと思ったら、これは切ないラスト。陳家洛の迷いっぷりに共感できるかどうかで、この展開の評価は大きく分かれそう。紅花会のトップ、漢民族の悲願のために自己を殺す選択をしたのは、英雄的行為かもしれないけれど、ホチントンとカスリーの愛を一身に受けた男の選択としてはへたれ極まりないというか。

結局、乾隆帝との間に生まれた溝は埋まることなく、あるいは、これは運命という大きな流れのせいでふたりの関係はねじ曲げられたのかもしれないけれど。乾隆帝の手のひらの返しっぷりと、カスリーに愛された陳家洛への見にくい嫉妬っぷりは、金庸の皮肉が反映されているとはいえ、端から見れば賢帝とはいえないなあ。

なんだか、壮大な兄弟げんかの顛末を見せつけられたような気はするけれど、史実をもとにこういう物語を仕上げたのは素直に感嘆するし、武侠小説初めての私も巻が進むにつれてすらすら読めるようになったしで、やはり大した作品なんだなあ。

hReview by ゆーいち , 2008/05/24