さあ、行こうか、高須くん。それぞれ行くべきところが、私たちにはある。
雪山遭難事件で、大河のほんとうの気持ちを知ってしまった竜児。彼女の気持ちを知ったことを伝えることも、応えることもできないまま、さらに追い打ちをかけるように、自分の進路について母親の泰子と衝突する。家庭の事情を考えて現実的な選択をしようとする竜児と、ただただ勉強して欲しいと進学を促す泰子、ふたりの意見はすれ違いを続けたまま、答えはどこにも見つからなくて……。
にしても、独身(30)の言葉はいろいろと重い。というか、自分にとっても身につまされる言葉が多いし、今になって振り返ってみると納得できる部分もあったりと、なんかこれまでの色物扱いが嘘みたいにしっかりと生徒のことを考えている先生してるんだなあ。これまで出てきた大人たちは、どこか歪な感じがしたひとたちだったけれど、彼女は正直見直しました。が、その辺の思いやりもなかなか教え子たちには届かない感じで……。
恋の問題はようやく片が付いたような感じ。実乃梨の思いもようやくはっきりとして、決着を付けて、前に進むことができたんでしょうか。亜美とは別の意味で、実乃梨も強くて、自分を貫くために傷つくことも厭わない、そして自分のほんとうの幸せがどんなものであるのかを具体的に確りとした形で描いて、そこへ向かうことを決めたからの今回の選択。グダグダの泥沼になるかと思いきや、彼女のまっすぐさがそこからすくい上げてくれたように思いますね。
そして、竜児と大河の関係はようやく落ち着くところに落ち着きそう。
と思いきや、またしても鬼のような引き。逃げ場のない袋小路に追い詰められつつある竜児と大河。現実と、そして実の親という簡単には超えることのできない高い高い壁を目の前に、逃げることしかできなかったふたりは、やっぱり大人になりきれない子どもなんでしょう。けれど、それがいけないということではなくて、この時期に多分誰もが悩んだり苦しんだり、漠然と不安を抱いたりした、未来というそんな漠然としたことにたいして、それぞれが真面目に向き合い、答えを出す過程において、おそらくは避けることのできないエピソードなのかなあと。
物語の収束は間近な印象。進級を前に、それぞれはそれぞれの未来を歩むために、どんな答えを見つけ出すのでしょうか。
hReview by ゆーいち , 2008/10/12
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