もうすぐ余の研究は終わる。ガーゴイルの破壊をもってな。
ガーゴイルと百色の復讐に生きる男・レイジが吉永家を訪れた。正々堂々と真正面から宣戦布告し、果てはガーゴイルと百色以外の誰ひとりとして、御色町の住人は傷つけないとまで宣言する。ガーゴイルたちの包囲網から悠々と逃げ延びたレイジの行方を掴むこともできず、ガーゴイルはただ己の使命を果たすべく、すべてを守るため警戒を続けている。
物語のラストエピソードは、やはり宿敵ともいうべきレイジとの対決。随分と格を上げ、ラスボスらしい振る舞いを見せてくれていますが、相変わらず通常の良識とは斜め上の理論で動く男。御色町に愛着を感じながら、この所行、まさに外道。
前巻から感じてましたけれど、どうにもこういうシリアスな路線の話が延々と続くと切なくなりますね。これまでも、重いエピソードはありましたが、結局最後はその事件に関わった皆が笑顔になれるようなラストで締められていたけれど、ことレイジ絡みの事件に限っては、ここからどう展開しても誰も彼もが幸せになれる道なんて見えないように思えますが。絶望的な状況下に置かれてしまったガーゴイルと、吉永家。これまでの温かな交流で生まれた絆を逆手に取られて、孤立無援の状態になってしまう双葉の涙は痛々しいし、そしてガーゴイルがこれからどうなるのかも気になります。
次巻はヒッシャムの言葉とかから推測すると、『おるたなてぃぶ』のキャラも参戦してきたりするのかなあ。オールキャストで最後の戦いに向かうという展開、燃えはありますが、それ以上に温かな結末を迎えてほしい。文字通りの大団円に至ることを期待しています。
……正直、バトルとかが前面に出るのは、『おるたなてぃぶ』でお腹いっぱいなので、こういうまさに最終回的なエピソードで締められるのはどうかなあとか思っちゃいましたけれど。
hReview by ゆーいち , 2008/05/31
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