全部は無理でも、すごく大事なことくらいはわかりたいじゃないですか。
佳奈に自分の気持ちを伝え、そして報われることのなかった日菜は健一に慰めを求めていた。健一は男と女ではなく、親友として、そんな彼女の傷ついた心を救おうと思いを巡らす。そんな出来事を境にしたかのように、皆が変わっていく。まるで、この幽霊マンションからの旅立ちのときが来たかのように、少しずつ、けれど確実に変わっていっている。
富士ミス最後の砦(?)な本作もいよいよクライマックス。次巻で決着を付けるためなのか、物語が一気に動き出していってますね。出番のなかったひとたちも動きまくり、健一をはじめとして、綾や冴子、刻也、そして日菜と、幽霊マンションの住人たちがそれぞれ歩き始めたような印象です。
マンションの住人同士、そこを出てしまったらもう会うことができない、そんなルールが少しずつ表に出てきていますね。日菜と健一は親友として良い感じの関係を築けたのに、日菜の自立を以て見守ることしかできない関係に変わってしまうのは切ないですね。
そして、健一と一番深い関係っぽかった冴子の身に起きたトラブルも、次巻でどう決着するのやら。なんだか重い展開が用意されてるような気がするけれど、どうまとめてくれるのでしょうかね。恋人のはずの千夜子は出番少なめ、もうちょっと彼女にも見せ場をおお。
シリーズ完結しても、コミックやら別レーベルでの単行本やらが出るみたいですね。がんばって終わらせなくても、他レーベルへ引っ越してもいい気がしますが……。ともあれ、最後のエピソードを楽しみに待ちたいところです。
hReview by ゆーいち , 2008/10/04
- ROOM NO.1301 #10 管理人はシステマティック? (富士見ミステリー文庫 16-20)
- 新井 輝
- 富士見書房 2008-09-20
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