君の居場所はこんな鳥籠じゃない。これから、君の居場所は僕のとなりだ。
星弓家の家長・耕作の浮気疑惑に、ついに母・志乃の堪忍袋の緒が切れた。「実家に帰る」と言い家を出た志乃。残された星弓家は壊滅的な状況に。主に食事面で。軋人らにせっつかれ重い腰を上げた耕作とともに、志乃説得のために向かったのは耕作の実家で……。
安定して面白いシリーズ第5巻。元姫様で、なんだか影の薄かった母親・志乃と耕作のなれそめから、なんだか照れくさい夫婦愛に帰結したお話でしたね。
もともと、かつて異世界を救った勇者である耕作と、その異世界アーダルハントの王国の姫君であった志乃。周囲から祝福されない関係でありながら、それを成したふたりは出会いからなんだか惹かれ合っていたみたいで、そんなときの想いを今の今まで暖め続けてきたこの夫婦の関係は素敵ですねえ。
発端はちょっとした志乃のわがままで、けれどそれに軋人たちも巻き込まれてのドタバタから一騒動へ。耕作の父親の大三郎も良いノリで笑いを提供してくれるし、家族という狭い範囲で展開する物語なのに、マンネリにならないところはお見事ですねえ。
結局は家族愛に帰結して、そして、それが暖かい余韻を残してくれるんだから、やっぱりこのシリーズは好きですね。この先も楽しみ楽しみ。
hReview by ゆーいち , 2008/07/18
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