オオカミさんと長ブーツを履いたアニキな猫

stars すごい顔と笑い声してるだろ、オオカミさんシリーズのヒロインなんだぜ? アレ。

人前でヘタれてしまう自分の情けなさをどうにかしようと悩む亮士の前に現れたのは、漢前で慣らすアニキ的存在の猫さんだった。そんな猫さんとの特訓で、一皮むけておおかみさんを守ろうと誓う亮士を尻目に、御伽銀行の面々は鬼ヶ島高校の仕掛けた周到な罠にはまり込もうとしていて……。

いつものシリーズにも増しておおかみさんの可愛さ成分が何割か増量、そんな感じのお話。珍しく1冊を通して鬼ヶ島高校の逆襲的なエピソードでしたが、前座的な『おおかみさんなんでかわかんないけどすごく見られて困る』での素直になれないオトメ心にによによ。ネットの中では格好いい男前の亮士に惚れ直したかと思ったら、照れ隠しで虐殺モード入りましたが。合掌。

あとは、アリスさんと頭取さんのエピソードとかは、幼馴染み分の補給ができたりして良い感じ。こういう腐れ縁だけれど、根っこの部分で繋がってる信頼関係は素敵。まぁ、どちらも今の関係からさらに踏み込んで、というのは考えてないようだけれど、こういう距離感でずっといっしょというのも、それはそれで理想的な関係?

アニキな猫さんのエピソードはちょっと良い話。自分ができなかったことを亮士に託す猫さんの想いは、おおかみさんに伝わらないけれど、過去の後悔とか乗り越えて、ようやく報われた感じですね。これからも、さらに人助けに拍車がかかりそう(笑)

おかげで、亮士もレベルアップして、いつか訪れるラスボスとの戦いに向けた準備は万端、っていうか、あの悪い奴は、本当にこの作品内にいていいものなのだろうか。毛色が違いすぎるけど、まぁ、ばっさりとやられてくれる痛快な展開になると信じていますが。

もうしばらくは、お馬鹿は話やちょっと良い話が続くということですが、今回のようなこっ恥ずかし系なエピソードもぜひぜひお願いしたいところ。

hReview by ゆーいち , 2008/08/16

オオカミさんと長ブーツを履いたアニキな猫

オオカミさんと長ブーツを履いたアニキな猫 (電撃文庫 お 8-12)
沖田 雅
アスキー・メディアワークス 2008-07-10