葉桜が来た夏

2008年5月31日

stars 嘘をつくのが嫌ならつかないですむ世界を作ればいい。大丈夫、時間はたっぷりあるんだから。

アポストリと呼ばれる異星人との邂逅から19年が過ぎた。彼女たちを乗せた「十字架」が落下した琵琶湖周辺は、アポストリと人間が共存する居留区となっていた。アポストリが絡んだ過去の事件により、アポストリに対し憎しみを抱く南方学は、居留区独自のシステムに則り、異星の少女・葉桜との共棲生活を強引に始めさせられるが……。

ファーストコンタクトに失敗した『帰星子女』みたいな印象が。異星人との異文化交流だったり、技術レベルの違いによる政治的な取引だったり、ボーイミーツガールの背景に結構黒い大人の事情がひしめいていたお話でした。

アポストリをこれでもかと憎しみ、仇を討つことにすべてをかけていたような学が、葉桜との出会いと最悪から始まった関係の、改善が割とあっさりだったりしたのはやや拍子抜けですが、こういうまっすぐに理想を追う少女と、ひねくれた少年の距離の縮まりを見るのはやはり楽しいですね。

そして、事件の黒幕だったり背景だったりは、やっぱり後味が悪くて、その結末もなんだか切ないなあ。立て続けにこういう救われないラストを見てしまうとしょんぼり気味。

けれど、学の父、そして、葉桜の伯母ら、おとなの築いてきた道を、今度は学たちが造っていく、そんなラストシーンは良かったですね。

hReview by ゆーいち , 2008/05/31

葉桜が来た夏

葉桜が来た夏 (電撃文庫 な 12-1)
夏海 公司
アスキー・メディアワークス 2008-04