簡単な事だ。私は嫌いなのだよ。君達、魔法士という連中が。マザーシステムなどという厄介な物がなければ、この世から滅びて欲しいと思っている。
賢人会議の意志に賛同したシティ・シンガポール。全権大使として派遣されたフェイ・ウィリアムズ・ウォンは、賢人会議との交渉の他に、もう一つの密命を帯びていた。そして、シティ・ロンドンの身元預かりとなったファンメイは、エドとともに、シティ・シンガポール牽制のための出撃命令が下っていた。一方、独自に世界の秘密を探り続けるヘイズ、賢人会議を追い続ける錬とフィア、そしてシティ・モスクワに身を置く月夜とイルも、会談の地・北極へと集結していく。
次はいつに出るんだあああああ!
ということで、一気に読んだエピソード6までとは違って、ついに待つことになりましたが、相変わらず面白いシリーズ。続きが非常に気になります。
今回もほぼオールキャストで世界を振り回すかのような大事件が勃発。物語はいよいよ、こんな世界を結果的に生み出す事になった情報制御理論とその果ての魔法士という存在の誕生の秘密を語る段階に来たようです。
一方で、賢人会議の幼い理想をまっすぐにうたいあげるサクラ。彼女の愚直さは政治・外交という舞台では全く通用せず、それこそ真昼という参謀の存在がなかったらあっというまに叩きつぶされるくらいの未熟さを隠せません。そして、売りとしている戦力も、最強であるはずのディーが、騎士の天敵・龍使いの完成形へと至りつつあるファンメイに完封されたりと、なかなか理想実現への道は険しいですね。
にしても、ファンメイ、ようやく笑顔が戻って、前向きになったかと思ったらスゴい戦果ですね。魔法士同士の戦いは、単純なスペックの競い合いではなく相性が非常に重要ということを再認識させられる結果かと。全開の対錬戦に続いて辛酸を舐めさせられたディーは、設定上は最強のはずなんですけどねー、今回のセラとの連携のように、ただぶつかるだけでない臨機応変さを身に着ければもう一段の成長があるんでしょうけれど。
我が道を行くヘイズたちは伸び伸びしてる感じが。クレアと行動を共にするようになって良い感じじゃないですか? というか、223頁の挿絵とか、もうね、クレアの乙女回路が全開になってるとしか思えない。赤面! 赤面!! いやぁ、彼女も幸せになってほしいですね。
そして、いよいよ〈元型たる悪魔使い〉サクラと錬という異端中の異端の魔法士の謎が語られそうですね。過去に存在したアリスという少女、彼女の見せた能力がすべての元型となり、それを元に三博士が魔法士という存在を生み出したということでしょうか? 始まりたるアリスのコピーである悪魔使い、その能力に課せられた奇妙な制限とかの理由も明らかになるんでしょうか。
また、魔法士という存在により何もかもを失ってしまった人びとがいるという事実、その大きな壁をどう乗り越えるのか、今回はその憎しみを受け止め、そして赦し、あるいは赦さず、しかし共に手を取るという、困難なテーマが描かれそうです。続刊の発売がひたすら待ち遠しいですね。
hReview by ゆーいち , 2008/10/14
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