森口織人の陰陽道

stars 一つ、頼みがございます。どうか、初雪御嬢様の友達になってはもらえぬでしょうか。

県立・吝華高校に転校してきた森口織人は登校初日の道中、女生徒とぶつかった。彼女の手を取った途端に脳裏に浮かぶ扇情的な映像。自分の妄想が他人に伝わってしまうという、難儀な能力を持った彼女・遙奈原初雪と織人は出会い、そして、彼女の秘密を守るために、縁もゆかりもなかった陰陽道の世界へ足を踏み入れることになって……。

[tegaki]初雪、いやらしい娘っ!![/tegaki]

暴走妄想少女で陰陽師である初雪の秘密は、自分の妄想が他人に伝わってしまうこと。誇大妄想で被害妄想な彼女のそれは、それはもう、過激で過激で、青少年には刺激が強すぎます。そんな彼女の秘密を知ってしまった織人が、陰陽道と関わり、初雪との距離を縮めていく、そんなお話。

前作の『ドクロちゃん』が、大変はっちゃけていたのに比べて、冒険をするよりは手堅い話を作っていこうという感じなのかな? まぁ、登場人物の性格付けだったり話の筋だったりは、おかゆまさきらしい空気に溢れているんですが、やはり、『ドクロちゃん』の初期のパワーと比べると無難に感じてしまいますね。『ドクロちゃん』から毒な部分が消えて、ぇちぃ部分が残ったような。織人はいたって普通の人間で、撲殺とかされませんからねえ(笑)

このシリーズは初雪のあられもない妄想のバリエーションを楽しめってことなのでしょうか。確かに、口絵から挿絵から、もう、あれやこれやサービスシーンの大盤振る舞い。なんてアブない妄想なんでしょう。にやにやしてしまうじゃないですか。のっけから危険なシーンが結構多かったですが、これからどんどんカゲキになっていく可能性も? よしきた、期待しようじゃないか!

陰陽道云々は意外に手堅く設定寝られてそう、だけれど、こんにゃくの身体を持つ式神だとか、ゆるい感じで気の抜けるキャラ造作は、なんともおかゆらしいですね。顔見せ程度に登場した、遙奈原家の面々だったり、なんだかやたらとノリの良い織人の母だとかも良い味出してます。個人的にはもっとはっちゃけて行ってくれても全然OKなので、続巻はさらなるエスカレートに期待ってことで。

hReview by ゆーいち , 2008/08/14

森口織人の陰陽道

森口織人の陰陽道 (電撃文庫 お 7-12)
おかゆ まさき
アスキー・メディアワークス 2008-08